照りつける昼下がり。ふとした脈絡で、お世話になった社長のことを思い出した。 営業でお邪魔した際、決まって待機させて頂いた、ある応接室。 その真ん中に、でーんと飾られていたのは、山本五十六連合艦隊司令長官の語録、『男の修行』であった。 いろんなクライアントにお世話になったが、70歳以上の経営者に、これを座右とされる方が多かったような気がする。 待ち時間に、いつも眺めては、内省したものだ。 いわく。 「苦しいこともあるだろう。云いたいこともあるだろう。不満なこともあるだろう。腹の立つこともあるだろう。泣きたいこともあるだろう。これらをじつと、こらえてゆくのが男の修行である。 」 今から約70年前の時代精神である。 その世代の経営者にとって、まさに、この語録は、常に、孤独な、最高意思決定を背負うものの気持ちを、余すことなく表したものであり、心の支えであったろう。 翻って、男女共同参画社会をめざす現代にあって、この「男の修行」は、是非もなく、知る人ぞ知る歴史となるか。 ふとした脈絡に、この一節が、たまらなく思い出された1日であった。