民主党の政権運営について - 質問 -
(拍手)公明党の木村誉でございます。
冒頭に、私ごとで恐縮ですが、早いもので初登壇から5年がたちました。そのころは若いと思っていた年齢も、もう少しで50の声が聞こえるようになりました。
そうなりますと、いろいろな変化も起きてまいります。最近は少し老眼も入り、先日は奥歯の詰め物がとれたため、久しぶりに歯医者に行ってまいりました。せっかくの機会とばかり総点検してもらったところ、思いのほか虫歯が多いことが発覚、幸いだったのは、全て軽度で、抜歯などの心配もなく、医師からは全体の治療計画や概算費用についても丁寧な説明をいただき、とても安心いたしました。
同時に、仕事柄でしょうか、治療を受けながら思いました。防災・減災対策も、早目に手を打つことが大事だ。橋が落ちてからでは遅い。災害が起きてからでは間に合わない。また、社会保障と税の一体改革も、全体像と負担の関係をきちんと示すことが大事だ。国民が求めているのは将来にわたる安心であって、政治が今果たすべき役割は余りにも明確であるということでした。
朝夕めっきり涼しくなり、過ごしやすい季節となりました。スポーツの秋、読書の秋、そして、この秋が国民に希望をもたらす信を問う秋となることを願いながら、会派を代表して質問に入らせていただきます。
初めに、民主党の政権運営及び二大政党制についてお伺いいたします。
今月2日、野田政権は発足から1年を迎えました。民主党政権下で3人目として登場した野田総理ですが、先月29日には参議院で問責決議が可決されました。野田政権の1年を概括的に振り返りますと、何といっても2009年、衆院選で掲げたマニフェストの破綻が挙げられます。
まず、財源についてですが、衆議院議員の任期4年間で必要な政策経費16.8兆円を予算の無駄を削減し生み出すとしていましたが、政権交代から3年が経過しても歳出の削減額はわずか2.9兆円ほど、しかも今年度予算も、2年連続、新規国債発行額が税収を上回るという水膨れかつ借金体質の予算編成となりました。
ばらまきの象徴である子ども手当は廃止され、高速道路無料化はお蔵入り、「コンクリートから人へ」というキャッチフレーズの象徴であった八ッ場ダム建設中止は建設再開に方針転換、国家公務員の人件費2割削減も、平均7.8%の給与削減を2年間限定で実施するだけで、実現の見通しは全く立っておりません。
このように、マニフェストでやると言った政策が次々と葬り去られる一方で、やらないと言った消費税の引き上げには力を注ぎました。
しかし、消費税増税先行は許さないという立場から、公明党は、増税先行に待ったをかける覚悟で3党協議に参加。その結果、私たちの主張した1年以内に社会保障の全体像を明確にすること、軽減税率など低所得者対策を導入すること、さらに景気条項などが盛り込まれ、社会保障と税の一体改革関連法が先月成立。しかし、野田総理が政治生命をかけたその内容は、現行の年金制度の補強など自公政権時代に青写真が描かれたものがほとんどであり、最低保障年金や後期高齢者医療制度の廃止など、みずから掲げた看板政策は事実上の撤回に追いやられました。
また、外交、安全保障でも大きな禍根を残しました。ロシアのメドベージェフ首相には、ことし7月、大統領時代に続いて2度目の北方領土訪問を許し、先月には韓国の李明博大統領が竹島に上陸したことを契機に日韓の政府間で対立が激化。さらには、尖閣諸島にも香港・中国から民間活動家や漁船が押し寄せるなど、立て続く内憂外患に、国民から冷静さを奪いかねない危うい状況をつくり出しました。
また、先送りばかりで遅く鈍い民主党の決められない政治は、東日本大震災の復興においても決定的な影響を与えました。本格的な復興予算の成立は、発災から8カ月後の11月にまでずれ込み、その影響で各自治体の復興計画策定がおくれ、約15兆円に上る昨年度復興予算は、4割に当たる約6兆円が年度内に執行されないまま残りました。逆に今年度の復興予算は、その反動から極めて査定が甘く、復興以外への使途に対する疑惑が大きく取り沙汰をされています。
党内のばらばらぶりも目に余り、重要課題をめぐっての深刻な党内対立は、最終的に党分裂の事態にも発展しました。
先週行われた代表選で野田代表の続投が決まりましたが、「近いうち」から既に1カ月、言ったことをやらないのはこれで最後にして、早急に堂々と信を問うていただきたいと思います。
そこで、お伺いいたします。
知事は、民主党政権による政権交代後の国政運営についてどう総括するのか。また、近いうちと言われる総選挙はどんな争点で行われるべきか、御所見をお示しください。
民主党の政権運営について - 答弁 -
答弁:中村時広知事
木村議員に、まず、政権交代後の国政運営等々についてお答えをさせていただきます。
民主党政権は、慢性的なデフレや円高の進行など長引く不況により日本経済が疲弊し、国民の将来への不安が高まる中、マニフェストで国民に約束した政策の実行が大きく期待され、歴史的な政権交代を果たしたものでございますが、衆参ねじれ現象も相まって、調整不足や未熟な政権運営等により十分な成果を出せておらず、国民の間には大きな失望感が広がっているのではないかと考えます。
特に、東日本大震災の被災地においては、今なお、多数の方々が避難生活を余儀なくされているほか、原子力発電所の安全対策と再起動問題、経済再生等の喫緊の課題についても、解決に向けた道筋を描き切れず立ち往生しており、加えて一部野党も政局優先の対応であり、政府と国会が機能不全に陥っていると言っても過言ではないと思います。
また、先月成立した社会保障と税の一体改革関連法案については、社会保障の安定財源確保は避けて通れない課題であり、マニフェストになかった消費税の引き上げはやむを得ない選択であったとは考えますが、一方で、マニフェストに明記している国会議員定数の大幅削減、世襲制限等の身を削る改革については、一向に与野党間の協議が進んでおらず、大きな違和感を感じているところであります。
最近の国政は、毎年、猫の目のように首相が交代し、決められない政治が続いていますが、次期総選挙においては、政治の信頼回復と日本の力強い再生に向けた道筋を明らかにするとの視点に立ち、先ほどの身を削る改革や地方分権改革の断行を初め、震災からの復興、防災対策、エネルギー対策、原子力安全対策、経済対策など直面する諸課題について、国民の前で逃げることなく政策論争を闘わせるべきではないかと考えています。