「(略)ⅰPS細胞の研究で有名な京都大学の山中伸弥教授はかつて、“新型コロナ対策で一番大切なのは「治療薬」と「ワクチン」の開発である”と述べられました。
実に的を射た発言でありますが、このことについて先週20日、公明党・新型コロナウイルス感染症対策本部及び同感染症ワクチン・治療薬開発推進プロジェクトチームは、加藤厚労大臣に対し、“感染拡大防止と経済活動の維持回復の両立には、安全で有効なワクチンの開発と実用化が急務”として、政府の総力を挙げて取り組むよう緊急提言を申し入れました。
今朝は、その内、国が進める「ワクチン」の開発状況についてご報告したいと思います。
普通のワクチンは、開発するのに通常5~10年かかると言われます。
これは、最初の研究から臨床試験まで2~3年、政府に薬事承認を得るのに数年、承認取得後、生産ラインを引くのに数年、トータル5~10年という計算になるのですが、私ども公明党は、この工程を可能な限り縮めるべく提言を重ねつつ、国も今、全力で取り組みを進めているところでございます。
さて、新型コロナワクチンについては現在、世界で200種類以上の候補がございますが、
この中で、日本で一番進んでいるのは「大阪大学」、「アンジェス」、「タカラバイオ」が共同開発している「DNAワクチン」であります。
臨床試験は第1相、第2相、第3相という3段階ある中、今、第2相(人を使った臨床試験の最初の段階)まで進んでいます。
一方、世界で一番進んでいるのは「英国」、「オックスフォード大学」、「アストラゼネカ社」が進める「ウイルスベクターワクチン」です。
ここは第3相(人の臨床試験の一番最終段階)まで進んでおり、順調にいけば今年の9月からアメリカでの供給を開始する予定だそうです。
日本の場合は、臨床試験で良いデータが得られれば、年明けを目途に国内ワクチンを打てるようにしたいとのことで、政府は、来年夏の東京五輪までに全国民にワクチンを打てることをめざし取り組むとしています。
但し、ワクチンの世界では、臨床試験まで行っても成功するのは数%と言われており、200種類あっても通常であれば1個か2個くらい成功すればOKという難易度に加え、
臨床試験も、感染予防がうまくいけば感染者が減るので逆に臨床試験が進まなくなるという逆説が生じるなど、開発成功への道のりはまだまだ厳しいというのが現実です。
話を戻しますと、先程申し上げた英国の「ウイルスベクターワクチン」の他、米国の「m-RNAワクチン」など、おおむね日本よりも海外のワクチン開発が先行するという状況にあって、
政府としては国内開発の一方、外国からの調達についても交渉を進めており、英国とはわが国に必要な分量確保に向けた具体的協議が始まるなど、今後の交渉の進展にも期待を寄せたいと思います。
さて、ワクチン開発で、もう1つ大事なポイントは「副反応に対する救済制度」です。
あらゆるワクチンには副反応(副作用)が存在します。
通常であれば、多くの方が毎年、インフルエンザの予防接種をされると思いますが、その場合にも副作用があります。
軽いものでは打った後が赤くなり、重いものではアナフィラキシーショックが挙げられますが、
そうした予防接種を打たないことで病気になって重症化するリスクと、打った副反応で重症化するリスクと比べた場合、打たないときの方がはるかにリスクが高いということで、ワクチン・薬というのは開発承認が得られることになっています。
従って、新型コロナワクチンについても一部、副反応が出ることは避けられないと考えられます。
その際、公明党として「国が企業に、急いで開発せよ!と言うのであれば、副反応を起こした方々に対する救済は国においてしっかり対応するということが大事」であり、
「健康被害の救済制度を国としてしっかり整えるべき」であることを、先の予算委員会や今回の提言で主張いたしますとともに、併せて
「承認されてから生産ラインを引いたのでは遅くなるため、企業としてはリスクを取って同時並行的に生産ラインを作らないといけない。このリスクに対する予算は、国がしっかり支援するべき」と訴えさせて頂いたたところであります。
最後に、「ワクチンが開発された場合、全国民に対し、どういう順番で打っていくのか?」ということにつきましては、
政府の専門家会議で正に議論を行っている最中で、まずは重症化のリスクの高い方々から優先して打つことになると思われます。
例えば、高齢者の方々や基礎疾患をお持ちの方々、あるいはリスクの高い職場や医療従事者の方々ですが、
公明党としましては、さらに介護従事者や障害施設で働く方々等も優先的にワクチンを打てるよう主張しているところであり、今後の議論の推移を見守ってまいりたいと思います。
今朝は、国が進める新型コロナワクチンの開発状況についてご報告させて頂きました。今週もどうぞ宜しくお願いいたします。」
- 投稿者
- 木村誉
- 投稿時刻
- 16:26