「(略)国では本日、臨時国会が召集され、菅総理による就任後初の所信表明演説が行われます。
報道によりますと、規制改革の推進をはじめ、新型コロナの感染防止と社会経済活動の再開による経済の回復等の方向性が示されておりますが、それに加え「2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする」ことをめざす方針が掲げられる予定とのことです。
国はこれまで、排出ゼロ実現の時期については明示しておりませんでしたが、一歩踏み込んだ形の発言であり、国際社会に強いインパクトを与えています。
折しも、先週、県議会・環境保健福祉委員会にて「地球温暖化対策」を議題に活発な論戦があったばかりであり、今朝はその質疑も踏まえ「地球温暖化対策」についてご報告したいと思います。
そもそも地球温暖化とは、地球表面の大気や海洋の平均温度が長期的に上昇する現象で、その主な要因は、産業革命が始まった18世紀以降現在に至るまで排出増加が続く「温室効果ガス」にあるといわれます。
その「温室効果ガス」の排出をどのように抑制していくか?ということこそ地球温暖化対策の核心であり、対策を取らずにこのまま放置しますと、2100年の世界の気温は、今より最大で4.8℃上昇すると予測されています。
ちなみに日本の場合、この100年で年間平均気温は1.19℃上昇しており、このままだと2100年には最大5.4℃上昇すると言われています。
約1℃の気候変動で今日の豪雨災害の激甚化、頻発化を招いているとすれば、5℃上昇した場合どうなるのでしょうか?
その影響はわが国のみならず、もはや世界の存亡に関わる人類的課題といっても過言ではないでしょう。
そこで世界では、2015年にCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締結国会議)が開催され、2020年以降の地球温暖化対策の新たな枠組みについて議論が行われました。
そして成立したのが「パリ協定」であります。
その概要は、
世界共通の長期目標として、産業革命前からの平均気温の上昇を2℃より十分下方に保持する(できれば1.5℃に抑える)ことを目的とし、
各国は削減目標と戦略を2020年までに策定、5年ごとに世界全体での進捗状況の棚卸しを行うというものです。
日本は既に昨年6月に戦略を提出しましたが、そこに書かれた2050年までの温室効果ガスの削減目標は80%でありました。
これに対し各国から“日本は温暖化対策に消極的”と批判が上がっていたわけですが、冒頭に申し上げました通り、菅総理が2050年に実質ゼロを表明する方針を示したことから、世界から期待感をもって今、注目が集まっているのです。
その具体的な取組みがどういうものであるか、本日午後からの総理の所信表明演説に注目したいと思います。
さて、話を愛媛県に戻しますと、
地球温暖化の進展は、本県の農林水作物の生育状況や熱中症など人の健康状態、豪雨など自然災害の激甚化・頻発化、さらには生態系にまで深刻な影響を及ぼそうとしています。
そうした現状を正しく認識することが重要であり、その上で、本県として温室効果ガスの排出を2050年の実質ゼロに向けて最大限抑制していく努力が求められます。
先週の委員会では、“そのことに対し具体的にどう取り組むか?”ということが議論の核心となりました。
私は、本県における2017年の部門別排出量データに着目し、次のように質問しました。
「本県では産業・運輸部門で全体の約7割を占めているが、2050年までに実質ゼロとするためには、ここを大胆に削減する必要があると思うが、どのように取り組むのか?」
これに対し理事者から、「産業部門での排出削減は大きな課題であり、県の再生可能エネルギー発電導入可能性調査事業の周知のほか、各事業所の先進事例を説明会やセミナーで紹介していく」との答弁がありました。
また、2050年までの“実質ゼロ”という目標に関しては、“中期目標である2030年度までの13年度比27%減を達成するため、森林整備やゼロエネルギーの住宅・ビル、電気自動車の普及、企業の技術革新の支援などに取り組む”との説明がありました。
以上、今朝は「地球温暖化対策」についてご報告させて頂きましたが、私はこのことは、国際社会共通の目標であるSDGsに包含される人類的な課題であり、又、本県においても先程の産業部門だけでなく、クールビズやウォームビズなど、県民1人1人が総ぐるみで、着実に取り組むべき身近な実践課題でもあると考えます。
皆様にご理解と共感を頂けますよう私自身、地球サイズの視点も自分サイズの視点もどちらも大事にしながら、本県の「地球温暖化対策」の推進に引き続き取り組んでまいりたいと思います。今週もどうぞ宜しくお願いいたします。」
- 投稿者
- 木村誉
- 投稿時刻
- 10:39