「(略)今年度、私は観光スポーツ文教警察委員会に所属することとなり、そうした中、学校教育という観点から先週、「起立性調節障害」という病気の当事者であるJK(女子高生)が自ら監督し、仲間であるJKメンバーで製作した映画「今日も明日も負け犬。」を鑑賞してまいりました。
様々なことを考えさせられる素敵な作品でしたので、今朝はこの「起立性調節障害」について触れてみたいと思います。
「起立性調節障害」は、小学生の5人に1人、中学生の10人に1人がかかるといわれ、自律神経の不調により思春期に多くみられる病気です。
具体的には、立ちくらみや頭痛などで朝起きられないという症状に加え、周囲からは症状がわかりにくいため、「さぼり」や「怠け」といった誤解を受けやすく、そのことでさらに傷つき登校しづらくなる辛さがあります。
この映画は、当事者である女子高生監督自身の経験をもとに、28人の女子高生で製作し、NPO法人映画甲子園主催「高校生のためのeiga world cup 2021」で、見事、日本一に輝きました。
病気のことを理解してもらえない苦しさ、押しつぶされそうな不安と孤独の中で、主人公は挫折を繰り返しながらも、仲間たちとともに、人生の夢や希望を少しずつ取り戻していくという物語です。
私自身、大きく3点、考えさせられました。
まず、「起立性調節障害」という病気に対する医療の現状についてです。
現時点では治療法や薬などが十分には確立していないため、医療機関をいくつも受診したという声が私にも寄せられ、あちこちから聞かれるところです。
当事者、ご家族からすれば、一刻も早く適切な医療環境の整備が進むことが望まれていますが、そうした環境を県や市町にどう広げていくのかということが、重要な県政課題の1つに上げられると受け止めました。
2つめは、学校関係者の理解がなかなか得られないという問題です。
この病気特有の「朝起きられない」という症状は、ややもすると「甘え」や「さぼり」、「怠け」というふうに見られがちですが、それはひとえに「無理解」によるものです。
保護者も含めた幅広い学校関係者に、このことへの理解をどう促していくか、学校教育上の重要な課題と感じました。
3つめは、「多様性の時代」への対応です。
様々な分野における新たな価値観は、これまでの常識や旧来の考え方との間で深刻な対立や分断を生んでいます。
例えば、LGBTQや選択的夫婦別姓の問題、外国人労働者や移民の問題、働き方やキャリアの問題など様々ありますが、そうした対立や分断を解くカギは「ダイバーシティ」の推進にあると言われています。
「ダイバーシティ」とは、異なる価値観や考え方を互いに認め合い、見えないものを互いに尊重し理解しようと努める、そういう個と組織を広げながら、社会の共通認識へと高めていくという取り組みですが、私も同意であり、本県やわが国で加速する少子化や人口減少の問題も、突き詰めればそこに行き着くと考えています。
「起立性調節障害」をモチーフとした今回の映画は、文字通り、わかりにくいこの病気に対する理解を広げたい!という主人公の願いとともに、
まだまだダイバーシティに無自覚な社会に対し、若さだけが持つ繊細で美しい響きで「多様性の時代」とは何かを鋭く深く問いかけているのではないかと感じました。
実は、この「起立性調節障害」について、私は昨年6月定例会の一般質問で取り上げさせて頂きました。
きっかけは、松山市内にお住いの当事者、ご家族から寄せられたご相談でした。
長年抱き続けた苦しい胸の内など詳しくお話をお伺いし、先進事例など研究調査を重ねながら、学校関係者の理解促進等について教育長に要望をいたしました。
あれから1年。
公明党のネットワークで、県下市町の議員と連携しながら、「起立性調節障害」に対する理解促進と支援の拡大に取り組んでまいりましたが、今後も引き続き粘り強く、当事者ご家族の皆様に希望の光をお届けできるよう、しっかりとこの問題に取り組んでまいる決意です。
今朝は「起立性調節障害」についてご報告させて頂きましたが、ご要望等ございましたらぜひお気軽にお寄せ頂けたらと思います。
今週もどうぞ宜しくお願いいたします。」
- 投稿者
- 木村誉
- 投稿時刻
- 10:01