県営住宅について - 質問 -
次に、県営住宅についてお伺いいたします。
日ごろ県民の皆様と対話する中で、県営住宅に入りたいが何とかならないかという御相談が、ここ数年とみにふえてきた、そう感じるのは私だけでしょうか。それぞれお話をお伺いいたしますと、失業、倒産、リストラなど経済状況の悪化により、それまでの住環境の変更を余儀なくされ、しかも緊急を要するというケースが多く、できるものなら何とかしてさしあげたいのでありますが、その切実なお訴えに対し、入居申し込みは係る法律と条例に基づき抽せんにより云々というお答えしか示せない現状に対し、じくじたるを覚えるのは私一人ではないと思います。
本県データによりますと、県営住宅の定期補欠入居者募集の応募倍率は、既設住宅で約5倍、新築住宅で約14.8倍とのことであります。定期補欠募集の受け付けは年に1回でありますから、この倍率では何年も入居の順番が回ってこない方々から不満の声が上がるのも当然であり、ましてや緊急の入居希望者にはほとんど対応ができないという現実が浮かび上がってまいります。
公営住宅法には、その第1条で、「この法律は、国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、又は転貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする。」とあります。そして、第3条では、「地方公共団体は、常にその区域内の住宅事情に留意し、低額所得者の住宅不足を緩和するため必要があると認めるときは、公営住宅の供給を行わなければならない。」とあります。
同法の趣旨と目的にかんがみ、また県営住宅に入りたくても入れないという本県の住宅事情に留意いたしますと、低額所得者の住宅不足を緩和することは、地方公共団体としての極めて重要な役割であると思いますし、国の指針が公営住宅の新規供給からストック重視、市場重視へと大きくシフトする中、今求められているのは都市政策としての住宅政策から、社会保障としての住宅政策への転換であると私は思うのであります。
本県住宅マスタープランをひもときますと、まず平成18年度から平成27年度までの10年間にわたる住宅政策が示され、住宅セーフティネットの確保に向けた取り組みの中で、県営住宅の整備、供給に関して示されておりますが、現在までの県営住宅における取り組みの成果についてお伺いしたいと思います。
初めに、応募倍率の高さが示す県営住宅の需給ギャップの解消に向けて、今後どのようにアプローチされるのかお聞かせください。
先ほど申し上げました社会保障としての住宅政策の視点から、福祉部局や地域との連携を図るなど、別の解決の方向性があれば、あわせてお示しいただければと思います。
次に、県営住宅の入居者から最も御要望の多いバリアフリー化についてお伺いします。
言うまでもありませんが、バリアフリー化とは、手すりやエレベーターの設置や段差解消などの対応がなされ、高齢者や障害者や子供が安全で安心して暮らせる配慮がなされた住宅を指しますが、高齢者世帯が約4割を占める本県にあって、その推進は急務であります。
実際、松山市内の県営住宅の高層階にお住まいのお年寄りが、あるいは足の御不自由な方々が、途中の階で休憩しながら階段を上られる光景を何度も目にするたび、申しわけない思いが込み上げてまいります。その後ろ姿に政治の光が当たることをじっと待っておられる、そんな声が聞こえてくるのであります。こうした方々のお気持ちを踏まえ、お伺いをいたします。
県住宅マスタープランでは、高齢者の居住する住宅の一定のバリアフリー化率を、平成27年度までに57%に改善する目標が示されていますが、どのようにこれを実現されるのか、その見通しを含め、御所見をお示しください。
県営住宅について - 答弁 -
答弁:土木部長
木村議員にお答えをいたします。
県営住宅について、2点御質問がございました。
まず、応募倍率の高さが示す県営住宅の需給ギャップの解消に向けて、今後どのように取り組むのかのお尋ねでございます。
平成18年度に策定をした県住宅マスタープランにおきましては、県全体では市町営住宅を含む公営住宅のストック数は、一応需給バランスがとれておりましたが、現状では一部地域においてそのバランスに偏りがあること、近年の景気の低迷により、想定していたほど入れかえが生じていないことなどのほかに、複数の団地を申し込むことが可能となっているために、木村議員御指摘のとおり、団地によっては高い倍率となっております。
このため、県におきましては、その対策として県と住宅供給の中心的な役割を担う市町で地域住宅協議会を組織し、その中で情報交換を行い、連携を図りますとともに、特に配慮が必要な高齢者や障害者などの世帯に対して、優先的に県営住宅に入居できるような制度を設けております。さらに、入居後の変化により、資格を満たさなくなった場合には、退去等を促すなどの対策を講じているところであります。
このほか、さきの経済不況による失業者の方に対しましても、緊急対策として一定期間、目的外使用で一部の県営住宅を提供したところでもあります。
また、来年度に県の高齢者居住安定確保計画を福祉部局との連携のもと策定する予定でありまして、その中で増加が見込まれる高齢の住宅困窮者の方々につきましては、民間活力を活用した高齢者向けの賃貸住宅の供給の促進にも努めてまいりたいと考えております。
次に、2点目でございますが、県住宅マスタープランで示した高齢者の居住する県営住宅のバリアフリー化率は、平成27年度までに57%に改善する目標の実現としてはどうかとのお尋ねでございます。
県営住宅のバリアフリー化につきましては、高齢者が住居内において快適に生活できるように、建てかえ更新や既存住宅における室内の段差解消、手すりの設置などによりバリアフリー化を進めることとしておりまして、県住宅マスタープランにおいて、その目標を設定しているところであります。
現時点におきましては、緊急を要する老朽団地の建てかえを優先して進めてきたこともありまして、平成27年度における目標値、57%に対し、バリアフリー化率は約30%にとどまっております。財政状況が厳しい中、抜本的な対策である団地の建てかえのみでは、目標の達成は困難でありますので、今後は低コストで施工も容易な手すりの設置を浴室やトイレ等で進めるとともに、入居者の皆さんの意見も聞きながらではありますが、階段での上り下りが困難な方々の低層階への住みかえなども含めまして、高齢者の方々に優しい施策を展開しながら、目標実現に向け努めてまいりたいと考えております。