体調を崩したまま、2週連続の上京となり、未だ芳しからず。ドクターストップを振り切ったツケか。 と、自宅にて少しだけ静養しながら、1冊手に取る。「貧乏人は医者にかかるな!」(永田宏著/集英社新書) なんとも過激なタイトルである。 一読したところ、氏は、現今の医療崩壊の真因は、医師不足であると結論する。 そして、これは地方、あるいは、産科・小児科に限った話ではなく、2025年までには、全国の、主要な診療科目のほとんどで生じる、厳しい現実であると、データをひも解きながら指摘する。 では、どのような対策が考えられるか、というと、 医学部の定員を増やすか、国外から医師を輸入するか、患者を国外に輸出するか、 という、過去にイギリスで有効とされた3つの例を挙げ、検証を試みるが、日本においては、いずれも決定打にはなりえない、とし、結局のところ、4つめとして、患者にならない、という未病・予防の重要性を説いている。 氏の説を、私なりにまとめると。 加速する少子高齢化と、医師不足。つまり、患者のパイがこのまま増大すると、今後ますます医療資源がシェアできなくなる。 従って、喫緊の課題は、そうした事実を前提とした国民皆保険・健康保険制度の抜本的見直しと、医療のイノベーションと、健康の自己責任という国民の意識向上である、ということになろう。 医療の現場を知悉する氏の提言は、警鐘を乱打するかのように、心に響いてくる。重たい読後感は否めないが、大いに、考えさせられた。 生活者を足場としながらも、地元の医療現場をもっともっと歩かねばならない。そして、政治は、生活者を守るために、何としても医師を守り増やさねばならない。 強く、深く、決意した。