午後・夜と、政務。につき、今日は、この1冊。 ��ゴールデンスランバー」。伊坂幸太郎著、について。 ちなみに、2008年の本屋大賞受賞作。 本を読む目の肥えた、全国の書店員さんが選んだ、今、一番売りたい本、である。 で、ふ~ん、と読んでみたのだが、お見事。料理にたとえると、これがまた、メチャウマなのであった。 一気に、引きずり込まれた。そして、あっという間に読了。 伊坂ファンに対しては当たり前かもしれないが、初めて伊坂ワールドを体験する私にとっては、最高の想定外。そんな賛辞を送りたいと思う。 プロットのベースにあるのは、J.F.ケネディの暗殺事件だが、その真相が今もって謎、というところに着眼し構築したストーリー。 ある日、突然、首相暗殺という、濡れ衣を着せられた主人公。 緻密に、周到に準備された、権力による巨大な陰謀に1人立ち向かうが、もとより戦える相手ではない。だから、逃げる、逃げまくる、逃げ切れるか、 というのが、物語の流れである。 小説だから、所詮、つくり話なのだが、ひょっとしてありうるかも、と思わせるところが、 時代の空気を見事に読みきった、というか切り取った、筆者のセンスであり筆力、であろう。 最後の、「たいへんよくできました」のハンコのくだり。 直球勝負というのは、こういうことだろうし、手元で伸びてくる直球は美しく、心の奥まで届いた気がした。 それにしても、井坂氏。私より7つくらい年下ということは、団塊ジュニア世代、である。 ふと、広告会社勤務時代、団塊ジュニアをターゲットとした、新車発売の立ち上がりキャンペーンに携わったことを思い出したが、 何のことはない。今ではすっかり、私の方が、団塊ジュニアの顧客なのであった。 逆転。もしくは、新時代。 政治の世界にもそれは必要だし、およそ人ごとでもないぞ。小説の世界とは関係のないところで、そんな刺激を受けた1冊であった。