通級指導について - 質問 -
関連して、通級指導についてお伺いします。
このたび政府では、発達障がいなどのある児童生徒に対し、個々の状況に応じた適切な支援をするため、通級指導教室の定数拡充を決め、2017年度予算に盛り込みました。
これまでは、予算編成のたびに変動する加配定数の一部でありましたが、これを対象の児童生徒数に応じて自動的に決まる基礎定数に位置づけ、今後、10年かけて計画的に増員することによって、通級指導の教員1人が受け持つ児童生徒数を従来の16人から13人へと手厚くする見通しであります。
他県の事例によれば、長期欠席生徒数が劇的に減少し、社会的スキルや知能尺度、不登校傾向の改善が進み、学習意欲や自己肯定感の向上が見られるなど、通級指導教室設置の効果には非常に顕著なものがあります。その最大の要因は、学校内に確かな居場所があるという心理的安心感だと言われております。
文部科学省の報告によりますと、2015年度に通級指導を受けた児童生徒数は約9万人に上り、ここ10年で2倍以上に急増しているとのこと。そのため希望しても通級指導が受けられない待機児童は、全国に少なくとも1万人はいるとのことで、今回の改善はその解消に向けた大きな前進と言えます。
この問題について私は、2012年の2月定例会で取り上げ、全小学校への設置を目指した取り組みを訴えました。その際の答弁は、通級指導教室の設置は、国の加配定数によるため速やかな拡大は難しく、国に対して加配教員の増員を要望していきたいとのことでありました。
それを受け、私も微力ながら、その後、国に働きかけ、我が党の国会議員が他党に先駆け提言を重ねる中で、今回の運びとなったことを大変うれしく思うのであります。
そこで、お伺いします。
5年前の時点では、本県の通級指導教室の設置数は、小学校で333校中43教室、中学校で135校中8教室でありましたが、現在の設置状況はどうか。また、東・中・南予別の内訳及び今後の設置拡大の見通しについてもあわせてお示しください。
さらに、2018年度からは新たに高校にも通級指導が導入、制度化され、単位が認められるようになります。
文部科学省の調査では、高校進学者のうち発達障がいの可能性のある生徒は2.2%と推計され、学校現場からも入学後、学校生活に適応できず中退したり不登校になったりする例が最近はふえているとの報告が上がっております。
そうした中、来年度からの導入決定は、この2.2%の生徒たちにとって、一筋の光明となるに違いありません。そして、将来、小学校から高校まで継続した一貫支援が実現できるとなれば、当事者や家族のお喜びはいかばかりかと同慶にたえないのであります。
そこで、お伺いします。
県は、2018年度からの高校への通級指導導入に向けて、どのように取り組むのか。また、発達障がい児・者に対する教育の一貫支援という観点から、今後、どのように取り組んでいくのか、お聞かせ願いたいのであります。
2012年2月定例会では、あわせて発達障がいの早期発見に向けて、教育現場に医学的知見を導入し、その活用によって子供たちへの適切な診断と対応ができる環境づくりを要望しましたが、これは早期発見の重要性を意図するものでありました。
一般の病院や診療所においてでさえ、医師によって診断が食い違うことがあるなど、発達障がいの判定は非常に難しいと言われます。教育現場にそうした医学的な知見がなく早期の発見がなされない場合、発達障がいのある子供たちの多くは学校生活において困難と向き合うことになります。仲間と良好な関係がうまく築けず、授業や集団行動になじめないことなどにより、褒められるよりも叱られたり注意されたりする方が多くなり、次第に自己肯定感の希薄な自己が形成され、場合によっては、いじめや不登校、ひきこもり、強迫神経症、不安障がい、チックなどの二次障がいにつながると言われます。
そこで、改めてお伺いします。
学校生活の困難及び二次障がいを防ぐためにも、私は教育現場への医学的知見の導入による発達障がいの早期発見とそれに基づいた適切な環境づくりが重要であると考えますが、このことについて御所見をお示しください。
通級指導について - 答弁 -
答弁:教育長
通級指導について、3点お尋ねがございました。
まず、通級指導教室の設置状況についてでございますが、本県におきましても、全国と同様に、言語障がいや発達障がい等のある児童生徒を対象とした通級指導のニーズが高まっており、平成28年度は小学校283校中58教室、中学校130校中14教室の計72教室を設置し、5年前に比べまして、学校数が55校減少する中、21教室の増となっております。
なお、地域別では、東予27教室、中予31教室、南予14教室となっております。
通級指導教室は、国から加配措置された教員数に基づき設置しておりますが、今後、国による基礎定数化の進行に伴い、順次設置数が増加する見通しでございまして、待機児童の解消や、より手厚い指導が可能になるものと考えております。
答弁:教育長
次に、高校への通級指導導入についてでございますが、全国的に小中学校で通級指導を受ける児童生徒数が増加している状況を踏まえ、国は昨年12月に関係省令等の改正を行い、平成30年度から加配措置の導入により、高等学校における通級指導が実施できるようになりました。
本県におきましても、中学校で通級指導を受ける生徒は年々増加しており、それら生徒の約90%が高等学校に進学しておりますことから、県教育委員会では、平成30年度からの導入に向け、昨年10月、関係課で構成するワーキンググループを設置しまして、通級指導を要する生徒の把握、実施校の選定や担当教員の配置、効果的な実施形態のあり方、単位の認定や指導時間の確保など高等学校特有の課題について検討を進めているところでございます。
発達障がいを含め、小中学校等において通級指導を受けてきた生徒にとって、高等学校における通級指導は、小学校からの学びの連続性の確保につながりますことから、今後とも、生徒、保護者のニーズを踏まえながら、教育効果の検証を重ね、効果的な導入を図ってまいりたいと考えております。
答弁:教育長
最後に、教育現場への医学的知見の導入についてお答えさせていただきます。
発達障がいのある子供は、障がいの状態等をできるだけ早期から的確に捉え、必要な支援を行うことが重要であり、医学的知見の活用は障がいの診断に基づく適切な支援のあり方を明確にする上で有用であると認識をしております。
各学校では、県教育委員会が医師の参画を得て策定をした発達障がいに係るチェックリストなどを活用し、特別な支援が必要な子供の早期発見に努め、その結果に基づき、障がい特性等に応じた学習環境づくりに取り組んでおり、医師等の支援を必要とするケースでは、市町の発達支援センター等との連携により、医療機関への受診等につなぐなどの取り組みがなされているほか、県教育委員会では、医師等で構成します専門家チームや巡回相談員を学校現場からの要請に応じ、相談、派遣する体制を整えているところでございます。
今後とも、来年度、県が設置を予定しております発達障がい者支援地域協議会等により構築される全県的なネットワークを積極的に活用しながら、特別な支援が必要な児童生徒等の早期発見や当該児童生徒等に対する早期からの適切な支援に取り組んでまいりたいと考えております。