発達障がい者支援について - 質問 -
次に、発達障がい者支援について伺います。
私は、発達障害者支援法が改正された直後の昨年9月定例会において、県として国に即応し、速やかに支援強化に取り組んでほしい旨の要望を申し上げました。当事者と家族の切なる願いを込めての質問でありましたが、その思いに応える形で、新年度当初予算案に各種の事業が盛り込まれております。
具体的には、県発達障がい者支援地域協議会の設置・運営、東・中・南予それぞれへの地域支援マネージャー、地域支援ネットワーク会議の設置、そして、県内医師等に対する研修事業の開催などであります。このことにつき、まずもって理事者各位の御尽力に感謝を申し上げたいと思います。
さて、昨年の改正法では、発達障がい者一人一人のライフステージを通じた切れ目のないきめ細やかな支援が新たに規定され、誰もが地域の身近な場所で支援を受けられる体制づくりを進めることが、都道府県を初め、自治体に強く求められることとなりました。
この間、県では、発達障がい者支援センターを核とし、当事者や家族等への相談対応を行っておりますが、開設後9年間で、相談件数が2倍近くに増加する中、各市町や事業所に対する支援機関としての機能が十分に発揮できておらず、当事者や家族からなかなか身近で相談や支援が受けられないといった点が指摘されておりました。
新たに設置される県発達障がい者支援地域協議会は、こうした課題の解消に資するものとして大いに期待されますとともに、私は、その果たすべき役割は極めて大きいと考えております。なぜなら法律には、発達障がい者一人一人に対する切れ目のない支援とあるものの、実際には、ライフステージ個々の支援はあっても、あちこちに切れ目があり途切れているというのが当事者や家族の率直なお声であるからであります。
例えば、幼稚園、小学校、中学校と進むたびに、もっといえばクラスや先生が変わるたびに、子供の特性について一から説明しなければならないつらさ、子供を取り巻く関係者の理解レベルや支援スキルの格差、将来の進路や就労に対する不安との葛藤、そうした多様な悩みについて、安心して相談できる場所と確かな支援につなげてくれる体制を当事者と家族は心の底から待ち望んでいるのであります。
その意味からも、私は、やはり相談窓口は最も身近な自治体ごとにあるべきであり、そこから医療、保健、福祉、教育、労働、その他の関係機関とつながって、当事者の特性に応じ速やかに適切な支援が受けられるというのが望まれる姿ではないかと思います。そして、県内全てで格差なく、そうした環境を整備していくことが県に求められる重要な役割であると思うのであります。
また、日ごろ、地域や病院、診療所等において、発達障がいに対する理解や対応にばらつきがあり、県全体として底上げしてほしいといった御要望をいただく中、私は、新年度当初予算案に盛り込まれたかかりつけ医等発達障がい対応力向上研修事業にも注目したいと思います。県内どの地域においても、一定の対応水準を確立するために、とても重要な事業と考えるからであります。
そこで、お伺いします。
今後、県は、発達障がい者に対する切れ目のない支援体制の構築に向けてどのように整備を進めていくのか、かかりつけ医等発達障がい対応力向上研修事業の取り組みも含めてお聞かせください。
発達障がい者支援について - 答弁 -
答弁:中村知事
次に、発達障がい者に対する支援体制についての御質問にお答えさせていただきます。
発達障がいに関する相談件数の増加や支援ニーズの多様化を踏まえまして、県では、発達障がいを抱える方とその御家族が安心して日常生活を営んでいけるよう、来年度から発達障がい者支援地域協議会を設置し、当事者団体や学識経験者、医療、福祉、教育等の関係機関等との連携のもと、地域の支援ニーズや実情等を踏まえた効果的な支援方策を取りまとめるとともに、順次具体化を図り、全県的な支援体制を構築していきたいと考えております。
まず、東・中・南予圏域に新たに地域支援マネージャーを配置し、その専門性や機動性を生かして、市町、学校、事業者等への助言や支援担当職員のスキル向上、市町や圏域単位でのネットワークの強化などに取り組み、当事者や御家族がライフステージを通じて、障がい特性等を踏まえたきめ細かな支援を地域で受けられる環境整備を図ることとしています。
また、発達障がいに関する医療面での地域間格差の改善を図って、早期発見・早期支援に結びつけるため、県医師会との連携のもと、地域のかかりつけ医等を対象に、発達障がい対応力向上研修を実施するとともに、専門医療機関や福祉関連部門等との連携を強化していきたいと考えております。
県では、これらの取り組みをスピード感を持って推進し、早期に支援体制の底上げを図るとともに、発達障がいを含めた全ての障がい者が障がいの有無で分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合う共生社会の実現に向けた取り組みを進めてまいりたいと思います。