最近読んだ本。「農!黄金のスモールビジネス(杉山経昌著)」。農業書では、ちょっと注目の本だそうだ。 外資系ビジネスから転身して、17年。氏のメッセージは、机上の空論ではなく、トライ&エラーの末の起業レポートといえる。 そこには、守られる農家から経営する農家へ、あるいは、ルーチンワークからクリエイティブビジネスへ、ともいうべき、農家と農業に対する価値軸の、転換の必要性が、説かれている。 まず、従事する労働時間をコストと捉え、最終利益に着目した。これは経営者の目線だ。 次に、お客様を特定し、売れるものを一番高く売れる方法を、10のうち9の失敗の積み重ねの中から学んだ。これはマーケティングの実践だ。 そして、自分が作り出した作物に対する世界一の誇りを手にした。これこそ、農家だけにしか味わえない労働の喜びだ。 現在、どの農村も抱える高齢化・後継者不在・荒地化などの課題に対して、結論的に、今後の日本の農業がめざすべき方向性は“スモールビジネス”だ、と提唱する点において、示唆に富んでいる。 ふと、行政にもあてはまることに気づく。大きな政府より小さな政府、つまり官から民へという流れ。財源と権限と(借金と)を、中央から地方へという流れ。 世の中がどんどんフラット化し、ネットワーク化していく中で、従来どおりのやり方が当てはまるほうがおかしい。 議員としての私がなすべき実践は、氏に習えば“どんどん失敗すること”だそうだ。