視察最終日の本日は、国立宮城病院神経難病センターを訪ねる。 仙台市内から南へ、バスで1時間強。のどかな丘陵に同センターは、たたずんでいた。 院長・関係者の暖かい歓迎の後、レクチャとセンター見学案内を頂く。同センターは、文字通り、神経難病患者の治療を専門とする。 ひとくちに神経難病といっても、難病中の難病といわれる、筋萎縮性側策硬化症(ALS)や、パーキンソン病、脊髄小脳変性症、多発性硬化症など、病種は多岐にわたり、 そうした症病などで人工呼吸器を装着している重症度の高い患者に対して、全館が車いすでの生活にあわせて設計されるなど、実に様々な対応設備が完備されていた。 センター長のレクチャの中で、印象深い視点があった。 それは、難病患者に、地域社会の中で生きていく“患者力”をつけさせる、ということを、治療の基本哲学に据えているところである。 患者力とは、難病患者の、難病とともに生きていくんだという、自律力を指している。 ゆえに、患者・ご家族と医療スタッフの最初のカンファレンスは、将来目標を具体的にコミットすることなのである。 例えば、完治が無理でも、1年後の社会復帰をめざしましょう、そのために、ここまでの回復に向けお互いに努力しましょう、と。 伺えば、難病は誰しも発症する可能性があり、多くの場合、患者から生きる力とやる気を奪うという。そうした難病患者の心の部分に注目し、向き合うスタンスは、明らかに従来医療と一線を画している。 その理念は、長期入院の減少と在宅療養の増加という目に見える成果と現れ、患者の在宅療養を支える地域ボランティアの和が着実に広まっているという。 感銘を、受けた。 症状だけではなく、人間の内発力を引き出すことに焦点を当てた、1つの医療革命が、着実に、人と地域を変えつつあるのだ。 院長その他のスタッフに見送られ、私たちは松山への帰路についた。中身の濃い、あっという間の3日間であった。 環境・福祉・医療分野における貴重な見聞は、自身の知見を広げ深めてくれた。心から感謝の思いでいっぱいである。 必ずや県政へのフィードバックと、県民の皆様へのお役立ちにつなげてまいりたい、と思う。 PS今回の視察を、準備から随行まで、すべての労をお執り頂いた職員の皆様、3日間、大変お世話になり心より御礼申し上げます。ありがとうございました。