本日、松山市内にて四国観光議員連盟総会が開催され、出席。
総会に先立ち、四国ツアーズ㈱/取締役会長・中野隆氏の「四国のインバウンドとアドベンチャートラベルの可能性について」と題したご講演を拝聴しましたが、非常に可能性に満ちた四国観光の方向性が示されましたので、以下に要旨をまとめてみました。
◎国の観光立国推進基本計画(2023~2025年度)において、大阪・関西万博が開催される2025年に向け、「地方誘客促進」をキーワードに、「持続可能な観光地域づくり」、「インバウンド回復」、「国内交流拡大」に戦略的に取り組むとあるが、訪日外国人旅行消費額単価は既に目標をクリアするなど近年の「インバウンド回復」の勢いには目を見張るものがある。
◎国が6/13に発表した観光白書2023によると、観光産業が回復する一方で「人材不足・低生産性」という構造的課題の顕在化が指摘されている。
◎例えば、従業員1人あたりの付加価値額でみると、わが国の全産業806万円に対し、観光産業は491万円、宿泊業も534万円と低く、海外の宿泊業では米国が976万円と高く、スペイン709万円、イタリア690万円が続く。
◎日本は「稼げる産業」へと変革を進めなければならない。それには、地域住民と異業種が連携し地域のストーリーを磨き上げ、高付加価値の体験型観光商品(アドベンチャートラベル)を造成し、地域への観光消費を、雇用と所得、税収に還元し循環させるしくみづくりが求められる。
◎直近の訪日外国人旅行者数、消費額、航空需要ともに、コロナ前のレベルに回復、もしくはクリアしており、このままいけば2030年の目標であるインバウンド6000万人の達成は十分可能だ。
◎世界経済フォーラム(ダボス会議)における旅行・観光競争力ランキングで、日本は2011年に22位だったが2021年には第1位となっており、JTBの2019年度調査によると、次に海外旅行に行きたい国・地域で、日本は韓国・オーストラリア等を抑え、断トツの1位を記録した。
◎日本の地方観光で体験したいことは、「その土地ならでは」の料理や芸能、文化、祭り、お酒、工芸品や、ふれあい、体験などのアクティビティとなっている。
◎インバウンド再開後の重点分野は、「富裕層(100万円以上/人回)対策」、「サステナブルツーリズム」、「アドベンチャーツーリズム」であり、国は上質なインバウンド観光サービスを創出し、2030年の訪日外国人消費額目標15兆円の達成を目指すとしている。
◎観光の高付加価値化へのポイントは、本物の自然・文化体験、土地や人々との深いつながり、共感できるストーリー、その土地への貢献、希少性等が挙げられる。
◎サステナブルツーリズムとは「訪問客、産業、環境、受入れ地域の需要に適合しつつ、現在と未来の経済、社会、環境への影響を十分に配慮した観光」(国連世界観光機関)と定義されるが、愛媛県大洲市の取り組みはそれを体現し、グリーン・デスティネーションズ・ストーリー・アウォーズ(文化・伝統保存部門)で日本初の世界1位に輝いた。(筆者7/27付ブログ「観光スポーツ文教警察委員会【県内視察①】をご参照ください)
◎訪日旅行で体験したい野外アクティビティは、スキー・スノボー、登山・トレッキング・トレイルラン、ハイキングなどで、そうしたアドベンチャートラベルは今、世界的に人気を集め、2026年には100兆円市場に成長するといわれている。国際観光客合計に占める訪日客数シェアは約2%だから、日本でも2兆円の巨大市場に成長する可能性がある。
◎四国は、自然・文化・アクティビティの3要素を満たす多様な素材にあふれていて、アドベンチャートラベルの可能性は極めて大きいものがある。
◎4つの空港や3本の橋、海からの多彩なフェリー航路など、様々なエリアと広域連携したロング商品の造成が可能であり、四国内の他地域と連携した商品造成も可能である。
◎一方で、ほとんどの観光地が「残念な光景」(廃屋、放置自動車、廃棄物など)を隣り合わせのように抱えており、それではラグジュアリツアーも台無しで富裕層を呼び込むことは困難になる。
◎商品造成の前にそういうところから、業界も、地域も、そして住民全体が意識を変革していく必要がある。その先に、世界的なインバウンド先進地としての「四国」の新たなステージが創出されることを期待し、四国観光議連としてご尽力をお願いしたい。
- 投稿者
- 木村誉
- 投稿時刻
- 17:01