「(略)観光庁から先日、訪日客の消費拡大に関する発表がありました。
それによりますと、昨年の訪日外国人観光客による消費額はコロナ禍前の2019年の4兆8135億円を上回り、政府が掲げる5兆円の目標を初めて突破し、5兆2923億円という過去最高記録を更新したとのことです。
訪日客数は19年の約8割まで回復し約2506万人。数自体は19年を下回りますが、円安による割安感も追い風になって当時より多くのお金が使われていると見られます。
例えば、訪日客による消費拡大の流れを加速させる上で重要な指標となるのが1人当たりの平均宿泊数ですが、今回は同宿泊数が19年の8.8泊から10.2泊に伸びたことで消費額の底上げにつながりました。
宿泊数が増加した背景には、爆買いといった一時的な“消費型”観光ではなく、長期滞在を促す“体験型”観光の広がりがあります。
本県の大洲市は江戸時代から明治時代にかけての風情を残す城下町として有名ですが、今、世界から注目を浴びる最も魅力的な旅行先の1つとなっています。
大洲城に宿泊できる「城泊(キャッスルステイ)」はあまりにも有名ですが、その後、福山城や平戸城など全国各地のお城で事業化が広がっています。
また、北海道の知床国立公園では四季折々の雄大な自然に触れる特別ツアーなどを開き、長期滞在する訪日客が増えています。
今後の課題は、こうした取り組みをさらに広げながら訪日客の地方分散を図ることです。
これは地域経済の活性化はもちろん、都市部のオーバーツーリズム(観光公害)の緩和のためにも必要であります。
政府は昨年から、各地で行われる訪日客向け体験型観光の取り組みなどを後押しするため、最大8000万円を補助する事業を展開していますが、こうした事業も活用しながら本県の各地域の特色を生かしたコンテンツづくりを力強く支援してまいりたいと思います。
さて、ご案内の通り、本県では昨年3月から松山-ソウル便が再開し10月からはデイリー運行へ、そして昨年11月から新たに松山-釜山便が週3便運航することとなりました。
試算によると経済効果は約48億円と見られますが、都市間交流の現状と課題を把握するため先般、県議会の国際交流促進議連の有志で韓国の釜山とソウルを視察訪問いたしました。
エアプサン、チェジュの両航空会社をはじめ、釜山広域市の観光協会や議会、クレアソウル事務所など官民様々な方々と意見交換を行いましたが、本県の観光振興政策を推進するにあたって貴重な示唆をたくさん得ることができました。
特に重要なポイントは、本県に対する要望や課題を直接、具体的に、そして忌憚なくお伺いできたことです。
頂いた課題を1つ1つ克服することで、両都市の経済効果もWIN×WIN関係も、まだまだ大きく広げることができると確信しました。
このことにつきましては今後、議会活動の中で積極的に提言してまいりたいと思います。
また釜山、ソウルに加え、本年3月からは台北便の運航が再開され、松山空港国際線は過去最高の週12便を実現することになります。
県といたしましては今後、中国定期便の再開やベトナムとの新規就航も視野に入れた取組みを進めていますが、そのためには駐機スポットの増設と国際線旅客ビルの拡張が必要になってまいります。いずれもできるだけ早期に実現できるようしっかりと後押しをしてまいります。
以上、今朝は訪日客の消費拡大についてご報告させて頂きました。
今後も、県下各地の歴史や文化、自然などの魅力を磨き上げ、官民挙げて“高付加価値”の体験型観光の拡充に取り組み、本県経済のさらなる活性化を実現してまいりたいと思います。
今週もどうぞ宜しくお願いいたします。」
- 投稿者
- 木村誉
- 投稿時刻
- 09:32