終日、県民相談対応。 積ん読、の中から、日経ビジネス(2008.7.28)を、読んだ。 “消費税の年金財源化に落とし穴”、という、東洋大学・髙橋洋一教授の、記事である。 私が、髙橋教授を初めて認知したのは、著作の、「さらば財務省!」によってであった。 なんとユニークな官僚なのだろう、と思ったし、きわめてロジカルで、腑に落ちる論説の人、と思った。 そのベストセラー上梓後、一躍、時の人となり、今では、お茶の間で拝見することも多くなった。 ので、世間の認知の仕方は、きっと、教授、もしくは、コメンテーター、ということなのだろう、 が、私の脳裏では、やっぱり第一印象が支配しており、私にとっては、だが、今回の記事も、腑に落ちた。 地ならしというか、外堀を埋めるかのように、じわじわっと巻き起こってきた、消費税増税の議論に対して。 それはそれとして当然ながら、可だが、それと年金を結びつけるのは、不可だ、と。 つまり、髙橋教授の指摘は、年金財源としての消費税増税は筋が違う、である。 なぜか。地方分権に逆行するから、だ。 その仮設立て、に脱帽するし、腑に落ちるというのは、その、課題の斬り方、である。 中央集権か、地方分権か、ここが、最初のイシュー。 これについては、国の運営の方向性に関する結論は、既に出ている。 いうまでもなく、地方分権であり、この間、法整備も着々と進めてきたし、 先日も綴った通り、政府諮問機関のビジョン懇でも、2018年に道州制を導入すべく取り組みを加速している。 が、だ。 霞が関の本音は、もちろん、NO、だ。当事者として何が起きるかを考えれば、容易に想像が、つく。 押し寄せる地方分権の流れには逆らわず、しかも骨を抜き、結果的に、ちょっとだけ地方分権、で、シャンシャン、 というのが、権力を手放したくない官僚たちが考えるストーリー、 と、よくいわれるが、その通りであろう。 記事に話を戻すと、髙橋教授の説は、こうだ。 国と地方の役割を明確にした上で、地方分権が進展・完了したとしても、 年金は、国が運営すべき制度である、と、ここが、2つめのイシュー。 一方、消費税は、所得税や法人税などの国税の内、収入安定性の点からも、地域偏在性が少ない点からも、地方への税源移譲が最も適している、 と、ここが、3つめのイシュー。 イシューをつなぐと、 人材・権限・財源、を地方に移譲する、地方分権は、喫緊の、実現課題である。 その移譲財源のうち、消費税は地方に移譲すべき税源であり、 地方分権後も国の運営で行うべき年金の財源は、国税・保険料という枠組みの中で議論すべきだ、 となる。賛成、である。 年金ばかりではない、社会保障費の増大もまた、消費税増税の論拠として高まりつつあるが、 その前に国は、やるべきことがある、のだ。 それについては幾度も綴ってきた通り、なので触れないが、 年明けから今日まで、2,000名を超える方々との対話で、 私が感じた、叫びにも似た、庶民の怒り、を、どうすれば、安心と信頼に変えられるのか、 今、国が最も注力すべきは、その1点であり、おのずと、消費税増税とは別の議論、となろう。 国は、やるべきことを、やっているのか。私も、やるべきことを、やれているのか。 自他ともに、常に、問いながら。 記事に触れ、政治の落とし穴に陥らないよう、研鑽を怠るまい、と思う。