「(略)先週17日深夜、豊後水道を震源とする地震が南予を中心に幅広い地域で発生しました。皆様、不安な夜をお過ごしになられたことと思いますが、被害等ございませんでしたでしょうか。
県内で震度6弱以上を観測したのは初めてということで、私も県議会公明党として笹岡、乗松議員、そして地元の池田町議とともに翌朝、最も揺れの激しかった愛南町を訪れ、清水町長から被害状況をお聞きするとともに、被災現場の調査を行いました。
愛南町では商店の棚から商品が落下して散乱したほか小学校体育館の屋根が崩落するなどの被害があったものの、幸いにして人的被害がなかったことが何よりでした。
その後、現地の方々からお話を伺ったところ、テーブルの下に隠れながらこれまで経験したことのない強い揺れに恐怖を感じたこと、揺れが治まった後すぐ近くの身内宅に避難したことなど、発災時の生々しい様子を語って頂きました。
海辺にお住いのある方からは、今回は津波が来なかったが南海トラフ巨大地震の場合は必ず津波が襲ってくるわけで、その時本当に所定の避難場所へ避難できるのだろうかとの不安が述べられました。
そのほかにも、過去の震災を踏まえると今後1週間程度は同程度の地震への警戒が必要であること、住居の耐震診断と耐震化や家具等の固定、マイタイムラインなど避難への備えなど自助や共助の重要性についてお話を交わさせて頂きました。
そうした中で浮き彫りとなったのは、遅々として進まない、1981年以前の古い耐震基準で建てられた木造住宅の耐震化という問題です。
愛媛県内の住宅耐震化率は直近で全国平均を5.7ポイント下回る81.3%で、県内すべての市町が全国平均を下回る状況となっています。
それに対し県と市町は、耐震基準を満たさない建物への「耐震診断」や「耐震工事」への補助を2011年度から開始しました。
しかし、これまでに行われた「耐震診断」は4509件、「耐震工事」に繋がったのは1732件と全体の38.4%に留まり、なかなか思うように耐震化は進んでおりません。
その主な理由の1つが「住民の高齢化」と「高額な費用」という問題です。
耐震化率が36.6%と県内で最も低い松野町の高齢化率は約47%で、人口の半分を65歳以上の高齢者が占めています。
また、「耐震診断」から「耐震工事」に繋がる割合が20%未満と低い地域は、松野町や久万高原町などいずれも高齢化率が高い5つの町となっています。
愛南町のある方は、「耐震工事は補助を受けたとしても自己負担が数十万円から100万円以上かかり、子どもたちが県外から帰ってくる当てもない中で、夫婦や自分の年齢を考えると、とてもそんな大金はかけられない」という赤裸々な思いを語ってくださいましたが、ご心情は離島や中山間地域など過疎地にお住いの高齢者に共通する思いではないでしょうか。
対話の中で、耐震化が思うように進まない現状を変えるには、これまでの進め方を変える必要があるということを痛感させられたのです。
例えば、1棟まるごとの「耐震化」ではなく、安価で標準化された「耐震シェルター部屋の促進」や、身体障がい者や介護が必要な寝たきり高齢者などに向けた「耐震ベッドの普及」など、今後は「耐震空間」の確保にフォーカスして進めていく必要があるのではないか、又、可能な限り公費、つまり「公助」で進められるべきと感じたのです。
被災当事者ならではのお話からは、防災減災対策の不断の強化を図る上でとても貴重な気づきを得ることができました。
今後ますます増加が見込まれる単身世帯、孤立高齢世帯を視野に入れ、これまで進めてきた木造住宅の耐震化とともに、発災当初から救出救命までの時間と命を確保する「耐震空間」の普及に国県市町を挙げて全力で取り組んでまいりたいと思います。
今朝は、豊後水道を震源とする地震の被害調査の概要等についてご報告させて頂きました。今週もどうぞ宜しくお願いいたします。」
- 投稿者
- 木村誉
- 投稿時刻
- 09:37