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2024年 9月定例会(9/20)

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松山市緑町土砂災害を踏まえた防災減災対策について(2024年9月定例会)

公明党の木村ほまれでございます。

初めに、本年7/12に発生した松山市緑町土砂災害でお亡くなりになられた3名の方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。

本年は、元日の能登半島地震から4月の豊後水道を震源とした地震、7月の松山市緑町土砂災害、8月の日向灘地震といった大規模災害が相次ぐ中、初めて南海トラフ地震臨時情報が発表されるなど、自然災害の脅威に対する不安が例年以上に高まっています。

先月には、ノロノロとした低速台風10号が日本列島を縦断し、幸いにして本県では甚大な被害は発生しませんでしたが、類例を見ない今回のケースが示す通り、また、統計開始以降、最も暑い夏となった今年の平均気温も含め、「異常気象のニューノーマル化」が世界規模で進んでいるとの見方が広がっています。

そうした状況を前提とした防災減災対策のアップデートが求められる今、そして、“南海トラフ地震の足音がより近づいている”と不安を感じる県民の皆様に対し、安全と安心を広げるべく、冷静に、そして着実に、予断と油断を排しながら、私たちは防災減災対策の拡充強化を急がねばなりません。そうした決意を胸に、公明党を代表し、質問に入らせて頂きます。

初めに、松山市緑町土砂災害を踏まえた防災減災対策についてお伺いします。

本年7/12未明に、松山市緑町で土砂崩れが発生して2か月が経過しました。

あらためて犠牲となられた3名の方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。また、連日にわたり、懸命に救出・復旧活動に当たられた関係各位に心から感謝を申し上げたいと思います。

私も、災害発生の早朝、二次災害に細心の注意を払いながら、現場や避難所を訪れ、被災者の方々にお見舞いを申し上げ、発災時に感じた恐怖やパニックの状況、今後に対する要望など、様々な声をお聞かせ頂きました。

“1日も早く電気・ガスなどライフラインを復旧してほしい”、

“学校があるため教科書を取りに自宅に入らせてほしい”、

“避難生活が長期化する場合は公営住宅や仮設住宅、あるいはホテル代の補助など支援してほしい”、

“家財道具や休業を余儀なくされた場合の補償はどうなるのか”、

“平和通りに面した松山城の北側斜面でも水が染み出ているのを見たが大丈夫なのか”、

“3名もの犠牲者を出した責任は重大だ。責任の所在を明確にするとともに、松山城の緊急車両用道路の工事の影響などしっかりと原因を検証し、二度と悲劇を繰り返さないでほしい”

など、いずれも切実で厳しいお声ばかりでした。

要望の大半は松山市が所管する分野であったため、その日の内にわが党の松山市議と打合せを行い、衆参国会議員とも情報を共有しながら支援に取組みました。

県ではこの間、土砂災害の発生メカニズムの解明や、再発防止に向けた検討を行うための「松山市緑町土砂災害対策技術検討委員会」とともに、同委員会を円滑に進めるための調整や、対策工法の選定等を協議する県と松山市の「連絡調整会」を設置し、協議検討を重ねてきたと承知しています。

今後、結論付けられることとなる発生メカニズム解明と再発防止への糸口については、松山市と同様、城山を有する宇和島市や大洲市にも情報共有を図ってほしいと思います。

このような中、私が改めて重要と感じたことは、県と市町の連携です。

思い出されるのは2021年に静岡県熱海市で発生した土砂災害であります。28名が死亡したこの災害では、静岡県が設置した第三者委員会が県と市の連携、協力体制が十分でなかったと縦割り行政を批判する中間報告をまとめ、県と市がそれぞれに所管する法律内の業務を優先させた、などと指摘しています。

一方で、先般発生した台風10号の対応においては、愛媛県がリーダーシップを発揮して、いち早く災害対策本部を立ち上げるとともに、県と市町が連携した情報共有や体制が徹底されておりました。結果的に同じ危機感を関係者が共有できたこと、また、雨量が想定を下回ったこともあって、大きな被害の発生につながらなかったというふうに、本県の市町との連携を評価しています。

