「(略)今月は台風6号・7号の接近で線状降水帯が発生し交通機関が一部運休するなど、お盆の帰省客を始め県民生活にも大きな影響がありました。
先月は石手川が増水し氾濫水位に達したということで、松山市から避難指示が出されたところであり、振り返りますと、愛媛県にとっては忘れることのできない、あの西日本豪雨からちょうど5年が経過したところでもあります。
その後も夏場の豪雨災害は後を絶たず、毎年、全国で甚大な被害が発生する状況となっています。そこで今朝は、本県の防災減災対策の内、治水対策についてご報告させて頂きます。
実は、本県は、河川の延長(すべての川を繋いだ長さ)が全国で6番目に長く、それだけ対策には人手も予算もかかるという、過酷な自然環境を抱えています。
そのため県では、3年前から“流域治水”という考え方を取り入れ、治水対策に取り組んでいます。
この“流域治水”というのは、公明党の提言により国が2020年に打ち出した方針です。
従来、国や県など行政が重信川は国、石手川のこの区間は県、三反地川は松山市というふうに、河川それぞれごとに管理するのが常でした。
そしてそれぞれで、河床掘削や護岸の強化、堤防の整備などを行い、その結果、川の水を溢れさせずに海へ流すことを目的とした治水対策でありました。
しかし、気候変動による地球温暖化の影響で、豪雨災害が年々激甚化し、川の水が溢れることは全国的にもはや常態化しています。
そうした現実を踏まえますと、逆に川の水があふれるということを前提にして、いかに被害を軽減するかという逆転の発想が求められるということ、
そして行政だけでなく、企業や住民など、1つの河川を共有するすべての関係者が協働し、流域全体で治水対策に取り組むというのが“流域治水”の考え方であります。
県では先月、愛媛県版の流域治水マニュアルを作成しました。
住民版と企業版の2種類で、私も目を通しましたが非常に良くできていると感じました。
この流域治水マニュアルは、林業者や農家ができる流域対策、私たち市民ができる流域対策、安全なところに建物を立てたり人が住んだりという“まちづくり”として行政が行う流域対策など、すべての方が、豪雨による被害軽減に貢献できるアイデアをまとめた事例集となっています。
例えば、お家でできる取り組みとして、雨の日に庭にバケツを出すことやお風呂の水を流さないこと、これを松山の50万市民が実践するだけでも、河川に入る雨量はずいぶん減らせることができます。
お米農家の方には、田んぼに水を張るのを例えば3㎝かさ上げすれば相当の量を貯めることができ、河川の一気の増水を緩和することができます。
また、企業等の取り組みといたしましては、屋上に雨水タンクを設置したり、地下に貯留施設を設置したり、あるいは、敷地や駐車場のアスファルトを、水を地中に浸透させるような材質に変えていくといった取り組みも有効であります。
ぜひ企業等の皆様にも、ご理解ご協力を頂きながら普及推進してまいりたいと思います。
このように、行政も住民も企業も、地域の皆が一体となって豪雨による災害を軽減させる“流域治水”の取り組みを、今後も私自身、微力ながら全力で取り組んでまいりたいと思います。
本日は、公明党の提言で実現し、全国で、そして本県で推進する“流域治水”の取り組みについてご報告させて頂きました。今週もどうぞ宜しくお願いいたします。」
- 投稿者
- 木村誉
- 投稿時刻
- 09:23