「(略)政府は先週5/26の閣議で、2022年度の「食料・農業・農村白書(農業白書)」を決定しました。
農業を基幹産業とする愛媛県にとりまして重要な指針ともなりますので、今朝はその概要についてご報告させて頂きたいと思います。
今回の白書で重要なのは、「食料の多くを海外に依存しているわが国は、将来にわたって食料を安定的に供給していくためのターニングポイントを迎えている」と、非常に強い危機感が示されている点であります。
昨年のわが国の農産物全体の輸入額は、21年より約3割増加しました。
これは、ロシアのウクライナ侵略による世界的な需給の逼迫、気候変動に伴う不作などの影響に加え、円安で輸入コストが増大したためであります。
特に、小麦や大豆、トウモロコシは輸入量に変動がないにもかかわらず、コストの増大で過去10年間で最大の輸入額となりました。
こうしたことが飼料価格の上昇につながり、農業経営に深刻な打撃を与えているのです。
日本の農業を維持し、食料の安定供給を確保するには、生産コストに見合った適切な価格転嫁や、国内自給率を高めて輸入依存からの転換を進める必要があります。
この点について白書は、生産コストの高騰を受けて価格転嫁した農業者の割合が1割程度にとどまる現状を踏まえ、消費者の理解を得て価格転嫁できる環境づくりが重要と指摘し、小麦や大豆など海外依存度の高い品目については、国内生産を拡大していく必要があるとしています。
さらに白書は、輸出拡大についても言及しています。
わが国の農林水産物・食品の輸出額は2021年に1兆円を突破し、昨年も過去最高を更新しました。
輸出拡大は人口減少による国内市場縮小の影響を緩和し、国内の生産基盤の維持につながります。
しかし昨年、国内の農業経営の良しあしを示す農業景況指数は、1996年の調査開始以来最低を記録。
生産資材の高騰等による深刻な経営難が浮き彫りとなり、農業分野の倒産件数は過去10年で2番目に多い結果となりました。
輸入原料や肥料、飼料、燃油等の生産資材の国際価格の高騰に加え、
新型コロナの感染拡大による外食やインバウンドの需要減少、
高病原性鳥インフルエンザや豚熱を始めとする家畜伝染病の発生等の重なりなど、
倒産件数増加の背景には様々な要因が挙げられます。
白書が指摘するように、政府は、日本農業は極めて重要な転換点にあるとの認識を持ちながら、食料安全保障の強化を急ぎ、国際情勢の変化によるリスクを抑えるとともに、海外依存の高い品目の国内生産拡大により、過度に輸入に依存する現状からの構造転換を着実に推進しなければなりません。
同時に、本県としてもこうした転換期をむしろチャンスと捉え、農業産出額の拡大に繋げて頂きたいし、微力ながら私も後押しをしてまいりたいと思います。
今朝は、先週、閣議決定された農業白書の概要についてご報告させて頂きました。今週もどうぞ宜しくお願いいたします。」
- 投稿者
- 木村誉
- 投稿時刻
- 09:27