発災時の初動対応は基礎自治体の所管となるものが多く、その対応が円滑に進むかどうかは、市町の災害対応力にかかるといっても過言ではありません。県は、初動対応のカギを握る市町の災害対応力の違いを踏まえ、市町との連携強化を図って頂きたいと強く願うのであります。

そこで、お伺いいたします。

県は、大規模災害に備え、市町と連携した災害時の初動対応を含む“災害対応力の強化”にどのように取り組んでいくのか、ご所見をお示しください。

奇しくも14年前の同日、城山南側の土砂崩れにより愚陀仏庵が倒壊するなどの大規模被害が発生しました。

今回は東側での発生でしたが、被災者からは“北側の斜面崩壊が心配だ”との声も少なくありません。

その城山のほとんどは松山市の所有となっていますが、県として、技術検討委員会の報告等を踏まえながら助言と協力を行い、土砂災害警戒区域から外れている4か所の部分も含めた、城山全体として再発防止に向けた取組みが進むことを強く望みたいと思います。

また、今回の被災箇所は、昨年10月に松山市がまとめた“史跡松山城跡樹木管理計画”において、一定以上の雨が降った場合は表面流が発生し、斜面崩壊が起こりやすく、人命保護の観点から早期の対策が必要とされていたことに加え、報道では城山の森林整備の大半が手付かずで、今回災害が発生した箇所以外でも危険性が指摘されており、文化財の適切な管理・保護の観点からも、関係機関が連携して再発防止に取り組んでいくことが、私は極めて重要と考えるのであります。

そこで、お伺いいたします。

今回の土砂災害の教訓を踏まえ、県内の文化財の防災減災対策を県としてどのように推進していくのか、ご見解をお聞かせください。

〈答弁概要:防災安全統括部長〉
県では、頻発化・激甚化する災害に迅速かつ的確に対応するため、市町や防災関係機関と連携し、気象情報や被害情報の収集・共有、応急対策等を実施しており、西日本豪雨を上回る降雨が予測された台風10号では、早い段階から避難行動の呼びかけを行ったところでございます。

一方、予測が困難な南海トラフ地震等に対応するには、迅速に初動体制を整え応急対策を開始できるよう、平時から訓練等により災害対応力を高めておくことが重要と認識しております。

このため、5月には県・市町及び防災関係機関から約390人が参加した災害対策本部の運営に係る合同図上訓練を実施し、職員の知識や対応力の向上を図ったほか、先月には被災経験の異なる市町が災害対応力の強化を目的に、市町長等が一堂に会し初動対応をはじめとする災害対応を学び、意見交換を行う研修を実施したところでございます。

先月の南海トラフ地震臨時情報への対応についても速やかに振り返りを行い、改めて大規模地震への備えを市町と共有したところであり、今後とも県・市町連携による災害マネジメント要員の育成や市町間でのカウンターパート方式による応援職員の受入れ訓練等を重ね、市町や防災関係機関との緊密な連携によるオール愛媛体制で、災害対応力の強化に取り組んでまいりたいと考えております。

〈答弁概要:教育長〉
県教育委員会では、長い歴史の中で育まれ、今日まで守り伝えられてきた貴重な財産である文化財を自然災害から守るため、西日本豪雨災害の教訓を踏まえ策定した行動指針に基づき、所有者、関係機関、行政がそれぞれの立場で役割を果たし、自助・共助・公助が効果的に機能するよう、令和3年度に「えひめ文化財等防災ネットワーク」を設立し、合同訓練や研修会等を通して防災スキルの向上や連携強化に努めてきたところでございます。

文化財の防災・減災対策は、一義的には所有者の責務でありますものの、自助には限界もあることから、今年度は、ネットワークメンバーを対象に、今回の土砂災害を踏まえ、有識者を交えた研修会を開催し、発災時における具体的な相互支援体制の在り方や初動対応の強化等について訓練を行いましたほか、文化財の防災対策の充実を図るため、国・県指定の別を問わず柔軟な助成措置が講じられるよう、全国都道府県教育長協議会等を通じて国へも要望しているところでございます。

今後とも、平時の減災及び非常時の応急対策に係る効果的な研修実施や関係機関の更なる連携強化を図るなど、郷土の宝である文化財を適切に保護し、次世代へ確実に継承できるよう、オール愛媛体制で防災・減災対策の充実強化に努めて参りたいと考えております。

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