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    中小企業家魂と、電通鬼十則

    スゴイ中小企業が、ある。 売上高20億円あまりの町工場にして、利益率40%で、借入金ゼロ。 その会社は、株式会社 エーワン精密。 工作機械用の、金属部品の製造販売、の会社である。 日経ベンチャー(2008年6月号)を読んで、思わず唸った。 同社の創業者であり現在は相談役である、梅原勝彦氏の、中小企業家魂ともいうべき、その経営スピリットと実践に、だ。 それは、そうだ。あの日本電産を率いる永守社長が、脱帽するほどなのだから。 同社の経常利益率は、創業以来37年間の平均で、41.5%。粗利じゃなく、経常です、よ。 どうしてそのような高収益を続けられるのか、と聞く記者に対し、中小企業として利益に執着しているから、と梅原氏は答える。 20数ページにわたる、その秘密を読んでいると、それがケタ外れの執念であることが、わかる。 とはいえ。 儲かるなら何でもやる、とか、ボッタクリ、とかでは決して、ない。人件費を切り詰めたり、人材の使い捨てなどの理不尽も、なく。 第一、そうだとすれば、創業以来37年も、高収益を続けることはできないだろう。 そこには、確固たる梅原氏の中小企業経営哲学があり、十分な顧客満足に支えられている証左、が読み解ける。 梅原氏の経営は、ひと言でいうなら、非常にシンプル。コスト管理にせよ、人事管理、時間管理にせよ、殆どムダがない。 この、シンプル、即ち、簡単さは、あらゆる中小企業の参考になりそうだが、詳細は本誌に譲りたい。 私が綴るのは別の部分である。電通鬼十則、である。 それは。 経営のすべてがここにある、として、オフィスの壁に貼り出してまで心酔する、梅原氏のバイブル、なのであった。 おーー、だ。 電通ならずとも、広告業界に在籍する者が最初に必ず叩き込まれるもの、それが、この、電通鬼十則なのである。 無論、私も、当時そうであった。 が、全然、畑の違う、機械部品製造業にまで、ということは、この鬼は、ビジネスを問わず普遍的に通用するに違いない、のだ。 ならば、というわけで、ご紹介したい。 電通中興の祖といわれる、第4代・吉田秀雄社長が1951年に作られた、��電通鬼十則」。 1 仕事は自ら創るべきで、与えられるべきではない。2 仕事とは、先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。3 大きな仕事と取組め! 小さな仕事は己を小さくする。4 難しい仕事を狙え! そして成し遂げるところに進歩がある。5 取組んだら放すな! 殺されても放すな! 目的を完遂するまでは...6 周囲を引きずり回せ! 引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地の開きができる。7 計画を持て! 長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。8 自信を持て! 自信が無いから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚みすらがない。9 頭は常に全回転、八方に気を配って、一部の隙もあってはならぬ! サービスとはそのようなものだ。10 摩擦を怖れるな! 摩擦は進歩の母、積極の肥料だ。でないと君は卑屈未練になる。 ぜひ皆様にご参考になれば、と願うとともに。 つねづね。 行政は公共サービス業、であり、議員は生活プロデューサー、と、確信してやまない私は、 ひょんなことで目に飛び込んできた、この電通鬼十則に。 自身の仕事に置き換えて、あの頃の気持ちにダブらせて、 さあ、やるぞ、やらいでか、と思わず、激しく、心を奮い立たされたのであった。