奨学金返還支援制度について、お伺いします。
子育て世代が最も不安に感じるのが、教育費の負担の大きさであります。
党の政策アンケートでも、多くの若者から「奨学金返還支援制度の拡充」を求める声が寄せられました。
国では現在、給付型奨学金の対象拡大や、奨学金の減額返還制度等について、制度改正に向けた議論がなされていますが、私は、県独自の施策の拡充強化についてもぜひご検討頂きたいと考えます。
ご案内の通り、県では、県内産業を支える中核人材となる学生の、県内定着及びUIJターン就職を促進するため、「愛媛県中核産業人材確保のための奨学金返還支援制度」を2018年から導入しています。
本制度は、県内に事業所を有し、中核産業として掲げる「ものづくり産業分野」、「IT関連分野」、「観光分野」のいずれかに該当し、かつ制度に登録した企業において、継続して就業した場合が支援の対象となります。
県と企業が資金を拠出し、200名程度に対し、最大約120万円が助成されるしくみで、現在、募集されている登録企業も順調に増えていると聞きます。
また、奨学金を受けていた社員に対し、企業が返還額の一部または全額を支援する日本学生支援機構の“代理返還”という制度がありますが、2021年4月から、これまで社員の給与に上乗せする方法しかなかったものが、企業が機構へ直接送金できる制度へと改善されました。
この制度により、本人は、返還の負担が軽減されるだけでなく、支援を受けた額の所得税が非課税となるというメリットが、また企業には、若手の人材採用がしやすくなり、損金算入ができることで法人税の減額が見込まれるメリットが、それぞれ生まれます。
私は、奨学金の“代理返還”制度は、奨学金の返還に悩む若者の支援、人材不足に悩む地元の企業の支援、さらには地域の活性化にもつながる制度であると考えます。
そこで、お伺いします。
県の奨学金返還支援制度の導入からこの間、登録企業への就職件数などの成果やその評価はどうか、また、企業の“代理返還”への支援など、今後の制度拡充に向けた取組みについて、ご所見をお伺いします。
〈答弁概要:経済労働部長〉
県では、県内産業を支える中核人材の確保を支援するため、応募学生が登録企業に一定期間就業した場合、最大約120万円を助成する「奨学金返還支援制度」を平成30年度に創設し、これまでに製造業や建設業、卸売・小売業など205社に登録企業として参画いただき、このうち43社に69名が就職しているところであり、県内企業の人材確保や若年者の県内定着に一定の成果が上がっているものと考えております。
今後も、より多くの学生や企業に制度を活用していただくことが重要であることから、教育機関や経済団体等への更なる周知に加え、新たにSNS等のデジタルを活用した広報活動の強化にも取り組むとともに、昨年12月から、大学4年生等を対象とした追加募集を開始したところでございます。さらに、IT人材の県内就職を促進するため、今年度から「IT人材確保枠」を創設するなど、制度の拡充にも努めているところでございます。
企業の代理返還制度における税制上の取扱いは、現在県が行っている返還支援においても同様でありますことから、県と登録企業との協働により、企業の人材確保と若者の県内定着を図る現行制度の利活用に注力しつつ、今後、制度の利用状況や就職件数等の成果を見ながら、制度の充実に向けた分析・検証を行うこととしております。