財政構造改革について - 質問 -
(拍手)公明党・新政クラブの木村誉でございます。
光陰矢のごとしと申しますが、昨年の今ごろを振り返りますと、1年後を想像する余裕など全くない忙しい毎日でありました。まさか1年後に代表質問を仰せつかるとは、それこそ想像だにしなかったわけであります。浅学にてまことに恐縮ではありますが、これも少数会派の訓練と御理解を賜り、会派を代表いたしまして質問をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
なお、若干の体調不良のため、お聞き苦しい点がございましたら、あらかじめ御了承をお願いいたします。
最初に、財政構造改革についてお伺いいたします。
財政構造改革3年目に当たる今回、平成20年度の当初予算編成を拝見しますと、打ちひしがれるほどにその厳しさを痛感いたします。予算編成時点で347億円もの財源が足りない。こうした状況の中、堅実な歳入の確保と歳出の抑制、また、徹底した事務事業の見直しによる削減と臨時的とはいえ昨年度に引き続いての給与抑制及び各種基金の取り崩し等によりまして、何とか財源確保をされたのであります。こうした本県の財政危機に対して、必死で立ち向かい、乗り越えんとされる知事初め理事者各位の予算編成の御苦労に、まずもって敬意を表したいと思います。
さて、御承知のとおり、ここ数年国が取り組んでいる財政構造改革は、官から民へ、国から地方へ、財源と権限を移譲していきながら、いわゆる小さな政府を目指すものであります。しかしながら、現時点における結果は、言うまでもなく格差の拡大、地方と弱者の切り捨てなど、国民生活のあらゆる場面で耐えがたい痛みが噴出する事態となっているのであります。そのような国からの大きな流れの中で、地方はどうしても財政の縮小均衡を強いられるのであります。来年度当初予算を拝見し、さらに財政構造改革最終年である再来年度に思いをはせましても、この先には限界があるように思えてなりません。そうした中における本県財政運営に対する知事のお考えを最初にお伺いしたいと思います。
次に、予算案における平成20年度末の県債残高見込みを見ますと9,346億5,291万円となっております。本年度から減少に転じる見通しとはいえ、一般会計総額の1.5倍を超える多額なものとなっております。これを減らしていく一里塚として、単年度プライマリーバランス黒字化をクリアしなければならないわけですが、その見通しはいかがか御所見をお願いいたします。
続きまして、いわゆる地方財政健全化法に関連してお伺いをいたします。
昨年6月に公布されました同法によりますと、4つの指標、すなわち実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率を健全化判断比率として、平成19年度決算から公表することが義務づけられたのであります。そして、4つの指標それぞれに早期健全化基準と財政再生基準を設定しているのでありますが、この基準数値は近い将来の財政破綻を警告する、いわばイエローカードであり、さらに悪化した場合にはレッドカードと言えるのであります。この基準を超えれば、財政の早期健全化あるいは財政の再生に関する計画及び進捗状況を国に報告するなど一定の管理下に置かれることになるわけですが、それはまさに今回提案された平成20年度予算の決算から適用されるのであります。
そこで、お伺いいたします。
予算編成段階ではありますが、平成20年度決算における本県財政は4つの指標に照らしてどのような見通しにあるのかお聞かせください。
また、法に基づく義務ではないものの、平成21年度秋には財務書類4表を作成し、公表するよう要請されていると聞いております。この4表の作成に当たっては、新たな地方公会計制度として、国から基準モデルと総務省方式改訂モデルの2方式が示されておりますが、本県におきましてはいずれの方式を採用されるのか、あわせてお聞かせ願います。
財政構造改革について - 答弁 -
答弁:加戸守行知事
公明党・新政クラブを代表しての木村議員の質問に答弁いたします。
財政構造改革に関して、本県財政運営に対する知事の所見を問うとの質問でございました。
国、地方を通じた財政再建が喫緊の課題となっております中、政府においては、2011年度のプライマリーバランス黒字化を目指して、歳入歳出一体改革を進めており、歳出全般にわたり最大限の削減を行うとの方針が示されております。この方針のもと、地方交付税についても、三位一体改革における地財ショックと言われた大幅削減後も、引き続き継続的に削減されてきたところでありまして、これら一連の地方交付税削減によって、本県初め多くの地方自治体が財政危機に陥りますとともに、毎年度縮小均衡の予算編成を余儀なくされているものでございます。
今回の当初予算につきましても、基本的にはこの流れの延長線上にありますが、これまで財政構造改革として、まさに血のにじむような努力を重ねてきたにもかかわらず、国、地方を通じた歳出削減、地方交付税削減といった大きな流れの中で、逆に厳しさは増しており、危機感を一層強くいたしております。
したがって、今後も、財政構造改革基本方針に掲げている以上に厳しい対策に取り組み、施策の一層の選択と集中を図っていかざるを得ないと考えておりますが、自助努力だけではもはや限界もありますことから、地方交付税の所要額の確保や、さらには抜本的な税制改正などについて、政府・与党に対する働きかけをこれまで以上に行いながら、何とか将来への展望を見出したいと考えております。
答弁:総務部長
木村議員にお答えいたします。
財政構造改革についてのお尋ねのうち、まず、単年度プライマリーバランス黒字化の見通しはどうかとのお尋ねでございますけれども、本県の一般会計におけますプライマリーバランス、すなわち借り入れを除く税収等の歳入から過去の借り入れに対する元利払いを除いた歳出を差し引きました財政収支を見てみますと、平成17年度から黒字化をしているところでございます。
平成20年度当初予算におきましても、投資的経費を含む事務事業の徹底した見直しなどによりまして、県債の計上額は636億円に抑えることができております一方、県債の元利償還金は1,019億円でありますことから、プライマリーバランスは383億円の黒字となっておりまして、4年連続して黒字が確保できる見込みでございます。
次に、平成20年度決算における本県財政は、地方財政健全化法の4つの指標に照らしてどのような見通しにあるかとのお尋ねでございますけれども、いわゆる地方財政健全化法に基づきます健全化判断比率の議会への報告、公表につきましては、平成19年度決算を対象といたしまして来年度から始まります。また、早期健全化と財政再生という2段階の財政再建の仕組みは、平成20年度決算を対象といたしまして21年度から始まることとなっているところでございます。
このため、平成20年度当初予算編成に当たりましては、健全化判断比率の動向や早期健全化団体への移行基準等も念頭に置きながら、予算編成を行ったところでございます。
それぞれの指標の具体的数値につきましては、まだ判明しない点がございますけれども、当面の平成20年度の財政運営におきましては、年度途中におきまして大幅な県税収入の落ち込みなどといった非常事態でもない限りは、健全化判断比率が基準を超えることはないものと考えておりますけれども、指標に必ずしも反映されておりません基金の残高の状況などにつきましては、ほぼ枯渇状態でありますなど、極めて厳しい状況でありますことから、今後も比率の動向等を念頭に置きながら、財政構造改革のさまざまな取り組みを着実に進めていくなど、適切な財政運営に努めてまいりたいと考えているところでございます。
次に、新たな地方公会計制度といたしまして、財務書類4表の作成に当たっては、国から基準モデル、総務省方式改訂モデル、2方式が示されているが、本県ではいずれの方式を採用するのかとのお尋ねでございますけれども、地方公会計につきましては、地方公共団体の資産や債務の実態が把握しづらいといった現行の会計制度を補完いたしますために、平成18年8月の総務省のいわゆる地方行革新指針により、地方公共団体及び出資法人等関連団体も含みます連結ベースで、平成20年度決算から貸借対照表や行政コスト計算書など4表を整備し、公表することを要請されているところでございます。