がん対策について - 質問 -
(拍手)皆様、おはようございます。
公明党・新政クラブの木村誉でございます。
習うよりなれろで今回7回目の登壇の機会を賜りました。まことにありがとうございます。
初登壇の際の自身の決意に照らし、だれのための何のための質問かしっかりと自覚しながら、早速質問に入らせていただきたいと思います。
最初に、がん対策についてであります。
初めに、愛媛県議会がん対策推進議員連盟の発議により、愛媛県がん対策推進条例案が今議会に上程されましたこと、関係各位に対しまして、心より敬意を表したいと思います。
振り返りますと、一昨年9月の議会にて、私は、本県にもがん対策推進条例を制定し、患者、御家族の追い風とすべきと申し上げましたが、当時を思い返して今感謝の思いでいっぱいであります。また、この間、がん議連の一員として、さまざまな方から各般にわたる御教示を賜り、とりわけ条例案の制定準備に携わらせていただきましたことは、私にとりましてかけがえのない経験となり、重ねて感謝と御礼を申し上げたいと思います。
さて、御案内のとおり、我が国における死亡原因の第1位はがんであり、本県においても年間4,000人以上の方々がお亡くなりになっています。2005年の厚労省患者調査によりますと、県内のがん患者総数は約1万6,000人、これにサバイバーと呼ばれるがん経験者やその御家族等を含めますと、十数万人とも想定される多くの県民の皆様が毎日精いっぱいがんと向き合われているのであります。
そうした方々に対して県は何ができるのか。求められているのは何なのか。この間の活動を通して得た私の結論は、ともに感じるということでありました。何かしてあげるといった一方通行ではなくて、しんどい気持ちに対してしんどいよねと患者、御家族のありのままをともに感じようとする気持ち。この共感する力こそ本県がん対策の根幹でなければならない。そして、私はその精神的支柱こそ、このたびの愛媛県がん対策推進条例にほかならないと強く申し上げたいのであります。
御案内のとおり、今から4年前、私たち公明党の神崎元代表の提唱により検討が始まり、同年、全会一致で成立、施行されたがん対策基本法に基づいて、2008年に愛媛県がん対策推進計画が策定されました。
同計画には、今後10年間で達成すべき全体目標に対して、前半5年間の分野別の目標と対策が数字を含め実にきめ細かく盛り込まれているのでありますが、問題はこれらをどのように実行たらしめるかということであります。私は、そのキーワードは県民総ぐるみであり、どれだけ県民総ぐるみで推進できるかがその成果を左右すると思うのであります。
言うまでもなく、がん対策は予防啓発、早期発見、治療、再発など、がんの段階ごとに異なりますし、行政、医療機関、患者家族など県民それぞれの立場によって課題も要望も異なります。例えば、がんの早期発見では、検診受診率50%以上を目指すと計画にありますが、これまで行政、医療機関を中心に検診の種類ごとに啓発してこられた結果、おおむね20%というのが現在の水準であります。本県の目標は、これを5年で2倍以上に向上させようということですから、従来に加えて新たな取り組みが求められることは言うまでもありません。
先日、患者御家族の皆様から、次のようなエピソードを伺いました。あるとき、がんサバイバーの方が中学校の授業に参加され、自身のがん体験を語られたそうであります。それは、壮絶な治療を通して自身の生き方や人間の命というものについて深く見詰めさせられた。今まで気づけなかったことにたくさん気づかせてもらった。そして今、そのすべてに感謝している。そのような趣旨であったそうです。
子供たちの心に深くしみ込んだことは言うまでもありません。そして、家に帰った子供たちは、親御さんにがん検診を受けているか聞いたそうでありますが、重要なのはこの家族間の対話でありましょう。がん検診絶対受けてよ、禁煙頑張ってと子供たちから励まされれば、多少なりとも心が動かない親はいないと思いますし、そこには従来と異なるがん検診受診率向上に向けたヒントもあると言えるのではないでしょうか。
このエピソードには、患者の力を教育に生かしてほしいという患者御家族の切実な願いが込められており、私は、ここに県民総ぐるみの重要性があると強く思うのであります。
例えば、これまでの本県がん対策は、もっぱら保健福祉部マターで、全般の受け持ちは医療対策課、予防に関しては健康増進課、高額療養費等に関しては国民健康保険室というふうに縦割りで推進されてまいりました。先ほどのエピソードの示唆は、そこに教育委員会を加えようというものであります。教育を通してがんに対する正しい知識を身につけることは、病理の予防だけでなく人間形成においても有効でありましょう。
一例を挙げますと、現在、若い女性に子宮頸がんが急増しておりますが、これはワクチン接種で予防できる唯一のがんと言われております。したがって、私は、定期検診と女子中学生年代における性教育の一環としてのワクチン接種をセットで政策化すべきと考えるのであります。また、欧米では、がん検診受診率がいずれも70から80%と高い水準にありますが、その一つには、幼いころから自分の体は自分で守るという価値観をはぐくむ教育環境に起因する部分も大きいと思うのであります。
さらに、経済労働部とのタイアップも重要と考えます。働き盛りでがんを発症された方にとっては、療養生活や失業に対する懸念といった雇用に関する問題は、まさに死活問題なのであります。療養中のサポートや治療後のスムーズな職場復帰など、就労環境の整備は当事者御家族に大きな安心をもたらすに違いありません。
また、本庁部局だけではありません、愛媛県がん対策推進計画実現のためには、県下の市町、保健医療機関などさまざまな方面とのタイアップが求められるわけですが、その意味でも、私はこの際、がん対策推進室(仮称)を設置し、そこにしっかりと実行機能を持たせるべきであると申し上げたいのであります。
お伺いいたします。
本県がん対策推進計画の実現に向けて条例が制定されようとする今、本県がん対策を従来の縦割りを超えた県民総ぐるみの運動に高め取り組んでいく、そのためにがん対策推進室(仮称)を設置すべきと考えますが、御所見をお示しください。
がん対策について - 答弁 -
答弁:保健福祉部長
木村議員にお答えをいたします。
まず、本県がん対策を従来の縦割りを超えた県民総ぐるみの運動に高め取り組んでいくため、がん対策推進室(仮称)を設置すべきと考えるが、所見を問うとのことでございますが、県民の生命や健康にとって大きな脅威となっておりますがんに対して実効性ある対策を講じるためには、行政はもとより保健医療関係者や企業、県民等が連携し県民総ぐるみで取り組みますとともに、行政内部におきましても、保健医療や教育、雇用等の各分野が一体となって総合的な対策を推進する必要があると認識をしております。
このため、県では、昨年11月に策定いたしましたがん対策推進計画のアクションプランにおきまして、学校における喫煙防止教育や敷地内完全禁煙の推進、企業等と連携したがん検診受診率向上のための啓発活動の推進など各分野で進めるべき施策を明らかにし、関係部局が連携してがん対策を推進することとしたところでございます。
木村議員からお話のございましたがん対策推進室の設置につきましては、こうした取り組みを強化する観点から大変貴重な御提言と受けとめておりますが、一方で行政のスリム化、効率化が求められる中で慎重に対応すべき課題でもございますことから、がん対策を総合的、横断的に推進するためにどのような体制が望ましいかにつきましては、今後、条例に基づき設置するがん対策推進委員会の御意見も参考にしながら改めて検討してまいりたいと考えております。