身体障害者補助犬の理解促進と給付についてお伺いいたします。
身体障害者補助犬には、目の不自由な方の歩行をサポートする盲導犬、肢体不自由の方に、物を拾ったり、運んだりしてくれる介助犬、耳の不自由な方に、玄関のチャイムなどの音を聞き分けて教えてくれる聴導犬の3種があり、障がい者の自立と社会参加に大変重要な役割を果たしています。
先日、四国キャラバンで県庁を訪問された日本介助犬協会関係者の方々から、「介助犬」の活動についてお話を伺いました。
その際、「介助犬」のピトくんと「聴導犬」のエマちゃんによる介助の実演があり、大変感動いたしました。
ピトくんは、口を上手に使って、車いすのパートナーの靴と靴下を脱がしたり、部屋のどこかに落としたケータイを見つけて届けてくれ、エマちゃんは、玄関のチャイムや火災警報機の音を鳴らすと“誰か来たよ”、“火事だよ”、と、聴覚障がいのパートナーに知らせてくれました。
会場から思わず拍手が起きましたが、介助犬にとっては、周囲から褒められることが、日々の活動のモチベーションにもつながるそうです。
席上、当事者のお一人から、「介助犬が来てくれて、私の生活は変わり、世界が変わった」とのお話がありましたが、同席した私たちにも、「補助犬」に巡り合えた喜びが、ひしひしと、伝わってまいりました。
県内各地に「補助犬」に対する理解と協力が広がり、1人でも多くの障がい者の方々に、「補助犬」がもたらす希望を感じて頂けるよう、私も微力を尽くしたいと思います。
そうした補助犬の法的根拠となる“身体障害者補助犬法”が2002年に施行されて22年が経ちますが、昨年4月現在の、本県の利用状況は、盲導犬が12頭、介助犬が1頭、聴導犬が3頭の、計16頭となっています。
障がい者ご本人が補助犬を迎えるためには、補助犬と一緒に訓練を行い、県外で実施される試験をクリアすることが求められ、補助犬の食事や排せつ処理など、一緒に暮らす環境が必要となるため、希望する方全員が利用できるというわけではありません。
県では、障がいの程度など一定の要件を満たす方に、訓練事業者が訓練を行った補助犬を給付する事業を実施していますが、課題は多岐にわたるとお聞きしております。それらを1つ1つ解決しながら、障がい者の方々が安心して補助犬と共生できる社会の実現に向けた、より一層の取り組みを期待し、お伺いいたします。
障がい者の社会参加や日常生活のパートナーとして、身体障害者補助犬はとても重要な役割を担っておりますが、まだまだ当事者を含めて社会の認知度も低く、理解も十分とは言えない現状が続く中、県は、身体障害者補助犬に対する理解促進や、補助犬の給付に向け、今後どのように取り組んでいくのか、ご所見をお聞かせください。
〈答弁概要:福祉政策統括監〉
身体障害者補助犬は、目や耳、手足に障がいのある方にとって、自立と社会参加を促進するための大切なパートナーであり、県では、個々の障がいの状況に応じた補助犬を専門の訓練事業者に委託して育成し、平成2年度の事業開始以降、延べ30頭を給付しているところでございます。
また、不特定かつ多数の者が利用する施設等では、原則、補助犬は障がい者に同伴できることとなっており、補助犬がその使用者とともに地域に溶け込み、活躍するためには、県民の皆さんに補助犬の意義を周知し、理解を深めていただくことが極めて重要と認識しております。
このため県では、補助犬の同伴が想定される医療機関や飲食店、宿泊施設等への啓発リーフレットやステッカー等の配布のほか、大型商業施設での補助犬制度の紹介に加えまして、昨年度開始した、障がい者を手助けするあいサポーターの養成でも補助犬への接し方を研修する等、理解促進に努めているところでございます。
今後とも、給付対象者への制度の更なる周知を図りながら、市町を通じて補助犬を必要とする方のニーズを的確に把握し、適切な給付に努めますほか、関係団体等とも連携し、様々な機会を捉えて啓発を行うことによりまして、障がいのある方が補助犬とともに地域で安心して日常生活を営むことができる共生社会の実現に努めて参りたいと考えております。