昨日から、財政再建というテーマが、頭から離れない。何からどのように手をつけたらいいのだろう。 一気に、すべて、とはいくまいが、急所の一手というのがどこかにあるはずだ。というのが、今日の研鑽のテーマとなった。 巷で定評の、「日本の財政」(林信光編著/東洋経済新報社)をひも解く。豊富な資料と約500Pのボリュームで読み応えがあるし、わかりやすい。 が、テーマがテーマだけに、一気に読破も理解もできるものではなく。スピード感を持って、じっくりと読み込んで、マスターしてまいりたい。 さて、驚いたのが、この1冊。「野口悠紀雄の「超」経済脳で考える」(野口悠紀雄著/東洋経済新報社)、である。 同書の主旨は、経済学的なものの考え方を通じて、間違った「通説」を正す、というものだ。それは、経済学部出身の私としては大いに結構、とばかりページを開いていくと。 「このように、定量的に見ていくと、財政再建とは、社会保障費をどうコントロールできるかという問題である。」 なるほど、である。途中までは。 中ほどから、氏の説によるところの「通説」否定の場面が、いくつも出てきた。そのいくつかを挙げると。 「年金問題解決のために出生率を上げるべきだという議論があるが、それは不可能である。」「国の借金を家計の借金にたとえて、だから大変だというのは、間違いである。」 「消費税の社会保障目的税化は、原理的に言って不可能と考えられる。」「人口が少ない社会は豊かな社会であり、むしろ歓迎すべきことなのだ。」(以上、趣旨) いずれも定量的に根拠を提示しての切り口に、正直、驚いた。 私の視点が第1象限にあるとすると、彼は第3象限ほどに対極の視点を提示し、おかげで俯瞰するZ軸の存在を教えてもらう格好となった。 つまり、もっと考えろ、である。 彼は、言う。経済学は、意見が正反対の人がともにノーベル賞受賞者となれる唯一の学問である、と。それくらい、融通無碍なのだそうだ。 そうしたものの考え方と、定量で本質を掴み取る力の重要性を理解するとともに、融通無碍なる仮説と検証という思索の連続の中に、財政再建のヒントは必ず見出せる。 そんな、難問に挑戦する勇気とエネルギーを、与えてくれた1冊であった。