本日午前は、一般社団法人キタ・マネジメント様を訪問し、同法人のCMOであり㈱KITA代表取締役の井上陽祐様から「歴史的資源を活用した観光まちづくり」の取り組みについてお話を伺いました。
同法人は歴史、文化、自然、風土など地域固有の資源を保全し、民間事業者等との協働により新たな価値を創造することにより、地域資源を観光まちづくり等に生かしながら地域に産業を根付かせ、地域経済の発展に寄与することを目的として2018年7月に設立されました。
その後、大洲市の地域DMOとして観光庁に登録、2021年度には重点支援DMOに選定され、2022年度に第14回観光庁長官表彰を受賞。
さらに2022年9月、オランダの国際認証機関「グリーン・デスティネーションズ」が選出する「Culture&Tradition(文化・伝統保存)」部門にて、国内初の世界1位を受賞。
そうした取り組みに世界から注目が集まるようになり、今日に至ったとのことです。
井上CMOによるレクチャのポイントを、以下に列挙します。
〇なぜ、観光まちづくりなのか?
⇒観光はすそ野の広い世界最大の「成長産業」の1つであり、人口減少の抑制に向けて交流人口の増加に寄与するとともに、地域固有の貴重な文化財を守るためにも必要不可欠の取組みだから。
〇インバウンド観光は歴史・文化資本型の外貨獲得産業であり、今後5年以上は継続的な成長が見込める輸出産業である。
〇大洲市民全体で、インバウンド(訪日外国人観光客)は大切な大洲の資源という認識を持ち、徳島県三好市を参考に、欧米豪から1泊消費単価10万円以上の個人客層を戦略的に誘致する。
〇2017年当時、大洲城下町で取り壊しが予定されていた物件が少なくなかったが、2018年7月にバリューマネジメント㈱、ノオト、伊予銀行、大洲市とで連携協定を締結、法人を設立し、ファンドを造成し、事業スキーム及びプロパティマネジメント・ビジョンを確立しつつ取り組みを進める中、歴史的建造物31棟を再生し、分散型宿泊施設「NIPPONIA HOTEL」として世界に発信。
〇今年3月時点で、のべ宿泊者数は約1.5万人、客室単価は6.8万円超、進出事業者数は雑貨、カフェ、バーガー、日本酒など20事業者、地元の若者雇用71人、道の駅の一人当たり消費額は16.6%増という成果を上げている。
〇そうした中、2022年8月から大洲まちづくり大学を開設。大洲の観光エリアにて開業する既存、新規の観光関連事業を対象に、観光庁の専門家や地域商社の社長等を招き、今日まで勉強会を重ね、地域に残る文化財や歴史的資源を活用した観光まちづくりを進める中で、まちに文化財が増え、維持保全されながら観光産業が持続するというしくみづくりに着実な手ごたえを感じている。
本県が観光立県を目指す上で最も重要な課題について、私は「宿泊」、「言語」、「交通」、「サプライズ」というふうに委員会でもブログでも申し上げてきましたが、今回の視察を通じて、そうした課題を大洲市ならではの切り口で果敢にクリアされた優れたケーススタディであると深く感銘を受けました。
本県には東中南予ごとに、魅力的な体験アクティビティや絶景などの観光コンテンツが豊富にありますが、ぜひ大洲市の事例を援用しながら、1つでも多くの地域で、若い世代を中心とする「観光まちづくり」の取り組みが、地域固有で新たなる「成長産業」として創出されることを期待したいと思いますし、私自身、微力ながら全力で後押ししてまいりたいと思います。
- 投稿者
- 木村誉
- 投稿時刻
- 17:11