政策転換と市町村合併で、加速する企業立地。興味深いタイトルの特集記事(日経ビジネス7/23号)に目が留まる。 今年6月に施行された企業立地促進法を背景に、自治体間の企業誘致競争が本格化している。それを仕掛ける経産省の解説と、先進的な自治体の取り組み事例にスポットをあてた、特集である。 わが愛媛では、好景気で沸く海運業を中心とした今治市の海事都市構想を、さらに拡充するため、県が積極的な規制緩和で、制度面から支援する事例が取り上げられている。 企業立地促進法は、簡単にいうと、企業誘致に取り組む自治体を国が応援します、というものだ。 いうまでもなく、自治体にとっては、企業を誘致すれば、長期的・安定的な収入と雇用を得ることができる。深刻な財政危機を抱える状況の中、どの自治体もノドから手が出るほど、それは魅力的に映るであろう。 一方、企業側からみれば、対象企業をきちんと顧客として捉えることができる経営マインドと、今回の法施行をビッグチャンスと捉えられる感性と、対応のフレキシビリティのある自治体のみが、その選択肢に入ってこよう。 まさに、競争である。そして、その経営判断ができる自治体は極めて健全である、と思う。 記事にも紹介された、18もの造船所が立ち並ぶ今治市の、歴史を含めた、これほどまでに恵まれた海運ロケーションは、おそらく全国のどこにも真似ができない固有の強みであろう。 それを最大の経営資産と捉え、さらに磨きながら、海事産業集積地としての圧倒的地歩を固めていくならば、全国から、あるいは世界から、保険会社・金融機関・海事法律事務所・部品メーカー・技術者養成ビジネス・情報通信産業・外国人向けビジネスなど、まだまだ、そして様々な、企業を呼び込むことが可能となるはずだ。 そしてそれは、既存企業を呼び込むに止まらず、新規ビジネスの創出にも繋がるに違いない。また、県内各市町にも、触発と波及効果をもたらすであろう。 同誌記事を読みながら、まだまだ発展途上である、わが愛媛の明るい未来に思いを巡らせた。