県議会9月定例会、代表質問2日目。
小欄でもご案内の通り、本日13:00から登壇し、5項目について県の考えを質しました。答弁も含め、項目ごとに1つづつアップしてまいります。おかげさまで前向きな答弁を(いつも以上に?)頂けたのではないかと思います。長文ですが、宜しければぜひご高覧ください。
「公明党の木村ほまれでございます。
平成最後となります本年6/28~7/8にかけて発生した西日本豪雨は、本県28人を含め、犠牲者が200人を超える平成最悪の豪雨災害となりました。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、本日出席されておられます兵頭県議を始め、被災された多くの皆様に、心からお見舞いを申し上げます。
また、発災直後から、中村知事の陣頭指揮の下、不眠不休で救命救出、そして復興に向けた今日に至るまで、懸命のご尽力を頂いた関係者の皆様に敬意を表しますとともに、県内はもとより全国から駆けつけてくださったボランティアの皆様、支援物資や義援金など有形無形の善意をお寄せ頂いたすべての皆様に、この場をお借りし感謝申し上げます。
私ども公明党におきましても、発災直後に災害対策本部を立ち上げ、山口那津男代表を先頭に、国会議員、地方議員がそれぞれの被災地に張りついて復旧復興に取り組んでまいりました。
本県でも7/16に石井国交大臣が南予を、8/1には谷合農水副大臣が東予・中予の被災現場を訪れ、地元愛媛・四国選出の山本博司参議院議員、石田祝稔・党政務調査会長も、幾度も被災地に入り、視察を実施。そして、現地のニーズと被災された皆様の声を盛り込む形で、先般、政府による支援策「生活・なりわい再建支援パッケージ」が、累次にわたり取りまとめられることとなりました。
私も、笹岡議員や被災地の自治体議員とともに何度も各地を訪れ、切実なお声を伺いましたが、そうした皆様の思いや、将来の災害発生に不安を抱く方々の気持ちに寄り添いながら、会派を代表し質問に入らせて頂きます。
◎初めに、西日本豪雨災害を踏まえた防災対策の見直し等についてお伺いします。
ご案内の通り、今夏の“暑さ”は、もはや“災害”と報じられましたが、埼玉県熊谷市の41.1℃をはじめ全国10市以上で気温が40度を超え、本県でも、猛暑日や熱帯夜の日数が各地で最多を記録。7月の熱中症による救急搬送数は、全国で52,819人、死者数124人に上り、いずれも過去最多となりました。
実はこの“暑さ”は、地球温暖化を伴う“気候変動”に起因するといわれており、近年頻発する豪雨災害の要因の1つと指摘されています。
国がまとめた「気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018」によりますと、日本では世界平均より早いペースで気温が上昇中で、真夏日・猛暑日の日数、1時間に50mm以上の短時間強雨の発生回数がいずれも増加しており、その影響は様々な地域・分野で現出。今後さらに温暖化が進むと、広範囲にわたり、深刻で不可逆的な影響が生じる可能性が高まるとしています。
そうした気候変動の影響に対処するため、わが国では政府全体として整合性のとれた取組みを計画的かつ総合的に推進することを目的に、本年6月、気候変動適応法が公布されました。
西日本豪雨災害を振り返り、私は“気候変動への適応”ということを国民の共通認識とし、過去の経験則やこれまでの対策が通用しないことを前提とした“新たな発想と対策”が今求められている、と痛切に感じました。
このことは各種の調査からも読み取ることができます。
内閣府が先月公表した「国民生活に関する世論調査」で「政府が力を入れるべき施策」を複数回答で尋ねたところ、「防災」が前年比2.4ポイント増の28.3%と過去最高となり、国民の防災危機意識の高まりを示す結果となりました。
一方、公明党におきましてもこの春、4月~6月にかけまして、全国100万人訪問調査運動を展開し、子育て、介護、中小企業、防災・減災の4つの分野でアンケート活動を実施。私自身も地元の300名を超える方々からお話を伺いましたが、こちらでも防災・減災に対する関心が高く、とりわけ、洪水や浸水を含め、「河川」に関する県民の不安がいかに大きいか、ということを突きつけられる思いがいたしました。
