「皆様、おはようございます。公明党・愛媛県議会議員の木村ほまれでございます。
先週お伝えしました通り、現在、地元松山市にて「G20労働雇用大臣会合」が開催されておりますが、いよいよ本日が最終日ということで、この後、閣僚宣言が取りまとめられ、閉幕となります。
今回の全体テーマは「未来の仕事」ということですが、ぜひ、ワクワクするような新たなビジョンが、愛媛・松山から世界に向けて発信されることを心より期待したいと思います。
また、最後まで無事故の運営とするため、県民の皆様には交通規制など何かとご不便をおかけいたしますが、どうかご理解ご協力の程宜しくお願い申し上げます。
さて、今朝のご報告ですが、先週末、厚生労働省が発表した公的年金の財政検証、このことについて概要を申し上げたいと思います。
5年に1度行われるこの財政検証は、年金の「定期健康診断」と言われますが、それに準えますと、今回は「健康上、当面大きな問題はないものの、将来に向けて体力強化に取り組む必要性がある」ことを示唆する結果となりました。
まず、検証において確認されたのは「2004年の年金制度改革で築いた制度の枠組みは揺らいでいない」という点であります。
今回の財政検証では、経済成長の度合い等を6つのケースに分けて推計が行なわれました。
それによりますと、
経済が堅調に推移した標準的ケースでは、現役世帯の平均手取り収入に対するモデル世帯の年金額の割合である「所得代替率」が、現在の61.7%から2047年度は50.8%となり、前回5年前の検証に比べて0.2ポイント改善したとのことです。
その要因は、1つには出生率が改善したこと、もう1つは女性や高齢者の労働参加が進んだことが上げられます。
一方、6つのケースの内、経済成長が最も停滞した想定では、2052年に国民年金積立金が枯渇し所得代替率が30%台後半になる恐れがあることも示されました。
しかし、徒に悲観論を煽るのではなく、そのような将来にならないよう国を挙げて取り組むために行なわれているのが、毎回の財政検証であります。だからこそ、1回ごとの検証に十分な注視が必要となります。
法律では「次の財政検証までに所得水準が50%を下回ると見込まれる場合には所要の措置を講じる」、つまり、「50%の代替水準を保障する」ことが明記されておりますが、その意味では今回「当面、大きな問題なし」とされた意義は少なくありません。
しかし、将来を先程のような最悪のケースにしないためには、年金制度の更なる基盤強化を図ることが重要です。
言い換えますと、「少子高齢化が進展する中で、どのように支え手を増やしていくか」であります。
今回、そのポイントの1つに上げられたのが「パートなど非正規労働者への厚生年金の適用拡大」です。
検証では、適用の拡大規模が大きいほど将来の給付水準が高くなるという結果が得られましたが、それはそのまま非正規労働者の方々の老後の安定にも繋がりますので、課題は様々あろうと思いますが、ぜひ実現してほしいと思います。
また、様々なシュミレーションを踏まえ、今後議論となってくるのが「年金受給開始時期の選択幅の拡大」と「在職老齢年金の廃止・縮小」であります。
「年金受給開始時期」については、現在、原則として65歳からでありますが、本人の選択によって70歳まで繰り下げることが可能です。
ちなみに70歳から年金を受け取り始める場合、毎月の年金額は約1.4倍となりますが、これを今後、高齢者が働き続けられる環境整備を進めながら「75歳まで繰り下げ幅を拡大していこう」というのが議論の方向性であります。
このことによって多くの高齢者が長く働くことができ、制度の支え手に回ることで年金財政の基盤強化が期待できるという見立てであります。
もう1つの議論は、「在職老齢年金制度」についてであります。
この制度は、60歳以上の方が厚生年金を受給しながら働き、賃金と年金の合計が基準額を上回ると受け取る年金額が減るというしくみです。
この制度では、例えば60代前半で、賃金と年金の合計額が月28万円を上回る場合、本来頂ける年金が支給されなくなります。
「一定以上になると、働いても収入が増えなくなる」という点は、かねてより高齢者の方々から「働く意欲を失わせている」と批判が上がっていたところですが、廃止すればその分だけ年金財政の支出が増えることにもなり、十分な議論が必要となります。
また、今回の財政検証で明らかになった大きな課題は、基礎年金が厚生年金に比べて所得代替率が大幅に低下するとの試算結果です。
今後、基礎年金の底上げをどう図っていくのか、国民年金加入者への支援をどう講じていくのか、この点は私たち国民にとって非常に切実な問題でありますし、最も注目すべき論点であります。
秋の臨時国会ではこのことを含めまして「年金制度改革」が大きな焦点となると思いますが、与野党を問わず、価値的、建設的な議論が進むよう期待したいと思います。
今朝は、5年に1度行なわれます「公的年金の財政検証」についてご報告させて頂きました。今週もどうぞ宜しくお願いいたします。」
- 投稿者
- 木村誉
- 投稿時刻
- 17:05