「皆様、おはようございます。
公明党・愛媛県議会議員の木村ほまれでございます。
私ごとですが先週、自動車の運転免許証の更新に行ってまいりました。幸い優良運転者ということでしたので、視力検査と30分講習の1時間足らずで新しい免許証が交付されました。
5年ぶりの運転免許センターでしたが、今回特に印象に残ったことが2つあります。
1つはICTの導入等で手続きが格段に効率化されていたこと、もう1つは昨年の道交法改正により高齢者の認知機能検査が導入されていたことです。
特に2つめを具体的に申しますと、75歳以上の高齢運転者は運転免許更新の際、認知機能検査が義務づけられ、認知症のおそれがあると判定された場合には臨時適性検査を受けて主治医などの診断書を提出しなければならなくなりました。
又、その診断結果に基づいて、実技の指導や個別指導といった2~3時間の高齢者講習を受けることが義務づけられるようになったのです。
高齢者の認知機能検査の導入については私も承知していましたが、実際の現場を見たのは初めてでした。
高齢者の交通安全対策については、県議会の本会議等においても毎回のように論じられておりますが、本日はその中から、高齢者の運転免許返納についてご報告したいと思います。
先週9日、群馬県の前橋市で、登校中の女子高生2人が85歳の男性に車ではねられるという大変痛ましい事故が発生しました。いまだ意識不明の重態とのことで、お2人の一刻も早い回復を心からお祈り申し上げたいと思います。
報道によりますと、加害者である85歳の男性は特に持病などはなかったものの、半年くらい前から小さな物損事故を繰り返す兆候が見られ、家族からも再三、免許返納を勧められていたそうです。しかし本人がそれに応じず、事故当日も家族の目を盗むように車を走らせたとのことでした。
実は、これは決して特別な話ではありません。私たちの身近でも同じような状況を抱えた方がたくさんいらっしゃいます。
県警によりますと、2008年から運転免許の自主返納支援事業が始まり、返納件数は年々増えてきているとのことで、
県下の自治体でもタクシーやバス、フェリーなどの利用券が配布されたり、施設が割引で利用できるなど、特典を付与しながら運転免許の返納率を高める取り組みを進めているところです。
高齢化は今後ますます進展し、団塊の世代が75歳となる2025年には国民の5人に1人が後期高齢者となり、高齢者の一人暮らし世帯が全体の約4割を占めると言われています。
ちなみに高齢化のピークはさらにその先で今から24年後の2042年といわれますが、そこを見据えた取組みが求められることはいうまでもなく、私はとりわけ一人暮らしの高齢者を支える形をどう創り上げるかが重要になると考えています。
その1つとして国は、医療や福祉、商業、公共交通等の生活機能を確保して高齢者が安心して暮らせる、いわゆるコンパクトシティというまちづくりの方向性を打ち出しています。
この構想を本県に置き換えますと、私は松山市など一部の自治体では有効だと思いますが、面河や美川などを有する久万高原町など過疎地域では難しいものがあると感じます。
地域ごとに別のグランドデザインを講じる必要があり、第4次産業革命の進展がその鍵を握るのではないかと考えています。
さて、話を戻しますと、高齢者の運転免許返納は、基本的に、運転しなくても困らないということが前提になくてはなりません。
自主返納の件数が順調に増えていると言いましても、それは主に都市部の話であり、車の代わりとなる交通機関がある地域の話です。
離島や過疎地域では、路線バスや鉄道などの公共交通が十分とはいえません。本人の代わりに運転してくれる人もいません。そのために運転せざるを得ない、そういう高齢者がたくさんいらっしゃいます。
その意味で、高齢者の免許返納支援は、地域に見合った公共交通をどのように確保するかという問題と表裏と言えるでしょう。
一方、車の運転をやめた高齢者は、運転を続けている人に比べて要介護状態になる可能性が8倍高く、認知症の発症率が2倍に増えるというデータもありますことから、
私は、認知症予防や実技講習を積極的に日常生活に組み込みながら、高齢者の方ができるだけ長く安全に運転することを可能にするような取組みも同時に必要であると考えます。
本日は、高齢者の運転免許返納について申し上げましたが、超高齢社会のピークを見据えた時、交通安全に向けた対策はまだまだ様々な角度からの議論と検証が必要と感じます。
冒頭で述べました痛ましい事故が今後二度と起きないように、本県で今後どんな取組みが求められるのか、引き続き真剣に模索してまいりたいと思います。今週もどうぞ宜しくお願いいたします。」
- 投稿者
- 木村誉
- 投稿時刻
- 21:00