連日の対話の間に、読んだ本。「闘う経済学」(竹中平蔵氏 著)。 竹中氏といえば、小泉内閣の経済財政政策の要であり、 悪く言う人にあっては、格差社会を引き起こした市場原理主義者、である。 が、私は彼を、きわめて優秀なエコノミストとして評価したいし、 一連の著作に目を通せば、そういうレッテルを貼る勢力にウンザリ、の感を抱いてしまう。 で、同著だが。 彼が、小泉元総理に任用された時から、その本分である経済学をもって、政治とどのように闘ってきたか、 というプレビューであった。 総括などとてもできないので、インデックスを紹介したい。 まず、ケインズ的常識との闘い。 ケインズ政策とは、いわゆるマクロ経済学における、総需要管理政策のこと。 まず彼は、バブル崩壊後当時まで続いたこの常識と、闘った。 次に、増税論との闘い。これは今、自民党清和政策研究会にしっかりと引き継がれている。 そして、金融危機との闘い。いわゆる不良債権処理である。 バッシングの中、ほとんど力技、によって金融再生プログラムを実施し、2002年時点で8.4%だった不良債権比率が、今では1%台となった。 続いて、失業との闘い。 言い換えれば、どのように産業を発展させるか、だが、経済学的に結論すると、所得弾性値の高い産業にシフトする、となる。 が、これは、今も足踏み状況だ。 続いて、役人との闘い。 道州制・地方分権を志向する流れにあって、国・地方ともに、総論賛成・各論反対で、それを許さない役人との闘いは壮絶、と。 続いての既得権との戦いは、いわゆる郵政民営化、である。そういえば、竹中氏は郵政民営化担当大臣でもあった。 次に、抵抗勢力との闘い。 それまでの官主導から官邸主導の流れを作り、経済財政諮問会議による骨太方針は、ここから始まった。 そして、千変万化の政治と闘い、権力と闘った、という同著は、彼の5年間にわたる自叙伝であり、あらためて、 政治に対する経済学の有効性、を思い知らされた気がした。 これから国政を志す方には、格好のルールブックでもあり、 私のように、経済学部出身ながらその自覚に乏しい方には、あの頃の新鮮な気持ちが蘇る、若返りの書でもあろう。 ぜひ、皆様にご一読をおススメしたい、と思う。