これまでややもすると、南海トラフ巨大地震を想定した“地震対策”に偏りがちになってはいなかったか、少なくとも平成23年以降、毎年のように発生している豪雨災害など“風水害”の危険性にもっと目を向け、対策を更に強化する必要があるのではないか、そう痛感させられたのであります。
そこで、お伺いします。県は、今夏の災害級の暑さに象徴される異常気象と豪雨災害との関連性について“気候変動”の観点からどのように認識するのか。気候変動適応法を踏まえ、私は、風水害対策の強化を含む県地域防災計画の抜本的な見直しが必要であると考えますが、ご所見をお示しください。
ここからは地元要望を踏まえての質問となりますが、松山市には重信川など国が管理する大規模な一級河川以外に、県が管理するその他の一級河川や二級河川、市が管理する準用河川など70の中小河川があります。
中小河川は総じて流下能力が小さく、ひとたび線状降水帯による局地的豪雨が発生すれば、氾濫・決壊し、洪水が生じることが懸念され、実際、これまでも幾度となく、住民の生命や財産が危険にさらされてきました。
昭和54年6月には、大川・小野川・内川・宮前川が相次ぎ氾濫。今回の西日本豪雨においても、多くの市民から“気が気でなかった”という不安や恐怖の声が寄せられました。圧倒的な延長を占める中小河川、これに対する対策の要望も、一級河川に劣らぬほど多かったというのが私の実感です。
一級河川の重信川におきましても、昭和18年7月の堤防7ヵ所決壊に続いて、昭和20年、29年、45年、平成に入ってからも7年、10年、11年、13年、25年と洪水が続き、昨年9月、台風18号がもたらした豪雨により、水位が過去最高の5.65mを記録し、氾濫危険情報が出されたことは未だ記憶に新しいところであります。
しかし、本県の河川関係の予算はピーク時のほぼ1/3となる約89億円に留まり、わが会派も毎年増額を申し入れておりますものの叶わず、対策が遅遅として進まない現状に対し忸怩たる思いを禁じえません。
そこで、お伺いします。西日本豪雨災害を踏まえ、県が管理する1,157の河川の内、多くを占める中小河川について、河道掘削や河川の拡幅といった“流下能力の拡大”や護岸強化など、洪水回避に向けて、県は流域整備、及び治水対策の強化にどう取り組むのか。また、重信川については昨年、氾濫危険情報が出され、幸いにも決壊は免れたものの、台風シーズンを迎える今、多くの県民が危機の再来を不安に感じております。そうした不安の払拭に向けた、この間の取り組みや対策の進捗についてご所見をお示しください。
西日本豪雨で住宅地が大規模冠水した岡山県倉敷市の真備町では、市が作成した洪水ハザードマップの浸水想定区域と実際の被害が、概ね一致し、その有用性があらためて確認されたとして大きく報道されました。
地元松山市における国の洪水浸水想定では、石手川が氾濫した場合の市内の浸水区域は、想定最大規模で面積約2,500ha、被災人口約132,000人に上るとされています。重信川の場合では、松山市を含む3市2町に範囲が広がり、面積約5,500ha、被災人口は約153,000人に上るとされています。
真備町で見られたように、松山市におけるこうした想定が現実となれば、私は、県都機能に容易ならざる打撃を与えるものと危惧します。すべての河川で浸水区域を想定するのは困難としても、避難の際の“道しるべ”となるような“水害リスク情報”を行政が提供し、それを住民一人ひとりが主体的に活用しながら被害を最小限に抑えていくことが肝要と考えます。
そこで、お伺いします。被害を軽減するため、関係機関とどのように連携し、洪水時の避難体制を支援するのか、ご所見をお示しください。
この項最後に、今回の豪雨では避難情報の出し方と受け方、国と地方自治体の連携のあり方、地域防災力の強弱、正常性バイアスによる避難回避や遅れといった個々人の防災意識など、ソフト面でも多くの課題が浮き彫りとなりました。
私は、県民への防災意識のさらなる啓発とともに、なるべく小さな単位、例えば、自治会やご近所レベルといった単位で、避難や支援など具体的な行動を考える「地区防災計画」や、水害などから命を守るため、自らの行動計画を時系列で定めておく「マイ・タイムライン」の作成を着実に推進するなど、“自助と共助の底上げ”による地域防災力の強化に“県民総ぐるみ”で取り組む必要があると考えます。
そこで、お伺いします。県は、西日本豪雨災害におけるソフト面での課題をどのように認識し、地域防災力の強化に向けて具体的にどう取り組んでいくのか、ご所見をお示しください。」
