学校耐震化について - 質問 -
最後に、学校耐震化についてお伺いいたします。
今回、国の第2次補正予算では約500億円の予算が計上され、2011年度末までに全国の公立小中学校施設のうち、大規模な地震により倒壊の危険性が高い1万棟について耐震化が図られることとなりました。
一昨年の9月議会において、私は、学校耐震化について可及的速やかに実施してほしい旨の質問をさせていただきましたが、その際の答弁は、厳しい財政状況の中では、短期間での耐震化率の大幅アップは極めて困難というものでありました。が、この間、改正地震防災対策特別措置法の実現により、地方の財政負担が大幅に軽減されることとなりましたし、今回の国の第2次補正予算、そして第1次補正予算と来年度予算を合わせて約2,800億円という大型の予算を組んで総力を挙げるという流れとなり、耐震化に関する本県を取り巻く環境も随分好転したというふうに認識をしております。
そこで、お伺いいたします。
1点目は、耐震化率の進捗見通しについてであります。
一昨年9月の本会議質問時点での耐震化率は、小中学校が52.1%で全国30位、県立高校等は40.5%で全国44位という状況でありましたが、この水準が現時点でどこまで進捗されたか。また、国が1万棟の耐震改修完了を目指す2011年度末時点ではどこまで進捗するのか、見通しをお示しください。
次に、この学校耐震化が、総額75兆円の経済対策の中で、地域活性化事業として位置づけられている点からお伺いいたします。
言うまでもなく学校耐震改修事業は、それ自体、地元経済の活力につながる公共事業であります。雇用の安定、拡大にも資する事業でありましょう。その経済効果をさらに大きなものにするため、私は、学校耐震改修とあわせて太陽光発電設備の導入を進めるべきと考えます。
学校への太陽光発電設備の導入拡大は、地球温暖化防止という環境教育に資するという意味におきましても、防災拠点としての機能強化という観点からも、そして、何より関連産業の活性化や新たな事業と雇用の創出につながるという点から、メリットは極めて大きいと考えるのであります。もちろん学校以外の建築物に対しても全く同様のことが言え、また、来年度税制の中には、投資型住宅減税や省エネ設備等の投資促進税制など、太陽光発電の推進を目指した戦略的インセンティブが盛り込まれており、本事業は日本版グリーン・ディールとも言うべき国策の大きな柱の一つと言えるでありましょう。
ちなみに松山市は、このほど、行政が太陽光で発電した電力を企業などに売却できるグリーン電力証書の発行資格を全国の自治体で初めて取得され、注目を集めているようであります。これは、松山市が太陽光など自然エネルギーを活用して生み出したグリーン電力を証書という形で企業に売却するシステムで、証書を購入した企業には、地球に優しい企業ブランドをアピールできるというメリットがあるということだそうです。
松山市は、現在22カ所の公共施設に太陽光発電を設置しており、2009年度末からその一部の施設で証書を売却するモデル事業をスタートする予定で、今後、一般住宅への太陽光発電システムの普及につなげたいという意向を示されております。
この松山市の事例は、従来の公共事業の概念を超えた全く新しい事業であること、また、今後、新たな雇用を創出する可能性にあふれていることなど、本県各自治体に多くの示唆を与えるイノベーションの好例として御紹介させていただきました。
ここで話を戻して、お伺いいたします。
今後、学校耐震改修を進めていく際に、太陽光発電設備の導入をあわせて御検討をいただきたいと思いますが、県としてのお考えはいかがでしょうか。
最後に、本来であれば、この間、県下各地でお預かりしたさまざまな課題について言及したかったわけでありますが、今が私たち県民にとって非常事態であるという強い危機意識から、県政が待ったなしで今取り組んでいることは何か、緊急時における本県の予算執行と裁量行使における考え方はどうかということをつまびらかにすることが現下の県民利益にかなうものと考え、今回は、総額75兆円の経済対策のうち、地方裁量を有する事業を中心に質問をさせていただきました。
冒頭申し上げました生活者の声で政治はもっと動かせるという確信をさらに強めながら、この厳しい経済危機を行政、県民一丸となって乗り越え、何としても時代を開いてまいりたい。そのために、きょうからまた県民の皆様のもとへとの決意を申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。
御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
学校耐震化について - 答弁 -
答弁:教育長
木村議員にお答えをいたします。
学校耐震化についてのうち、まず、学校耐震化率の進捗状況はどうか。また、2011年度末時点の見通しはどうかとのお尋ねでございます。
本県の学校の耐震化率は、平成20年度末の見込みで公立小中学校が56.4%、県立高校が43.6%となっておりまして、平成19年4月時点と比べて、公立小中学校で4.3ポイント、県立高校で3.1ポイントのアップにとどまっております。
見通しにつきましては、まず、小中学校では、お話の地震防災対策特別措置法の改正による補助率のかさ上げや国の予算の大幅増額などによりまして、現時点の計画では、2011年度末すなわち平成23年度末ですが、までに73.7%の耐震化率が見込まれております。
一方、県立高校につきましては、公立小中学校のような耐震化に係る国の補助などの財政的支援もなく、厳しい財政事情の中で、平成21年度は県民の安心・安全実現のための重点対策としての追加計上分を含め、平成20年度を1億円余り上回ります18億3,000万円余りの予算を確保したところであります。これにより、校舎の耐震化予備調査をすべて終えますとともに、災害時の避難所となる体育館等の耐震診断にも着手いたしますほか、例年2棟程度実施していた改築は、特に、緊急性の高い野村高校の校舎1棟に絞り、残りの予算を耐震化補強工事に充て、整備棟数を平成20年度の3棟から8棟にふやすことといたしております。
なお、平成23年度末の県立高校の耐震化率につきましては、平成21年度と同程度の改築、耐震補強が進めば、およそ50%と見込んでおります。
次に、今後、学校耐震改修を進める際、太陽光発電設備の導入をあわせて検討すべきと考えるがどうかとのお尋ねでございました。
県では、地域新エネルギービジョンの中で、新エネルギーの導入を想定する施設として小中高校などの教育施設を掲げ、これまでに国等の助成を受けて、県立伊予高校や県武道館などに太陽光発電施設を導入してきたところであります。
木村議員お話のとおり、学校の耐震改修にあわせて太陽光発電設備を設置することは、環境教育の一環としても有意義なものであるとは考えておりますが、例えば、平成18年度に松山市が導入した小学校の太陽光発電システムの整備には1,200万円の経費を要しておりまして、財政事情が厳しく、耐震化率の改善が最重要課題となっております本県にとって、まずは可能な限り耐震改修工事を優先せざるを得ない状況にあります。
今後、県教育委員会としては、太陽光発電設備導入に係る国等の各種補助制度について、市町教委に情報提供いたしますとともに、県立学校への導入の可能性についても十分に検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。