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2012年 9月定例会(9/24)

テーマ地域経済対策

今後の国と地方のあり方について(2012年9月定例会)

今後の国と地方のあり方について - 質問 -

次に、今後の国と地方のあり方についてお伺いします。

次期衆院選に向けて、橋下大阪市長率いる日本維新の会の動向に注目が集まっています。維新が示すメッセージのコアは明快です。国の統治の仕組みを変える、つまり、中央集権と決別し、地方が自立するということにほかなりません。

8月23日の記者会見で、知事は、地方分権への道筋について次のように語られました。

第1段階として、最初に明確にすべきは国と地方の役割分担であり、まず、国の役割を固め、それ以外は地方が担うという整理を行い、それに応じた権限と財源の移譲が地方に対して行われること。第2段階は、地方側で、まず、住民に最も身近な基礎自治体がどこまでの範囲を担うのか、担えるのかということを議論して決めること。そして、第3段階として、一基礎自治体では対応できない案件や市町で利害が衝突するような案件を担うのが広域自治体であり、その組織というものが県であるべきか、広域連合であるべきか、あるいは道州であるべきかを決定する。これが本来あるべき議論のステップではないかという所見でありました。

まさにそのとおりでありましょう。既成政党として最も早く地域主権型道州制を掲げ、元祖地域政党としてその実現を目指す私たち公明党も同意するものであります。

が、現政権も、官僚も、絶対にそれをやりたがらない。事実、地域主権改革を一丁目一番地に掲げて政権交代した後、まるで住所不明になっているではありませんか。近いうちと言われる総選挙では、地方分権を確実に推進する政権の枠組みへと変える以外ありません。

そんな思いで、知事にお伺いします。

まず、今後の国と地方のあり方に関して、第1段階の国と地方の役割分担のうち、国が果たすべき役割の範囲について御所見をお示しください。

次に、第2段階の基礎自治体が担う範囲ですが、国の役割を必要最低限のものに限定するとしたら、言うまでもなく、地方の役割と権限・財源は相対的かつ飛躍的に増すことになります。

ニア・イズ・ベターの観点からいうと、行政事務はできるだけ基礎自治体に比重を置くべきと考えるのでありますが、基礎自治体の役割分担についてはおよそどこまでを範囲とすべきなのか、御所見をお示しください。

そして、最終の第3段階で広域自治体の役割ということになりますが、この部分は、将来の本県はどうあるべきかという議論であり、私たちにとって重大な決断を伴う当事者問題となります。果たして県を廃して道州を置くのか、広域連合を置くのか、その受け皿をどうするのかという問題であり、第2次廃藩置県と言っても過言ではありません。

ここで重要な点は、新たな広域自治体は、国とも基礎自治体とも異なる明確なミッションを掲げるということ、そして、中央の種々の権限を移譲するために十分な経済規模を持つということだと私は考えます。

国の場合は、言うまでもなく国民の生命と財産を守ることを基本とした上で、国益の追求ということが最大のミッションと言えるでありましょう。したがいまして、外交・防衛など国際社会における日本の存在価値を高らしめ、その地位を確固たるものにするとともに、国内においては、通貨の発行・管理のように全国共通でなければならない基準の策定など、そのミッションは必要最低限に特化すべきであります。

では、新たな広域自治体のミッションは何か。それは、国同様に、道州益、または広域連合益の追求である。このことは論をまたないと思いますが、その場合、広域自治体が担う役割と権限は、準国家、地域国家レベルに膨らんでまいります。

そして、全国の広域自治体がそれぞれ自律的に存在し、かつ独創的な発展を実現していくためには、産業の振興、つまり雇用創出こそがその最大のミッションになるのではないか、経済基盤の裏づけのない広域自治体議論は画餅にすぎないのではないかと私は思うのであります。

一例として経済人口規模を見てみますと、本県としてこれから目指す広域自治体が四国サイズであれば、人口は約400万人。国際連合の2010年データによると、世界196カ国中第125位に相当するそうです。GDPで見ると約13兆円、世界第49位相当で、ちょうどルーマニアくらいの規模になります。

中四国サイズになると、スケールが大きく変わりまして、人口は約1,154万人となり、ギリシャを抜いて世界第72位、GDPは約40兆円で、スイスに次いで世界第20位相当ということであります。

このように、想定される新たな広域自治体を経済人口規模で見ますと、四国サイズであれ、中四国サイズであれ、十分に準国家、地域国家たり得ると思うのであります。そうであれば、それにふさわしい財源と立法権・徴税権を含む相当の権限を有するものでなくてはなりません。

あるいは、角度を変えて見ますと、本県の上島町は、交通インフラを含め、地域経済的には広島県により近いところがあり、そうした県境特有の事情は、香川県の直島など瀬戸内海の離島の多くにも見られます。また、岡山県と香川県は、電波放送業界では岡高地区と呼ばれ、全国でも珍しい1つのエリアとしてくくられ、長い歴史を有しております。

