第六次県長期計画について - 質問 -
(拍手)公明党の木村誉でございます。
初めに、さきの台風12号で犠牲となられました本県初め多くの方々に心よりお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様に衷心よりお見舞いを申し上げます。
6月定例会の東日本大震災に続いて、被災者に対する追悼から始まる登壇と相なりました。災害に心して備えよ。被災地に立ち、そこで誓った決意を決して忘れてはならない。そんな思いで、公明党を代表いたしまして質問に入らせていただきます。
初めに、先般発表されました第六次愛媛県長期計画、愛媛の未来づくりプランについてお伺いします。
御案内のとおり、本計画は、知事が掲げる「愛のくに 愛顔あふれる愛媛県」という基本理念をもとにした、今後10年間の本県の進むべき方向性を示すビジョンであります。その間の道のりを航海に例えると、行き先と行き方を示す航海図であり、マップであります。激しい時代の変革期に直面する今、本県はどこにいて、どんな可能性を秘めていて、そして、どういう岸辺にどのように向かうのか、それを乗組員である県民の皆様と共有しようとするものであります。
知事が指し示す岸辺は、活き活きとした愛顔、やすらぎの愛顔、輝く愛顔、やさしい愛顔の4つの愛顔が咲く岸辺です。すなわち産業、暮らし、人づくり、環境の4つを戦略分野として、それぞれ、次代を担う活力ある産業を創る、快適で安全・安心の暮らしを紡ぐ、未来を拓く豊かで多様な人財を育む、調和と循環によりかけがえのない環境を守るという目標を掲げながら挑戦する先に、必ずや愛顔のあふれる岸辺、すなわち本県の輝く将来が見えてくるということになろうかと思います。
この「創る」「紡ぐ」「育む」「守る」というキーワードは、ビジョンの本文に照らしますと、「稼ぐ」「支える」「育てる」「引き継ぐ」に置きかえられるのではないかと私は思うのですが、となれば、これはまさに家族の営みにほかなりません。「そうだ、家族なんだ」と皆が実感できる愛媛、そういう愛媛の将来をみんなでつくろうとの呼びかけ、そんなふうに読み解けるわけであります。
そこで、お伺いいたします。
本計画の策定に当たり、県では7月13日から8月2日にかけてパブリックコメントを公募されたと伺っていますが、県民や県内市町の意見をどのように把握し、計画に反映されたのか、具体的な意見の内容やその取り扱いを含め、お聞かせください。
次に、先ほど目指すべき挑戦を家族に例えさせていただきましたが、そうだとすると、初めに求められるのは稼ぐことだと思います。この点についてお伺いいたします。
計画では、県を東予、中予、南予の3つの圏域にくくり、それぞれ特色ある産業をイノベーションさせていくという方向性が示されています。すなわち、ものづくり産業を核とした地域連携による活力創造圏域の形成を目指す東予、人・物・情報を駆使して広域的な牽引力を発揮する高機能圏域の形成を目指す中予、豊かな農林水産物といやし空間が人を引きつける交流圏域の形成を目指す南予です。
いずれも、地域の強みを核として、それをイノベーションさせながら時代にフィットさせていくというアプローチであり、その力強い推進に心から期待を寄せたいと思います。
さて、計画に書かれた愛媛の将来予測を見てみますと、圏域別人口・総生産という項目があります。それによりますと、2020年の本県人口推計値は2010年より6.4%減を見込んだ約134万人、圏域別の人口構成比は、東予地域が34.7%、中予地域が47.3%、南予地域が18.0%となっています。
一方、実質総生産額は、本県全体で2008年より3.8%増を見込んだ約5兆4,500億円に対し、圏域別の生産額は、東予地域が約2兆2,400億円、中予地域が約2兆3,500億円であるのに対し、南予地域は8,600億円となっています。
もちろん、ワールドワイドで激変する経済の中で、10年後の将来予測は極めて困難であります。また、人口減少、高齢化ともに南予地域のペースが最も早いという予測にもうなずかざるを得ない部分もあるわけですが、同地域の8,600億円という数字は際立って少ないように思えてなりません。
