私にとって初の、県外視察が始まる。所属する環境保健福祉委員会のメンバーで、今日から3日間。 環境部門、保健福祉部門の先進地と諸施設の視察を通して、知見を深め、県政に反映させるというのが、その目的である。 初日の本日は、山形県。 伊丹空港を経由し、降り立ったのは、山形空港。さすがに東北、快晴なのに、肌寒い。 将棋の駒で有名な天童市を抜け、私たちが向かったのは、長井市。 途中のいたる所に、さくらんぼ農場を目にする。さすがは、本場である。 人口31,000人のこの町で、市民総ぐるみで取り組む“レインボープラン”について、NPO法人レインボープラン市民市場「虹の駅」にて、担当者からお話を伺った。 このプランは、ひとことで言うと、生ごみの循環システムである。 農家と、消費者、つまり市民が協力して、生ゴミを堆肥に変え、土に還元することで、栄養豊かな有機作物として食の安全を確保させると同時に、環境保全と農家の活性化と、コミュニティとしての地域づくりに資するという、画期的な、価値連鎖プログラムなのである。 特に、興味深かったのは、土の重要性だ。 この構想の出発点は、土に対する危機感から出発している。いわく、昭和30年代以降の化学肥料と農薬の使用により、土がどんどん疲弊している、と。 例えば、1個のピーマンに含まれるビタミンAは昔の1/10レベル、ビタミンB1は1/3レベル、というふうに、作物本来が持つ栄養価が著しく減少している、というのだ。 そして、土の力の回復には、昔の堆肥がもっとも合理的で有効である、という。 しかし、市内に毎日生じる生ゴミを仕分け収集し、堆肥化まで行うシステム構築のためには、全面的な市民の理解・協力と、行政のバックアップがなければ成立は難しい。 その部分で、立ち上げから今日まで約20年の、草創のリーダーたちのご苦労には、まことに筆舌に尽くしがたいものがあったろう。 お話を伺い、堆肥製造プラントに移動し、生ゴミから堆肥ができるまでの工程を見学。すさまじい臭いは、確かに、昭和の時代に畑のあちこちで嗅いだ、懐かしい臭いでもあった。 百聞は一見に如かず、であった。あっという間の1日であった。 そして、今日、私が思ったのは「蘇生」ということについてである。 環境にしても、地域にしても、経済にしても。家族の関係その他も然りだが、大事なものが失われ、崩壊の危機と叫ばれて久しい。 けれど、人間には、それらを蘇らせる力がもともと備わっている、と思いたい。昔に戻る、というのではなく、現代に即したカタチで蘇生させるという意味で。 その知恵と熱意を、どう引き出し、結集させるか。そこに、これからの政治の重要な役割の1つがあるのだ、と思う。 明日は、杜の都、仙台。貪欲に、知見を深めてまいりたい。 ��写真は、途中で立ち寄った、将棋の館)