管工事業における人材育成と確保について、お伺いします。
今年初め、異例の寒波により、水道管の凍結が南予を中心に相次ぎました。
水道管が凍って水が出なくなったり、設備が破損して漏水が生じるなど、地元の皆様には極寒の中、不便な生活を強いられ大変ご苦労をなされたことと思います。
振り返れば3年前、西日本豪雨の際、宇和島市では浄水場が壊滅的な被害を受け、約1か月にわたり断水が続き、私たちが生きていく上で、“水”というものがどれほど重要か、痛感させられました。
また、近年、気候変動の影響で自然災害が激甚化、頻発化する中、県として様々な次元から“水の確保”という問題に向け備えていく必要があります。
その意味では、迅速な災害復旧を含め、日頃から、水道管路の維持管理にご尽力頂く事業者の方々が果たす役割は大きく、あらためて敬意を表したいと思います。
昨年、全国管工事業協同組合連合会が「所属員企業の経営に関する実態調査報告書」をまとめましたが、その中の「愛媛県編」によりますと、事業経営の先行きや人材確保、事業継承の見通しが不透明で、将来にわたる本県の“水の確保”に向けて極めて深刻な現場の状況が見えてまいりました。
まず、本県の管工事業界は、全体の約8割が従業員数1桁で、最も多いのは2名~4名、資本金では約4割が500万円未満という、正に“小規模経営体”を中心に構成されており、半数以上の企業で15-34歳の若年従業員が不在で後継者が未定、そして不足する人材は定年退職者を活用して凌いでいるという、事業の継続が危ぶまれる状況にあることが判明しました。
一方、若年人材については約4割がハローワークを通して確保している他、
縁故などの人づてが約4割、学校への求人は約1割と少なく、“人材供給のしくみ”が業界として十分に構築できていないことも浮き彫りとなりました。
このことについて私は、直近では2017年より累次にわたり本会議で取り上げてまいりましたが、その後も、自然災害が毎年のように頻発する中、管工事業における人材の育成と供給に関する体制整備をより急ぐ必要があると、痛切に感じてなりません。
本県の実業高校には、専門的な技術を学ぶことができる学科が数多く設置されており、卒業生は高校で学んだ実践的で高度な技能や技術を生かして、地域産業や地元企業など幅広い分野で、産業・社会を支える人材として活躍されております。
しかしながら、管工事業については、県内に専門で学べる実業高校はなく、専門学科で学ぼうとすれば、広島や岡山など県外へ進学することとなり、先ほどの実態調査報告でも明らかなように、現役技術者の高齢化と若年入職者の減少により、すぐれた技能の継承と後継者の育成・確保が喫緊の課題となっており、業界の将来見通しは極めて不透明と言わざるをえないのです。
“水”は、電気やガスとともに、私たちの命と暮らしに必要不可欠なインフラであり、平時から非常時の災害復旧まで“水”の確保に向けて油断なく備えることは、県として極めて重要な責務であると私は考えます。
そこで、お伺いします。
喫緊の課題である管工事業の人材の育成確保について、生徒とご家族の負担軽減のためにも、県内いずれかの実業高校において“業界への入り口”となる、管工事等の専門課程を学ぶことができる設備科(定員35~40名程度)、もしくは少人数の設備コース(定員10名程度)をぜひ設置すべきと考えますが、ご所見をお示しください。
<答弁概要:教育長>
県立高校の職業学科は、地域産業を支え即戦力として活躍できる人材育成を目標の一つに掲げており、水道やガスなど重要なライフラインを支える管工事についても、県内の工業高校6校のうち4校5学科において、建築や土木分野を学ぶ中で、給排水やガス設備、上下水道等の基礎的知識を学習させているほか、6校全てで、県管工事協同組合連合会による出前授業や企業技術者等による「匠の技教室」等を通じ、実務能力の向上はもとより、管工事業の意義や魅力を伝える取組みを進めているところでございます。
また、国家資格である技能検定についても、教員が放課後等を利用し希望者への実技指導を行ってきた結果、昨年度は「建築配管作業3級」に12名が合格し、より高度な技術力が求められる2級にも県内の高校生では初めて2名が合格するなど、管工事に関する確かな知識や技能を身に付けた高校生が着実に育成されてきております。
職業学科の在り方については、現在、策定中の県立学校振興計画の中で、地域の意見や産業動向も考慮しながら時代のニーズに沿った見直しを検討しており、新たな学科等の設置についても、今後、総合的見地からその必要性等について検討していきたいと考えております。