「(略)ゴールデンウィーク前の4/27、電力の安定供給と脱炭素社会化の両立をめざす「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法案」が衆院本会議で可決し、参院に送付されました。
この法案は、政府が2月に閣議決定した「GX実現に向けた基本方針」に沿ったもので、4/26の衆院経済産業委員会において与野党4党が共同で修正案を提出し、賛成多数で可決したものです。
同法案は、再生可能エネルギーの最大限の導入拡大に向け送電網整備の支援強化を図るもので、原発立地県の本県にとって重要なものとなりますので、今朝はその概要についてご報告いたします。
法案には、「原子力規制委員会が厳格に審査し、適合しなければ運転は一切認めない」との大前提の上で、原発の運転期間は「原則40年、延長20年」の制限を堅持し、安全審査などに伴う停止期間を算入しないことなどが盛り込まれています。そして、運転開始30年以降の原発については、10年以内ごとに規制委の審査・認可を受ける仕組みを導入することとしています。
与野党による法案の修正では、原発に対する信頼を確保し、理解を得るために必要な取り組みを推進する国の責務の中に、電力の大消費地である都市の住民を加え、協力を得る必要性を示しました。
また、法改正の施行後5年以内に政府が行う検討の対象に、原子力規制委員会による審査の効率化と充実など規制のあり方を加えました。
日本は、温暖化対策として、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする脱炭素化の目標を掲げていますが、ロシアのウクライナ侵略に伴う原油など輸入燃料の高騰が国民生活に影響を及ぼす中、化石燃料に依存した社会・経済構造の転換は喫緊の課題であります。
しかし、日本の電源構成の現状は、石油や石炭、液化天然ガスによる「化石燃料発電」が約73%、太陽光などの「再エネ」が約20%という、目標には程遠い状況となっています。
「原子力発電」は、2011年の東日本大震災後、安全を最優先して稼働を全て停止し、その後、原子力規制委員会による世界で最も厳しい規制基準の安全審査に合格し、地元の理解を得た原発のみ再稼働できるというルールによって、現在、10基が再稼働しています。
こうした中、政府が2月に定めた「GX実現に向けた基本方針」では「再エネの主力電源化」を柱に据えています。
方針には公明党の主張が反映されており、
2030年度までに国内で使われる電力の36~38%を「再エネ」で賄うとの目標達成に向け、課題となっている「送電網の整備」を強力に進めるとしています。
徹底した「省エネ」も、柱の一つです。
中小企業の省エネ化を支援する補助金の創設や、断熱効果の高い省エネ住宅への支援などが盛り込まれました。
原発の新設や増設は行わず、新たな安全メカニズムを組み込んだ「次世代革新炉」の導入については、「地域の理解」を大前提に「廃炉を決定した原発の敷地内での建て替え」に限り行い、原発に依存しない社会をめざすとしています。
こうしたGXを進めるには膨大な資金が必要ですが、政府は新たな国債「GX経済移行債」を発行し、今後10年で官民計150兆円超の投資を見込むとともに、うち20兆円はGX経済移行債で調達し、50年度までに償還する計画です。
一方、カーボンプライシングに関しては、企業などが排出量を削減した分を市場で売買できるようにする「排出量取引」を2026年度から本格稼働させるほか、化石燃料を輸入する電力会社や石油元売り会社などに対し、排出量に応じて賦課金を求めるとしています。
今朝は、電力の安定供給と脱炭素化の両立をめざすGX実現に向けた政府の取組みについてご報告いたしました。今週もどうぞ宜しくお願いいたします。」
- 投稿者
- 木村誉
- 投稿時刻
- 15:51