「(略)新型コロナウイルス感染症の収束に向けて待ち望まれるのは、やはり“国産ワクチン”であります。
公明党は4/28、国産ワクチンの早期実用化に向けた緊急要望を菅義偉首相に提出しておりましたが、先月、政府がまとめた「ワクチン開発・生産体制強化戦略」にその多くが反映されました。今朝は、その概要についてご報告したいと思います。
ウイルスの変異性を考えますと、今後、日本特有の変異株の発生も懸念されており、ワクチンをこれまで通り海外からの輸入に頼るだけでは、それに効くものを開発してもらえない可能性がありますし、国際情勢によっては供給を絶たれる恐れも決してないとはいえません。
そこで、4月に首相にあてた公明党の緊急要望では、ワクチンの、①研究・開発、②治験と承認、③製造基盤と原材料・資材の確保といった課題解決に向けた方策を提案いたしました。
初めに、ワクチンの①研究・開発についてでありますが、近年、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)に人員を割いて担ってきましたが、AMEDは医療や感染症を所管する厚生労働省からは切り離されていて論文発表数も少なく、企業の継続的な開発や生産体制の強化につながらないため、一刻も早い成果が求められる今回のような緊急時には機能することができませんでした。
この反省に立ち、公明党は先の緊急要望で、「厚労省が責任を持って司令塔の役割を果たすべき」とし、厚労省の人員など体制を強化するとともに国を挙げた研究開発支援に全力を尽くすよう求めたのであります。
これを受ける形で、今回の政府戦略では、AMED内に「先進的研究開発戦略センター(スカーダ)」を新設し、その意思決定には厚労省の次官級の医務技監が加わること、平時から同省の新部署がスカーダへ助言するということが明記されました。これにより、国策として緊急時のワクチン開発支援を進める体制が担保されたといえます。
また、ワクチンの開発には、ウイルスなどの病原体を安全に扱える実験施設が必要となりますが、公明党は国会質疑などを通じて、最高度の安全実験ができる「バイオセーフティーレベル(BSL)4」施設と連携した基礎・臨床の研究体制構築を主張し、これに沿った構想が政府戦略に盛り込まれることとなりました。
次に、ワクチンの②治験・承認についてであります。
国産ワクチンの実用化を急ぐため、政府においてはこれまで、“薬事承認の枠組みを超えて、緊急使用を認めることありき”といった議論も散見されましたが、それでは有効性・安全性をチェックする薬事承認制度への信頼が損なわれかねません。
従いまして、まずは現行制度の下で実用化を最大限に早めることを基本に、制度を見直す場合にも“国際的な合意にのっとるべき”というのが、公明党の基本的スタンスであります。
緊急要望では具体的に、国内で実施が困難になっている最終段階の大規模臨床試験(第3相試験)の代替策について、薬事規制当局国際連携組織「ICMRA」でのワクチン評価の指標に関する議論を主導し、早期に示すよう求めたわけですが、当方の要望に沿って政府が取り組んだ結果、国際議論では、従来の大規模臨床試験の代わりに接種後の抗体量などを指標に、既存のワクチンと比較して有効性や安全性を評価する新たな手法が用いられる方向となってまいりました。
政府は業界に対し、この方向で最終段階の大規模臨床試験への準備を進めて差し支えないとの見解を示したところであり、今後の国産ワクチンの開発加速化ということが期待されます。
政府戦略では、次なる感染症に備えるため、輸入ワクチンも含めた治験・薬事承認の迅速化へ、米国の緊急使用許可(EUA)などを参考に制度を見直す議論も提起されましたが、わが国の薬事承認への信頼が損なわれないよう、これについては丁寧な検討を求めてまいりたいと思います。
最後に、ワクチンの③製造基盤と原材料・資材の確保についてであります。
今回の政府戦略では、公明党の訴えを踏まえ、製造基盤に関して平時はバイオ医薬品、有事はワクチンといった形で、両用性のある民間設備の構築を支援するとともに、原材料・資材の国内自給の推進についても明記されることとなりました。
今後、国産ワクチンがいち早く国民に届けられますように、そして、次なる感染症への備えが充実するよう、引き続き、政府や企業と連携し取り組みを進めてまいりたいと思います。
本日は、公明党の緊急提言が盛り込まれた「国のワクチン開発・生産体制強化戦略」について概要を報告いたしました。今週もどうぞ宜しくお願いいたします。」
- 投稿者
- 木村誉
- 投稿時刻
- 13:24