貨物集配中の車両にかかる駐車規制の見直しについて - 質問 -
最後に、貨物集配中の車両にかかる駐車規制の見直しについてお伺いします。
松山市の中心市街地は、本県最大の商業、オフィス、サービス産業の集積地です。人や乗り物が絶えず往来し、日々、商品や商材など様々なモノが流通していますが、先般、貨物集配を伴う事業者から駐車規制の見直しに関する要望をお聞きしました。
例えば、中心市街地にとりわけ多い飲食店では、運び込まれる貨物も食材、飲料、什器、おしぼり、クリーニングなどと幅が広く、集配・運送業者も分野ごとに多岐にわたり存在するわけですが、通常、彼らはコインパーキングなどの有料駐車場に車両を停め、そこから台車を活用するなどし、商品を店舗まで運搬しています。
その距離が短ければ特段問題はないのですが、積み下ろしよりむしろ移動時間の方が長い場合が専らなのだそうです。
大手の宅配業者などでは助手となる社員を車内に待機させ、集配中に何かあればすぐ移動させることも可能ですが、下請業者や中小事業者となりますと、助手を乗せるだけの人件費を賄うことは困難で、駐車場に停める以外なく、1日数十回にも上る駐車代が経営的に大きな負担となっているのが実情です。
あるいは、周囲の安全を確認した上で配達を行い、車両に戻ってくるわずかの間に駐車違反とされ、“それは会社の指導に反するから”と心を痛めながら、罰金を社員の自己負担に求めると、その時点で会社を辞められた、ということも一度や二度ではない、そんな声もお聞きしました。
実は、この駐車規制見直しに関する要望は以前からも根強くあり、私もここ10年間で何度となくご相談をお受けし、その都度、関係部局に申し入れを行ったのですが、
毎回の結論は、無電柱化など都市整備の観点を踏まえ、集配車両のための荷捌き駐車場を可能な限り整備するとのことでありました。
実際、荷捌き駐車場は昨年、花園町通りに4か所設置され、ロープウェイ街、道後地区合わせて合計9か所となったものの、中心市街地では殆ど増えておりません。
県下で最も商業ニーズが高いエリアだけに、土地の確保や利害調整に困難を極めることは十分理解できますし、逆に言うと、今後も急速な整備拡大は難しいのではないかと感じています。
一方、県外に目を転じますと、中心市街地における駐車規制の見直しに対するニーズは、本県のみならず他県においても同様であり、全国的な課題であることが、本年3月の内閣委員会の質疑でも明らかとなりました。その際の、私ども公明党の西田実仁参議院議員の質問は次のようなものでありました。
「荷捌き駐車場の整備がなかなか追いつかないという中で、悪質、危険な違反はもちろん厳しく取り締まるにしても、それほど迷惑になりえない箇所での駐車規制のあり方については緩和していくという指導方針を定めてもらいたい。駐車監視員活動ガイドラインについても、違法駐車の状況の変化や地域住民等の意見、下請けや運送業者の要望も踏まえて見直しを行ってもらいたい。」
これに対し、小此木八郎国家公安委員長からは、
「警察庁においては、本年2月、都道府県警に対して、通達により、安全、円滑な交通を確保しつつ、集配中の宅配車両等を駐車させることができる場所については、貨物集配中の車両の駐車を可能とする駐車規制の見直しを行うよう指示した。駐車監視員活動ガイドラインについても見直しを行うよう警察を指導していく。」という主旨の答弁がありました。
この質疑は“働き方改革”という大きな議論の一環で、大臣の答弁は、昨年6月から4回にわたり重ねられた「建設業・自動車運送事業者の働き方改革に関する関係省庁連絡会議」における決定事項の一部を成すものです。
こうした動きを受け、警視庁では場所と時間帯を限定して駐車ができるような規制緩和を既に実現しており、また、金沢市では、荷捌き車両を中心市街地の裏通りに誘導したり、あるいは市有地や借り上げた民間駐車場を荷捌き駐車場として整備するなど、地域と行政と運送側が一体となった取り組みを進めております。
なお、警察庁では、迅速な見直しが可能なものについては、2020年度までに各都道府県警において駐車規制の見直しを行い、2021年度からも必要に応じて、随時駐車規制の見直しを実施することを求めています。
そこで、お伺いします。
県警では、松山市中心市街地での貨物の集配・運送の実態をどのように把握、認識しているのか。また、当該する運送事業者は多岐にわたりますが、これまでにどのような声が寄せられているのか、ご所見をお示しください。
かつて同エリアは違法駐車が後を絶たず、不便かつ危険で、市民から苦情の多い状況でありました。それが、今では殆ど違法駐車は見られないほど改善され、この間の県警・松山市など関係各位のご尽力に対し敬意を表したいと思います。
その上で私は、行き過ぎた規制が、地域の経済活動や配送を始めとする、とりわけ多くの中小・小規模事業者に負担を強いるものであってはならないと懸念するものであります。
そこで、お伺いします。
交通安全と円滑な経済活動の両面から、国による今回の“貨物集配中の車両にかかる駐車規制の見直し”について、迅速かつ適切な対応を望みたいと考えますが、見解をお示しください。ご清聴、誠に有難うございました。
貨物集配中の車両にかかる駐車規制の見直しについて - 答弁 -
答弁要旨:警察本部長
松山市中心市街地においては、一定の駐車規制により交通の安全と円滑を確保する必要がある一方で、貨物集配中の車両による短時間駐車の需要が増加傾向にあることから、こうした需要にも配慮していく必要があるものと認識している。
これまでに、県警では、松山市が進めている松山市中心市街地の再開発構想における協議の中で、荷捌き用スペースの確保について要望を受けているほか、道路管理者や関係機関・団体と連携し、駐車規制に関する意見や要望の把握に努めている。
答弁要旨:警察本部長
先程述べたように、松山市中心市街地においても、近年、貨物集配中の車両による短時間駐車の需要が増加傾向にあることから、こうした需要に配慮し、駐車規制について一定の見直しを行う必要があると考えている。
今後、警察庁通達を踏まえ、貨物自動車運送事業者等から具体的な要望を把握し、交通実態について十分な調査をした上で、道路管理者とも連携しつつ、適切に対応してまいりたい。