水を張って、整然と並ぶ苗。山を映し、空を浮かべ。この時期の田んぼは、えも言えず美しい。と、ふと、目に留まったのは、白鷺。 道後温泉由来の、白鷺伝説を思い出した。 その昔、足を痛めた白鷺が、岩から流れる湯に足を浸すと、みるみるその傷が癒え、やがて元気に飛び立って行った。それを見ていた村人が、その湧き出るお湯を温泉と名づけ、その効能を発見したという、伝説である。 伝え話だとして、この話のポイントは、村人の洞察力にあろう。 足を痛めて岩陰にじっとしている白鷺。腹が減っている人は、どうやって捕まえて食べようかと考える。普通の人は、あぁ、白い鳥が休んでいるなと考える。この村人は、白鷺の傷の回復を見、このお湯には秘密があると考えた。私だったら、どう感じたろう。 日々、庶民の生活現場に飛び込み、様々な生活課題を見聞きし、感じる中で、表層ではない、その向こうにある、真の課題を発見できる洞察力を、伝説の村人に習い、養いたいと思う。