ここのところ、軽減税率の導入について 与党内で議論が伯仲しています。 報道によりますと、 「11/19安倍首相と公明党の山口代表が会談を行い、 その後、首相から自民党税制調査会に対し 検討を急ぐよう指示があったが、 財務省や自民税調の中には 慎重を求める意見が根強く先行きは極めて不透明」 というのが、おおよその論調です。 慎重派はその論拠として、 対象品目の線引き、 税収減への懸念、 制度周知や準備が官民に与える負担増、 などの課題を挙げ、 2015年10月の消費税率10%への引き上げに 間に合わせるのは日程的に困難、と発言しています。 確かに、 諸課題の存在とその難しさは理解できますが、 これには首をかしげざるを得ません。 そもそも、今回の消費税の引き上げは、 昨年の民主党政権における「社会保障と税の一体改革」 についての議論が起点となります。 その積み上げの中で「3党合意」があり、 「近いうち解散」があり、 解散総選挙を経て「政権交代」となりました。 そして昨年12/26、自公両党は、 8項目からなる合意文書を交わし 新政権を出発させたわけですが、 その中に、消費税の制度設計として 「複数税率(=軽減税率)導入の検討など 低所得者対策を確実に実行する」 ことがちゃんと盛り込まれているのです。 つまり、 低所得者対策を確実に実行することは、 消費増税の前提条件です。 かつ、 11/9-10時点で 世論の約7割がそれを求めています。 また、 8%段階で行われる簡素な給付措置(1人1万円) はあくまでも時限措置であり、 恒久法とするからには、 対策も恒久的でなければなりません。 8%段階で間に合わず10%段階でも間に合わない とすれば、将来もできないでしょう。 それまでの決まらない、決められない政治に逆戻りです。 参院選で衆参のねじれを解消し、 山積する内政・外交課題の解決に向けて 果断に決められる政治を期待した民意を、 どこまでも判断の軸とすべきです。 翌20日には公明党から、 酒と外食を除く食料品、新聞と出版物を 軽減税率の対象とする提案が行われましたが、 これは、8%段階での簡素な給付措置の 給付額の算出根拠となった品目に揃えた形です。 軽減税率の導入実現へ、ボールは投げられました。 与党に対し、議論の進展はもちろん、 12月中旬の税制改正大綱に間に合うべく 最大の努力を求めたいと思います。 できない理由ではなく、どうすればできるか、 まだ時間は残されています。