瀬戸内海の世界ブランド化について - 質問 -
(拍手)おはようございます。 公明党の木村誉でございます。
4年に一度のスポーツの祭典、ロンドンオリンピックがいよいよ来月、開幕となります。本県から出場されるボート男子軽量級ダブルスカルの武田大作選手、柔道男子73キロ級の中矢力選手、そして、日本選手団主将を務める陸上男子やり投げの村上幸史選手におかれましては、万全のコンディションで持てる力を存分に出し切り、ぜひ表彰台の一番高いところで最高の笑顔を見せていただきたい、そんな気持ちでいっぱいでございます。
3選手の御活躍を心から祈念しつつ、私も持てる力を出し切る決意で質問に入りたいと思います。
最初に、瀬戸内海の世界ブランド化についてお伺いいたします。
先月5月10日から15日にかけて、台湾の世界的自転車メーカーであるジャイアント社劉会長一行が来県され、台日交流瀬戸内しまなみ海道サイクリングが開催されました。同イベントは、今月、東洋経済新報社から出版された野嶋剛著「銀輪の巨人」でも大きく取り上げられるところとなりました。
本県にとりましては、2年後の世界的規模のサイクリング大会を見据えてのデモンストレーションであり、松山空港発・松山空港着という国際チャーター便就航による日台の経済交流促進を目指す意味でも、重要な布石となるイベントであったことと拝察いたします。知事の熱意と関係各位の御尽力に、まずもって感謝を申し上げます。
それに先立ち、本年2月、私は県議会観光議連の一員として台湾視察に参加をさせていただき、ジャイアント社を表敬、劉会長と面談する機会を得ました。その際、最も心に残った1こまは、劉会長のこんなお話でした。
私たちが提供するのは、自転車そのものというより、ファン、つまり自転車に乗ることで得られる感動です。私の仕事はその感動を広げることです。台湾をサイクリングアイランドにし、そして、世界中にサイクリングパラダイスを広げたいのです。
劉会長率いるジャイアント社が世界に最も多くの顧客を持つ理由がわかるような気がいたしました。
翻って、観光振興を考えた場合、やはりそこにしかない感動ということがキーワードになると思いますし、もう一つ、決定的に重要なのは、顧客であり市場であると私は認識しています。ジャイアント社の場合、戦略とする市揚は明確に世界であります。
本県には、東・中・南予、それぞれにおいて多様な観光資源が存在しますが、国内のみならず世界から顧客を呼び込むとなれば、やはり瀬戸内海にまさるものはないのではないかと思うのであります。
ドイツの地理学者であるリヒトホーフェンは、シルクロードの命名者として有名ですが、明治維新直後に瀬戸内海を訪れた彼は、「これ以上のものは世界のどこにもないであろう。将来、この地方は世界で最も魅力のある場所の一つとして高い評価を勝ち得、たくさんの人を引き寄せるであろう」と絶賛されたそうです。
当時の農漁村風景から多少近代的に形を変えたとしても、風光明媚な多島美は今も健在であり、彼のインスピレーションは今なお世界に通じると私は信じるのであります。
そこで、今回、瀬戸内海の世界ブランド化について提起したいと思います。これまで自治体や圏域が個別に取り組んできた努力に敬意を表しつつ、地方分権や地域経営の観点から、今後は、瀬戸内海を共有する地域が一体となり、世界から人を引きつける観光ブランディングが求められると思うからであります。
そんな矢先、朗報を耳にいたしました。兵庫、岡山、広島、山口、香川及び本県による瀬戸内ブランド推進協議会の設置です。瀬戸内6県が県境を越えて観光振興策を協議し、瀬戸内ブランドの確立と発展を目指す目的で設置され、先月31日、広島県庁で初会合が開催されたとのことですが、まさに画期的であり、大いに期待を寄せたいのであります。
また、瀬戸内ブランド構築の戦略として、私は、広島県の「瀬戸内 海の道構想」は非常にクオリティーが高く、瀬戸内6県が十分に共有できる普遍性を有していると思います。これをベースとして各県の英知を糾合することにより、もう一歩上を行く、世界に感動を広げる瀬戸内ブランド構想を実現し、実行していただきたいと思うのであります。ライバルはエーゲ海というぐらいのスケールで、ぜひとも世界的な観光ブランドを目指して大きな議論をと心からエールを送らせていただきます。
そこで、お伺いいたします。
今後、瀬戸内ブランド推進協議会を重ねていくに当たり、本県としては、瀬戸内海の世界ブランド化に向けて、どのようなビジョンを描き、臨もうとされるのか、御所見をお聞かせください。
瀬戸内海の世界ブランド化について - 答弁 -
答弁:中村時広知事
木村議員に、まず、瀬戸内ブランドについてお答えをさせていただきたいと思います。
瀬戸内は、風光明媚な景観はもとより、しまなみ海道を初めとするサイクリングやウオーキング、さらには水軍文化や豊かな海山の幸など、世界に誇れる観光ブランドであると認識しています。
広島県の呼びかけにより、瀬戸内の広域的な観光振興方策等を幅広く検討するため、関係6県による本協議会が発足したところでありますけれども、各県の多様で魅力ある観光資源を組み合わせた相乗効果により、観光ブランド力を向上させ、国内外に広く発信、アピールしていくことは、瀬戸内エリアの振興を図る上できわめて重要であると考えております。
今後、本協議会では、ブランド化に向けたコンセプトやシンボル等のイメージ策定のほか、国内外へのプロモーション活動や民間企業とのタイアップ事業、観光客の視点に立った広域的な周遊観光ルートづくりなど、さまざまな事業を展開することとしていますが、本県としても、「大・島博覧会」や世界的なサイクリングイベントとの連携を見据えながら、積極的に世界に通用する瀬戸内ブランドの確立と発展を目指した施策の推進を図ってまいりたいと思います。