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2023年 9月定例会(9/19)

テーマ地域経済対策

インバウンド観光振興について(2023年9月定例会)

インバウンド観光振興についてお伺いします。

本年7月、松山市内で四国観光議員連盟総会が開催され、四国ツアーズ株式会社の中野取締役会長による「四国のインバウンドとアドベンチャートラベルの可能性について」と題した記念講演を拝聴しました。

非常に可能性に満ちた四国及び本県のインバウンド観光振興の1つの方向性が示されておりましたので、その概要に触れながら何点かお伺いしたいと思います。

まず、「国が6月に発表した観光白書2023によると、観光産業が回復する一方で「人材不足・低生産性」という構造的課題の顕在化が指摘されており、例えば従業員1人あたりの付加価値額でみると、わが国の全産業806万円に対し、観光産業は491万円、宿泊業も534万円と低く、海外の宿泊業では米国が976万円、スペイン709万円、イタリア690万円といずれも高水準で、日本は「稼げる産業」へと変革を進めなければならない」との指摘がありました。

次に、「世界経済フォーラム・ダボス会議における旅行・観光競争力ランキングで、日本は2011年に22位だったが2021年には第1位となっており、公益財団法人日本交通公社等の2019年度調査によると、次に海外旅行に行きたい国・地域で、日本は韓国・オーストラリア等を抑え、断トツの1位を獲得」し、「日本の地方観光で体験したいことは、「その土地ならでは」の料理やお酒、芸能、文化、祭りや体験といったアクティビティとなっている」との報告がありました。

さらに、国連世界観光機関が「訪問客、産業、環境、受入れ地域の需要に適合しつつ、現在と未来の経済、社会、環境への影響を十分に配慮した観光」と定義する“サステナブルツーリズム”という考え方を紐解きながら、大洲城キャッスルステイやニッポニアホテルで有名な本県「大洲市の観光まちづくりの取り組み」はそれを見事に体現し、グリーン・デスティネーションズ・ストーリー・アワードの文化・伝統保存部門で日本初の世界1位に輝いたことに触れ、四国の未来に対する展望が語られました。

そして、現状を変革するためには業界だけでなく、地域や住民も一体となった意識変革が必要であり、そうした取り組みの先に「世界的なインバウンド先進地・四国」の新たなステージが創出されるであろうと述べ、講演を締めくくられました。

県におかれましても、アフターコロナにおけるインバウンドの本格的な回復と国内需要の縮小に対応するため、6月補正予算においてインバウンド高付加価値化推進事業費を計上し、欧米豪等をターゲット国として取り組みを進めており、大いに期待するところであります。

ダボス会議における旅行・観光競争力ランキングで日本が第1位となり、グリーン・デスティネーションズ・ストーリー・アワードの文化・伝統保存部門で本県「大洲市の観光まちづくりの取り組み」が日本初の世界1位に輝くなど、本県にとって絶好のチャンス到来と考えます。

また、観光白書では、観光産業は裾野が広く、成長戦略の柱、地域活性化の切り札としてポテンシャルを有していることから、人手不足や低生産性からの脱却に向けて、観光の付加価値額を高め「稼ぐ力」の向上に取り組むことが重要であるとされています。

そこで、お伺いします。

県として、本格的な回復傾向にあるインバウンド需要に対応するため、観光の高付加価値化に向けて、今後どのように取り組むのか、ご所見をお聞かせください。

〈答弁概要:中村知事〉

本県観光産業がコロナ禍からV字回復を図り、持続可能な産業として更に成長していくためには、リピーターの獲得などによりインバウンド需要を如何に効率的に取り込むかが鍵となります。

そのためには、海外旅行者に人気のサステナブルツーリズムや「アクティビティ」「自然」「異文化体験」の要素を含むアドベンチャートラベルなどを取り入れた滞在型の観光地づくりを進めることが重要であり、それに合わせて県観光振興基本計画の目標についても宿泊者数から消費額へ転換して、訪日外国人観光消費額の倍増を掲げております。

このため県では、観光消費額が大きく訪日意欲の高い欧米豪の旅行会社を招請した視察ツアーの実施や県内観光事業者との商談会などを通じ、海外富裕層の誘客に向けた営業活動やプロモーションを強化してきており、本県の誇る食・自然・文化を組み合わせた旅行商品の造成により宿泊数の増加を図るほか、施設改修等による海外富裕層の受け入れ環境整備への支援、富裕層向けツアーガイドや多言語通訳などの人材育成を図るなど、ソフト・ハード両面において、本県観光の高付加価値化に繋がる取り組みを進めているところでございます。

今後とも、市町や地域住民が主体となった受入態勢の充実を強く働きかけるほか、世界的に注目を集める大洲市をはじめ、しまなみ海道サイクリングや石鎚登山、四国遍路など、本県の地域特性を生かした付加価値の高い体験型商品の提供を通じて、稼げる観光地への変革を図ることで、人材確保や労働生産性の向上につなげ、県内観光産業の活性化に取り組んでまいりたいと思います。

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