●次に、中小企業の賃上げについてお伺いします。
党アンケート調査で、20代の青年から次のような声が寄せられました。
「中小企業は給料がなかなか上がらないので、子供が欲しくても家を建てたくても、叶わない。子供を産むのを諦めるか、家を建てるのを諦めるのか、もしくは両方諦めざるを得ない状況で、将来に対する不安しかない。最近は塾や習い事をしているのが当たり前みたいですが、子供を産めたとしても、したい事をさせてあげられるお金がないので、子供は作らないという選択をしないといけない。中小企業で働いている方が、もっと将来に希望を持てる社会にして欲しい。」
理想と現実の間で苦悩する心情が、ひしひしと伝わってきます。
アンケート調査の回答で、20代、30代の多数が望むものは「雇用創出、賃金アップ」でしたが、先程の物価高騰対策に照らしていえば、私は「物価上昇を上回る賃上げ」こそが本質的な物価高騰対策である、と考えます。
このことは「失われた30年」と言われる日本経済の停滞から脱するカギであり、断じて成し遂げなければならない国家的課題でもあります。
岸田首相の要請に応じて、労使ともに賃上げの方向へと動きが広がる中、特に大企業では今春の賃上げが次々と発表されているところでありますが、青年の指摘にあった通り、大事なことは、日本の企業数の99%を占める「中小企業の賃上げ」の実現であります。
申すまでもなく、その多くがコロナ禍や原材料・資材高などの影響で、事業や経営に深刻な打撃を受けています。
中小企業庁の調査によりますと、コスト上昇分に対する価格転嫁率は平均46.9%で、まったく価格転嫁できていない企業が約2割に及ぶなど、原材料高は中小企業の利益を強く圧迫しています。
松山市のある事業者は、「大企業が大幅な賃上げを発表しているが、地方からすれば別世界の話だ。原材料コストが高止まりを続け、光熱費や物価が急騰し、利益は減る一方で、利益を度外視して仕事を受けざるを得ない現状に虚しさを感じる。」と、呟くように語られました。
中小企業に賃上げの動きが広がらなければ、本県経済の回復と浮揚は極めて困難といえるでしょう。
中小企業が物価高を乗り越え、賃上げの原資となる収益を確保できるよう、国も県も、生産性向上や業務改善の取り組みを力強く後押しして頂きたいと思います。
そこで、お伺いします。
県は、賃上げの実現につながる中小企業への支援にどう取り組んでいくのか、ご所見をお聞かせください。
(経済労働部長)
急速に進む物価上昇を受け、政府も経済界にインフレ率を上回る賃上げを要請している中、今年1月の県内主要企業75社対象の県調査では、価格転嫁を行った企業は約6割、賃上げを実施する企業は約4割に留まっており、とりわけ他社との競争激化で価格転嫁が難しい中小企業が賃上げ実現を図るためには、収益の拡大が不可欠と認識しております。
このため県では、収益の拡大に向けて前向きに取り組む県内中小企業における新たなビジネスモデルの展開を約2,100件、業務効率の改善や省エネにつながる設備投資を390件支援したほか、ローカル5Gを活用したスゴ技企業連携による経営の効率化等に取り組んだところでございます。
さらに、中小企業の稼ぐ力の強化に向け、首都圏でのリアルとデジタルを組み合わせた大型展示会の出展や、大手量販店での愛媛フェアの全国展開に加えまして、来年度はECサイト「愛媛百貨店」でのデジタルを活用した営業活動を強化して、販路開拓・販売拡大を支援するなど、引き続き、県内企業の収益拡大への取組みを幅広く支援し、賃上げ機運が中小企業にも広がり、地域経済の好循環創出につながるようしっかり取り組んで参りたいと考えております。
- 投稿者
- 木村誉
- 投稿時刻
- 23:54