日本の漁業が、今、大変なことになっている。 非常警報を発するのは、社団法人大日本水産会の中須勇雄会長、だ。 記事は、原油高で一斉休漁やむなし、との見出しで始まる。 ��日経ビジネス6/30号 「敗軍の将、兵を語る」/写真) 中須会長は、 現今の、水産業を取り巻く非常事態を、4Pにわたって語られ、行間からは、その、尋常でない苦悩がひしひし、伝わってくる。 一般的に、漁業は燃油代のコストシェアが約20%といわれ、それが今は、5年前に比べて3倍以上、に膨らんでいるそうだ。 販売量額とも低迷が続く中、魚価にも転化できず、出漁するほどに赤字が膨らむ構造となっているのである。 市場原理でいうと、との意味合いで、会長は語る。 まず、水産業が、産業として未熟であったこと。 今までは、黙っていても魚を食べてもらえる国民とマーケットがあった。 したがって、供給するという意識が強く、消費者が何を求めているかを考える姿勢が欠けていた、と。 そして、省エネへの努力が足りなかったこと。 獲れさえすれば買ってくれるマーケットがあったので、漁船の燃料効率については、ほとんど考えることがなかった。 その結果、燃費の悪い船齢20年以上の古い船ばかりとなって、それが、原油高ダメージをさらに増幅させてしまった、という。 但し、その反省は重要だが、今、最も重要なのは、目の前の苦境をどう乗り切るかだ、として、 燃料購入に対する補助、と休漁補償の2点を、国と政府に強く要望されて、記事は結ばれていた。 心臓が止まらないように、カンフル注射を打ってもらいたい、と。 私たち公明党も、その危機意識を共有している。全国の漁業関係者から、あまりにも多くの声を頂いているからだ。 そして、奇しくも、というか、記事を読む前の6/24、 太田代表・斉藤政調会長・赤羽対策本部長から福田総理に対し、原油高騰への緊急対策を求める申し入れを提出させて頂いたのである。 昨年末から、これで第5回目の、申し入れになる。 その内容は、 水産資源の確保の観点も含め、漁業者が継続して操業できるよう原油高騰による負担を軽減するための助成を検討すること、 省エネ漁業への転換を図り、漁業経営の体質強化のための基金などの支援を拡充すること、 など、中須会長をはじめとする漁業関係者の要望はもちろん、 中小企業・運送業・農林業・建設業・国民生活などの、各分野に対する緊急対策を、総合的にまとめさせて頂いた。 そして即、であろう6/26、原油等価格高騰対策の政府案が示された。 私たちの要望がほとんど盛り込まれていた。 特に、漁業関連では、 水産業燃油高騰緊急対策基金を積極的に活用し、省エネルギー型漁業等への転換支援を強化する(102億円)。 緊急に資源回復を図る必要のある魚種等についての減船、休漁等への経費支援につき支援対象を拡充する(14億円)。 漁獲から出荷に至る生産体制を改革し、省エネルギー等により収益性を向上する漁船漁業改革推進集中プロジェクトにつき支援対象を拡充する(50億円)、 など、非常事態に対応した抜本的対策の導入に向けた検討を行う、ということである。 スピード、スピード、スピード、だ。 市場原理は大事、だ。が、それを主義にするのは、あくまでもビジネスの世界である。 政治は、それを踏まえた上で、国民生活を守り、向上させる、深さと温かさを持たねばならない、のだ。 そして、それは。国民生活が予期せぬ出来事に見舞われたとき、真価が問われよう。 その1点を忘れず。微力ながら私も、皆様に貢献できるよう取り組んでまいりたい。