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2016年 9月定例会(9/16)

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今夏の参議院議員選挙について(2016年9月定例会)

今夏の参議院議員選挙について - 質問 -

公明党の木村誉でございます。

今夏も台風10号を初めとした自然災害が猛威を振るい、東北、北海道を中心に各地で甚大な被害がもたらされました。犠牲となられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、被災者の皆様に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。
一日も早い復興と安寧を祈りつつ、会派を代表し、質問に入らせていただきます。

初めに、今夏の参院選を振り返り、まず、合区問題についてお尋ねします。

御案内のとおり、これまで都道府県単位が原則であった参議院選の選挙区が、一票の格差を是正するため、今回初めて鳥取・島根、徳島・高知において統合され、合区となりました。

2010年、2013年の参院選は、いずれも違憲状態であり、合理的な期間内に是正がなければ違憲であるとした最高裁の判断を重く受けとめた国会は、この間、選挙制度に関するさまざまな議論を踏まえながら、2014年衆院選で0増5減、今夏の参院選で10増10減という定数変更を行いました。

これにより、参議院選挙区の一票の最大格差は2013年の4.77倍から今回3.08倍に縮小。格差という観点からは一定の是正が図られたわけですが、一方では深刻な課題が浮き彫りとなりました。

特に、合区の対象となった4つの県では、終始根強い反発が見られ、例えば、地元候補者が不在となった高知県では、投票率が前回に比べてマイナス4.37ポイントの45.52%となり、過去最低かつ全都道府県で最下位を記録。地元候補者不在で隣県の候補者しか選択肢がないということでは、有権者の関心が低下するのは当然であります。

同様に、7月に実施された全国知事会でも、参議院選挙における合区の解消に関する決議が採択され、合区を早急に解消させる対応を図るとともに、選挙制度をめぐり憲法改正についても議論すべきとの要請が行われたと承知しております。

そもそもの出発点となった一票の格差問題は、憲法第14条が定める法のもとの平等に照らし導き出されたものであります。しかし、当然ながら、何倍までは可とか不可などとは憲法にもどこにも書かれておりませんし、過去の参院選においては5倍や6倍の格差であっても合憲という最高裁判決も見られることは、御案内のとおりであります。

その意味で、私は、憲法第47条の「選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める」という規定に照らし、格差に関する国会の裁量はどの程度まで認められるのかということが、まず問われなければならないのではないかと思うのであります。

今回の参院選では、一票の格差を3倍未満に抑えることを目途に、3.08倍まで縮小されましたが、果たしてこれは合憲と言えるのか、そうでないとすれば、何倍未満であれば合憲なのか、現時点では不明と言わざるを得ません。

仮に、一票の格差は一切認められないとなれば、私に思いつく方法は2つです。

1つは、全て全国区にして上位から定数分の議員を当選させる方法であり、もう1つは、全国の有権者数を議員定数で割った人口を基準に1つの選挙区とし、都道府県や市町村の境界は考慮に入れず、同じ人口となる選挙区を議員定数の数だけ設定する方法であります。

しかし、いずれも国民の皆様に御理解いただけるとは思えません。ゆえに私は、国会がどこまで格差は許容されるのかということについて、一定の合理性をもって国民に提示し、理解を得る勇気を持たねばならないと思うのであります。

合区によるもう1つの弊害は、選挙区が都道府県単位というこれまでの原則が崩れたことであります。

今回の是正方式では、今後、さらに都市部における人口集中と、地方における人口減少が進めば、合区はますます拡大することになります。つまり、一票の格差是正を進めることにより、かえって地方の声が届きにくくなるという矛盾が拡大し、政治に対する有権者の関心がますます低下することが懸念されるのであります。

こうした事態に対し、一部では、憲法を改正し、参議院議員を都道府県代表と位置づけるべきとの意見も聞かれますが、昨年改正された公職選挙法では、その附則に、2019年の参院選に向けて選挙制度の抜本的見直しについて必ず結論を得ると明記されているとおり、この議論には期限があり、この3年内に憲法改正を実現することは極めて困難と思います。

今回の合区問題は、一票の格差に端を発しながら、衆議院と参議院の権限と役割といった二院制にまつわる課題の検証や、先ほどの憲法改正問題を含め、我が国の民主主義のあり方が問われる議論と地続きであります。一票の格差是正と合区解消。今後、国はこの2つを同時に満たす抜本的な選挙制度改革を実現しなければなりません。そのタイムリミットは3年であります。

そこで、お伺いします。
知事は、一票の格差についてどう認識し、一票の格差を是正するために初めて適用された今夏の参院選における合区問題についてどう受けとめるのか。我が国の二院制のあり方や憲法改正の必要性も含め、今後、参議院に求められる抜本的な選挙制度改革について、御所見をお示しください。

今夏の参議院議員選挙について - 答弁 -

答弁:中村時広知事

まず、参議院選挙の合区問題についてお答えをさせていただきます。

一票の格差問題については、最高裁が投票価値の平等は憲法上の要請であると判示しており、選挙区の議員定数を決定するに当たりましては、選挙区の人口を基本とすることはやむを得ないのではないかと思います。

しかしながら、地方分権が道半ばである現時点においては、人口の多寡にかかわらず、広く地域の声が国に届く仕組みも必要であり、現状のように、人口移動があるたびに地方の実情を考慮せず、一票の格差是正を取り繕うためだけの定数振替や選挙区域の変更を繰り返すことや、緊急避難的に人口の少ない県を合区することは、決して望ましいことではないと考えます。

今回の参院選で合区となった県では、投票率が低下したり、国政及び選挙に対する期待や関心が希薄になるなどの弊害が顕在化しており、本年7月の全国知事会においても、合区の解消及び地方の意見がしっかり反映される選挙制度への見直しを検討するよう決議をしたところでございます。

国会においては、国と地方の役割分担や地方分権の推進、衆議院と参議院の役割の明確化など、国のあるべき姿をきちんと示して、選挙制度のあり方について抜本的な見直しを検討するよう、これまでも訴えてきたところであり、一票の格差や参議院を都道府県代表に位置づけることなどを整合的に解決するには、憲法改正も視野に入れながら、国民に見える形で徹底的に議論を尽くし、合区解消に向けて早急に結論を出すよう、強く求めていきたいと思います。

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