「がん「職域検診」の普及と「治療と仕事の両立支援」についてお伺いします。
日本人の男性の3人に2人、女性の2人に1人が「がん」になり、罹患した人の約3人に1人は20代から60代の現役世代と言われます。人口減少が加速する中、現役世代を「がん」から守る意味で、早期発見・治療に向けた職場でのがん検診「職域検診」の普及は極めて重要な課題といえます。
現在、厚労省では、検診による死亡率減少の有効性などから「胃がん」、「大腸がん」、「肺がん」、「子宮頸がん」、「乳がん」の5つのがんの検診を推奨しています。
これらのがんを対象に市町村が実施する「住民検診」は、「健康増進法」に基いて行われており、同法を根拠に公費が投入されていますが、一方の「職域検診」には法的な根拠がなく、あくまでも企業や団体が福利厚生の一環として「任意」で行われているのであります。
そのため、検診の対象や内容が統一されておらず、行政が詳しい受診状況を把握する仕組みもないというのが現状となっています。
私たち公明党は、誰もが「がん検診」を受診しやすい体制を整備するため、国において「職域検診」を法的に位置づけるよう主張しているところでありますが、法的な位置付けを明確にし、企業等の取り組みを後押しすることは、人口減少が加速する中、現役世代を「がん」から守る上で大きな意義があると考えます。
愛媛県におきましては、2013年度に「職域検診」や「任意検診」を含めた「がん検診の実態調査」を実施し、その結果、「協会けんぽ」や「健保組合」、「共済組合」といった医療保険者ごとにみると、男性の受診率はおおむね 40%を超えているものの、女性の受診率が男性に比べて低いということが判明しました。
また、保険種別では、「健保組合」、「共済組合」に比べ、「協会けんぽ」の受診率が低いこと、そして、就業者本人と比べて被扶養者の受診率が低く、特に「共済組合」ではその差が大きいことがわかりました。
今後の課題として、各市町における「国民健康保険加入者の受診状況の把握」や「継続したデータ収集・分析の体制整備」、また「事業所を対象とした調査の実施」などが挙げられました。
国が本年3月にまとめた「第4期がん対策推進基本計画」では、がん検診受診率の目標が50%から60%に引き上げられましたが、その目標を達成するためにも、私は「職域検診」の普及は極めて重要と考えます。
また、国立がん研究センターの調査において、「がん」と診断された時に就業していた人の内、約2割が退職や廃業をしている実態が明らかとなったことから、「職域検診」の普及と同時に、短時間勤務や在宅勤務など「治療と仕事の両立支援」も同時に進めていく必要があると考えます。
そこで、お伺いします。
2013年度に行われた「がん検診の実態調査」で浮き彫りとなった本県の課題に対する進捗状況はどうか、また、本年策定された国の「第4期がん対策推進基本計画」を踏まえ、県は今後、がん「職域検診」の普及と「治療と仕事の両立支援」に向けてどのように取り組んでいくのか、ご所見をお示しください。」
(保健福祉部長)
「がん検診は、がんの早期発見・治療に重要な役割を果たしており、がんによる死亡や生活の質の低下を減らすためには、検診の受診率向上と精度管理を進めるとともに、がんに罹患された方の治療と仕事の両立支援に取り組むことが重要と認識しております。
このため県では、がん検診実態把握調査の課題を踏まえ、国保加入者の受診状況の把握や検診結果の分析、精度管理等を継続的に行っているほか、県の調査で約3割の事業所が検診が未実施であったため、協会けんぽと連携し、職域で検診の機会のない従業員等に市町の検診を促し、検診制度の普及を図るとともに、WEB予約システムの導入等により受診の促進に努めております。
さらに、治療を受けながら働くことを希望する方に対し、がん診療連携拠点病院等に設置した相談支援センターで、キャリアコンサルタントを活用した就労相談等に取り組んでいるところでございます。
国におきましては、職域検診の法的位置付けを含めたがん検診の制度設計について、必要に応じて検討するとしておりまして、県では、国の動向を注視するとともに、引き続き、検診受診率の向上と相談支援体制の充実等に取り組み、がんの予防と、安心して医療や必要な支援が受けられる地域社会づくりに努めてまいりたいと考えております。」
- 投稿者
- 木村誉
- 投稿時刻
- 11:43