豊かな農林水産業の六次産業化や、同じく豊かで豊富な自然にサプライズな価値を組み込んだ観光交流などのイノベーションにより、生産額のパーヘッドをなお一層向上させることは、この10年のうちに十分可能と思うからであります。
そこで、お伺いいたします。
将来予測の中で、南予地域の実質総生産額が約8,600億円と大きく落ち込むという見込みを示していますが、それにより今後のモチベーションに圏域別格差が生じないか、懸念されるところであります。
したがいまして、私は、これが上方修正できるような今後の取り組みが求められると考えるのでありますが、御所見をお聞かせください。
なお、推計の注釈の中に、今後、追加される施策効果を反映したものではないとありますが、実質総生産額を見込んだ根拠についてもあわせてお答えください。
第六次県長期計画について - 答弁 -
答弁:企画振興部長
木村議員にお答えをいたします。
第六次県長期計画についてのうち、県民や県内市町の意見をどのように把握し、計画に反映したのかとのお尋ねでございます。
今回の長期計画の策定に当たっては、県民の皆さん一人一人に今後の愛媛づくりを県とともに進めていくんだという前向きな気持ちを持っていただくことが大変重要との認識から、常に県民主役の計画づくりを心がけてきたところであります。
ただすべての県民から直接意見を聞くことは現実的には不可能であるため、考えられるあらゆるチャンネルを使ってその声に耳を傾けてきたところであり、具体的には、県民を対象とした2,000人アンケートや愛媛の未来像に関する意見募集の実施を皮切りに、外部有識者による策定会議や各界各層の代表者等で構成する地域別懇談会、さらには、県内20市町の首長とのトップミーティングなどのほか、県内市町への意見照会や先般実施した長期ビジョンのパブリックコメントを含め、策定の進捗状況に合わせて幅広く意見の把握に努めてきたところであります。
寄せられた意見は、建設的、前向きなものが大半で、長期ビジョンにおいては、経済的価値でははかれない心の豊かさ、家族や地域の人とのつながりを実感できることが大切との意見、また、安全・安心の暮らしが愛媛づくりの土台である、あるいは、地域の強みを発揮できる環境をつくるべき、また、高齢者にも地域づくりにかかわってもらう視点が必要といった意見を受け、その反映に努めてきたところでありまして、今後、内容を煮詰めていくアクションプログラムについても、パブリックコメントなどを通して引き続き積極的に意見把握を行いながら、策定作業を進めていきたいと考えております。
答弁:中村時広知事
木村議員に、まず、県の長期計画についての御質問にお答えをさせていただきます。
将来予測の結果は、現在のトレンドが継続することを前提にしたもので、今後の施策効果を反映したものではないとはいえ、右肩上がりの時代が終わったことを改めて実感させられる大変厳しいものとなっていますが、私としては、この現実から目を背けることなく、こうした現実を正面から受けとめた上で今後の愛媛づくりを進める覚悟を持って、長期計画の策定に着手をしたところでございます。
先般発表いたしました長期ビジョンは、その思いを県民の皆さんにも共有してほしいというメッセージを込めて策定したものであり、その中で、産業分野については、愛媛らしさを発揮しながら、さらに強みを高め、新しい分野へも挑戦するといった視点で活力ある産業づくりを進める方向を示したところであり、厳しい予測結果を可能な限り引き上げることができるよう、今後、策定するアクションプログラムにおいて、さらにその具体策を検討していきたいと思います。
なお、お話の圏域別の総生産額見込みについては、県全体の総生産額をベースに地域ごとの産業構造の特徴や人口予測などを踏まえて推計しているため、担い手の不足や価格低迷などにより厳しい環境にある農林水産業の占める割合が高く、就業人口の減少幅が大きい南予地域では、特に厳しい予測となったものではありますが、同地域には、豊かな自然や新鮮な素材など、他にはない魅力があふれておりまして、地域の方々には、これらのすばらしい素材の付加価値をさらに高めるとともに、自信を持ってこうした魅力を強力に発信していただきたいと考えており、一緒になって県としましても各種施策を総動員して、引き続き南予地域の活性化に力を入れていきたいと思います。