次に、岸田政権に対する評価等についてお伺いします。
パリ2024オリンピックの大熱戦、夏の甲子園の激闘、株価の記録的な乱高下、初の南海トラフ地震臨時情報の発表、低速の台風10号の列島縦断など、今年の8月は、強く印象に残るニュースが続きましたが、とりわけ衝撃が走ったのは8/14の岸田総理による退陣表明です。
記者会見で岸田総理は、自民党派閥の政治資金問題の責任を取り、総裁選への不出馬を決め、信頼回復のため、引き続き政治改革の取組みを進めていく、と国民に訴えました。
約3年で幕を閉じることとなった岸田政権ですが、その発足に当たり2021年10月に交わした与党合意に基づいて、私ども公明党が推進した数々の政策が、具体的に結実した、というふうに、あらためて感じています。
その1つは、経済再生に向け、デフレ脱却への流れを作り出したことです。
連合がまとめた2024年春闘の平均賃上げ率は5.10%と、33年ぶりの高水準を記録。
2024年度の都道府県別最低賃金も全国平均で前年度比51円増の1055円で、過去最大の引き上げ額となる見込みです。
実質賃金も、本年6月に2年3か月ぶりのプラスに転じ、日経平均株価は2月にバブル以来の史上最高値を更新し、7月には42,000円を超えました。
NISAを拡充し“貯蓄から投資へ”という流れが着実に株高を後押しする形が見えてまいりました。GDPも600兆円を超える水準になりました。
また、少子化対策についても、私どもの“子育て応援トータルプラン”をベースにした「こども未来戦略・加速化プラン」を策定し、児童手当の今年10月からの抜本拡充や、出産育児一時金の50万円への引き上げ、妊娠・出産時の計10万円相当給付の制度化や、育休給付金の手取り実質10割への引き上げ、“こども誰でも通園制度”も形となりました。
年3.6兆円規模の財源確保に道筋をつけ、これにより、日本の子ども・子育て関係予算はOECDでトップ水準となる見通しです。
防災減災対策については、連立政権合意において総事業費約15兆円の5か年加速化対策の着実な実施が明記され、流域治水をはじめとした国土強靭化を大きく推進してきました。
そして今年度は、先ほども述べました通り、防災基本計画を修正し、自治体、保健師等が連携した状況把握の実施や、福祉的な支援が盛り込まれました。
いずれも「防災減災対策を、政治・社会の主流に」を掲げる公明党が、強く、後押ししてきたものです。
その一方で、退陣の最大の要因となったのが、いわゆる“政治とカネ”の問題です。
国民の政治に対する信頼は失墜し、かつてないほど不信が高まる中で行われる、今回の自民党総裁選では、政治改革に対する本気度が問われています。
ぜひ、自らの自浄能力とともに、改革の道筋と国民の信頼回復を競い合う形での議論を期待したいと思います。
また、先の通常国会で改正された政治資金規正法の附則には、2026年1月1日施行に向けた検討課題が明記されています。
特に、政治資金の監査などを担う“第三者機関”の設置は、今回の政治改革の急所と言われており、公明党では、国会閉会直後からプロジェクトチームを立ち上げ、この“第三者機関”のあり方に関する中間取りまとめに向け、活発に議論を重ねているところであります。
政治資金の流れを広く国民に公開し、その是非についての判断を国民に任せる、との同法の趣旨に則り“透明性の向上を図る”とともに、お決まりの「秘書や会計責任者がやった」との言い訳を許さず、もし議員が収支報告書の確認を怠り、会計責任者が処罰された場合には、罰金刑を科し、公民権を停止するという“罰則の強化”により、いわゆる“政治とカネ”の問題を二度と起こさない、という強い覚悟で、改正法施行までに、残された課題解決に向け、公明党として全力で取り組んでまいりたいと思います。
そこで、お伺いいたします。
岸田政権の成果や残された課題等について中村知事はどう評価するのか。また、政治改革を含め、新内閣に対し何を期待するのか、ご所見をお聞かせください。
<答弁概要:中村知事>
新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中で、誕生した第二次岸田政権は、水際対策の徹底などコロナ禍への対応に尽力されるとともに、感染症法上の5類移行を断行し、疲弊した社会経済の活性化に向け、訪日客の地方への誘致などインバウンド対策にも力を入れ、昨年度の松山空港国際線利用者数が過去最高となる13万6千人を記録するなど、地域経済への好循環も生み出してきました。
また、総理が重視されてきた「聞く力」で、地方の実情を汲み取りながら政策を展開され、旗印である「デジタル田園都市国家構想」の実現に向けては、本県が全国に先駆けて取り組んできた市町業務標準化等を後押ししていただくとともに、こども家庭庁の創設等による総合的な子育て支援体制の強化や、能登半島地震からの復旧・復興を含めた防災・減災、国土強靭化対策等を推進されてきた点は評価をしているところでございます。
一方、我が国の社会・経済基盤の根幹にも関わる人口減少や東京一極集中への対応は未だ道半ばであり、加えて現政権下で発覚した、自民党派閥の政治資金問題のほか、一部宗教団体との不適切な関係を巡っては、国民の政治不信の払拭に至らなかったことは残念に思っています。
新内閣には、政治への信頼回復に向け、国民との約束である国会議員の定数削減等、身を切る政治改革に一刻も早く取り組むことは大前提であり、変化の激しい時代である今こそ、大胆で骨太な政策をしっかりと掲げていただき、国民目線に立った丁寧かつ真摯な議論を展開して、スピード感をもって成果を出すことにこだわって、国民の負託に応えることを強く期待したいと思います。