しまなみ海道や瀬戸大橋がなかった時代につくられた県境によるこうした特殊な事情についても、中四国サイズの広域自治体ができればおのずと解消されるでありましょうし、全国に目を転じても、1,000万人レベルのサイズであれば、国内の他の広域自治体に対しても、あるいは国際的にも、地域国家として遜色のない競争が可能になるのではないか。さらには、今後、瀬戸内ブランドを推進していく中で沿岸6県の有機的連携が進む可能性などを考慮すると、私は、将来の分権の受け皿として中四国州がよりふさわしいのではないかと考えるのであります。

そこで、お伺いいたします。

知事は、最終の第3段階における広域自治体のあり方、また、役割と権限について、現時点でどのようなイメージを持っているのか、具体的にお示しください。

今後の国と地方のあり方について - 答弁 -

答弁:中村時広知事

次に、広域自治体のあり方と役割、権限についてでありますけれども、戦後の我が国の経済発展を支えてきた中央集権体制は、社会の成熟に伴う住民ニーズの多様化や経済のグローバル化の進展などにより、時代の変化に対応できず行き詰まっていますことから、国は、国が本来担うべき役割に専念し、地方に権限と財源を思い切って移譲すべきであると思います。

広域自治体のあり方を考えるに当たっては、中央集権体制の解体を第一として、まず、国と地方の役割分担を明確化し、次に、住民自治の具現化を図る観点から、住民に最も身近な存在である基礎自治体の役割を強化していく。その上で、基礎自治体の区域を超える行政を担う広域自治体の役割と権限を議論し、それにふさわしい形を追い求めていくのがいいのではないかと考えております。

その形にはいろんな意見があると思います。県がいいのか、広域連合がいいのか、あるいは道州制がいいのか、そうした議論が行われていくのが望ましいのではなかろうかと思います。

国に対しては、地方分権のあるべき道筋に沿って改革を断行するよう強く主張していくとともに、県としては、基礎自治体重視という観点に立って、広域連携の取り組みを積み重ねながら、本県が進むべき広域自治体の姿を追求してまいりたいと思います。

なお、議員お話の道州制が導入された場合の区割りは、重要な論点であると思います。しかし、何よりも重要なことは、中央集権型から地方分権型への統治機構の抜本的な見直しであって、いろんな考えがそれぞれの方々から示されていますけれども、個人的には、最初に道州制ありきというよりは、むしろ、あるべき道筋に沿った本質的な議論がなされていく方が好ましいのではないかと考えております。

答弁:副知事

今後の国と地方のあり方について、2点お答えをいたします。

まず、国が果たすべき役割の範囲についてのお尋ねでございますが、国が担うべき役割は、平成10年の地方分権推進計画などにおきまして、国際社会における国家としての存立にかかわる活動、全国的な統一が望ましい社会経済活動の枠組みの制定、全国的規模・視点で行う大規模な事業などとされております。具体的には、外交や防衛、生活保護基準や労働基準、マクロ経済運営や金融政策などがそれに当たるものと考えております。

こうした国の役割分担の基本的な原則を定めた地方分権一括法は、平成12年に施行され、10年以上が経過いたしましたが、各論となりますと各省庁の抵抗があり、国はいまだに、本来担うべき役割の範囲を超えて、さまざまな関与や規制などを通じて、地方の自主性や創意工夫の発揮を阻害している状況にあります。あるいは逆に、国が本来果たすべき役割を果たさず、特に財政面において地方へ負担を強いているといった状況がございます。

住民ニーズの多様化や経済のグローバル化の進展といった時代の構造変化に対応できなくなっている今こそ、中央集権型から地方分権型への改革を断行すべく、地方が一致結束して国に具体的な提案を突きつけていくことが重要と考えており、本県といたしましても、引き続き市町と連携した現場起点の提言に取り組んでまいりたいと考えております。

次に、基礎自治体の役割についてのお尋ねでございますが、基礎自治体の役割分担につきましては、今ほど申し上げました国の果たすべき役割分担を前提とした上で、補完性・近接性の原理、すなわち住民の意向の的確な反映や利便性などの観点から、住民に身近な行政はできる限り住民に身近な基礎自治体が担うことが望ましいという考え方に基づいて、地域における行政を総合的に担うことが地方分権のあるべき方向と認識しております。

具体的には、まちづくりや福祉、保健、教育など、住民の日常生活にかかわるものは可能な限り基礎自治体が担えるよう、権限や財源の移譲を進めていくべきと考えております。

本県では、条例に基づく市町への権限移譲に全国に先駆けて取り組んできたところでありますが、肝心の国からの法令に基づく権限移譲は遅々として進んでおらず、昨年成立しました第2次一括法においても、例えば、未熟児の訪問指導や家庭用品販売業者への立入検査など、一部、基礎自治体への権限移譲はありましたものの、地方がこれまで提案をしてきた内容と比べますと、極めて限定的なものにとどまっております。

県といたしましては、国に対して、市町とともに、基礎自治体重視の観点から権限と財源を移譲するよう強く求めてまいりますとともに、現在進めております市町連携の取り組みなどを通じて、基礎自治体の体制整備をサポートしてまいりたいと考えております。

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