【答弁要旨】
(防災安全統括部長)
今回の豪雨の要因は、気象庁の見解にもあるように、複数の高気圧の影響で西日本付近に停滞した梅雨前線に極めて多量の水蒸気が流れ込んだことによるものと考えられ、その背景には、地球温暖化に伴う気温の上昇と水蒸気量の増加があったものと認識している。
現状の温室効果ガスの排出ペースが続くと、2040年頃には世界の平均気温が産業革命前より1.5度上昇すると予測されており、これに伴う短時間豪雨等の増加によって、洪水や土砂災害等の発生頻度が高まるとの指摘があることから、今後、本県においてもこれを十分に踏まえた上で、防災・減災対策に取り組んでいく必要があると考えている。
地域防災計画では、近年多発する風水害について、ハード・ソフト両面からの対策を定めており、今回の豪雨災害の検証結果に基づく見直しも検討しているところであるが、本年12月に気候変動適応法が施行され、国が気温上昇等への適応計画を策定することとなるため、これを踏まえた国の防災基本計画の修正状況を注視しながら、必要に応じて更なる見直しを検討してまいりたい。
(土木部長)
県では、重要水防箇所や、浸水履歴、背後地の人口・資産の状況等を踏まえて重要性の高い箇所から、河川改修を進めてきたところであり、平成28年度からは、越水に対して粘り強い構造とする堤防補強等を、立岩川など18河川で集中的に取り組むとともに、洪水対策として即効性の高い河床掘削を積極的に実施するほか、市町と連携しながら、洪水被害の軽減に向けた流域内対策にも取り組んでいる。
また、重信川については、昨年の台風18号に伴う増水により国管理区間の28箇所で堤防の漏水が確認されたことから、国では必要な応急対策を完了させ、工法が決定した14箇所の工事を今年度中に完成させるとともに、来年度以降、残りの箇所を実施すると聞いており、引き続き、漏水対策の早期完了を国に対して強く要望することとしている。県としては、今後とも、効果的な河川整備を推進するとともに、住民の円滑な避難に資するソフト対策も組み合わせ、県民の安全・安心の確保に努めてまいりたい。
(知事)
県では、大規模氾濫に備える避難体制の強化を、県・市町連携推進プランに位置づけ、市町、消防、気象台などで構成する「大規模氾濫に関する減災対策協議会」を県下全10圏域で設立し、昨年度末には、概ね5年以内で実施する「地域の取組方針」を策定して、市町長へ直接河川情報を伝達するホットラインの構築など、減災のための取り組みを進めていたところである。
しかしながら、今回の7月豪雨の結果を踏まえ、住民の迅速な避難行動に資する水位情報の伝達や、浸水による被害範囲の事前周知など、今後、検討すべき点があったと認識している。
このため、県では、さらなる避難体制強化のため、関係機関や住民の防災行動などを予め取りまとめたタイムラインを作成するほか、県内全市町へ新たに簡易型水位計を設置し、また、洪水浸水想定区域の設定箇所を、順次、拡大するとともに、過去の浸水実績や危険箇所などを網羅した水害リスクマップを県下全域で作成し、市町と連携して、住民の主体的な避難行動を支援してまいりたい。
(知事)
大規模災害発生時に被害を最小限に抑えるためには、自助と共助の促進が重要であることから、県では、県民を対象とした防災講演のほか、自主防災組織の育成や全国2位となった防災士の養成、地区防災計画の策定等をテーマとした防災士等のスキルアップ講座の開催などに取り組んできたところ。
今回の豪雨災害では、自ら作成した防災マップを活用して安全な高台に避難した事例や、日頃の訓練等の成果で早めの避難をした事例など、自主防災組織等による適切な対応により、洪水や土砂災害が発生したにもかかわらず人命が守られたという報告がされている一方で、大雨特別警報など気象情報の発表の仕方を含む住民への災害関連情報の提供のあり方や、住民が情報をどのように実際の避難行動につなげたかなどの課題が浮かび上がっている。
県では、大雨特別警報の降水量等測定の単位となるメッシュの細分化による発表基準の精度向上等について、引き続き国に要請するとともに、今後の初動・応急対応の検証の中で、住民避難のあり方や発災直後の地域共助の体制をはじめとするソフト面の課題について、関係者や専門家の意見も聴取し幅広く検討を行い、得られた教訓を地域防災力の強化に必ずつなげてまいりたい。
- 投稿者
- 木村誉
- 投稿時刻
- 12:14