愛媛の西南端、愛南町を訪れる。汗ばむ初夏の日差しが、夕方からどんよりと黄砂に煙る。ぼんやりとした、オレンジ色の太陽。なんだか、南予の経済状況とだぶる。 その南予を代表するブランドといえば、柑橘・じゃこ天・真珠などが挙げられる。ふらり、真珠のおみやげ店に立ち寄る。ネックレス関連アイテムが多彩だ。さすが本場である。感じ入りながら、ショーケースを眺める。そして、買物客のつもりになって、店内を1周。正直、当惑した。 値札を見ると、下は1,000円から、上は数百万円まで。価格幅が、なんと数千倍である。多くの買物客は混乱するだろう。私も、何を買っていいか、混乱した。スーパーで売る1,000円の服と、百貨店で売る100万円の服が、同じ店内に並ぶということがあるだろうか?ハイエンド商品と普及品では、ターゲットも、売り方も、販路も、全く異なるのだから。おみやげ店というコンセプトで商売するなら、数百万円のアイテムに積極的な意味は見出せない。このお店には、時代にあったビジネスコンセプトの再構築が必要だろう。而して、南予の真珠業界全体にあてはまる課題ともいえそうだ。 愛南町で、例えば、私が気になるのは、武田農園さん(農業生産法人株式会社みかん職人武田屋)。河内晩柑を主力に、こだわりの柑橘を作り、通信販売で、全国のこだわりリッチ層に売る。ビジネスコンセプトが実に明快。売上も4年で3倍と急伸だ。規模はまだ小さいけれど、将来性は非常に大とみる。 地元を愛するこのような新しい力が、チャレンジ精神が、この地域にますます広がり、ビジネスセンスを磨いていく中にこそ、南予復興のカギがあるだろう。そのための啓発活動とサポートに、惜しみなく注力したい、と思う。(写真は御荘湾に浮かぶ牡蠣筏)