「SNSを活用したいじめ・自殺相談体制の構築について伺います。
昨年10月、神奈川県座間市で、高校生3人を含む9人の若者の遺体が発見されるという凄惨な事件が発生しました。
SNSに自殺願望を投稿した被害者の心に付け込んだ卑劣極まる犯行と思われ、今なお、怒りが込み上げてまいります。
SNSに「死にたい」と投稿し亡くなった人たちの心の叫びは「生きたい」の裏返しであり、助けを求めるSOSであったと思います。
青少年の行き場のない悩みをどう汲み取るのか、そのことが私たち大人と社会に突きつけられていると感じてなりません。
そこで重要なカギとなってくるのが、私はSNSではないかと思うのであります。
実際、スマホの普及に伴い、若年層のコミュニケーション手段は、SNSが圧倒的です。
総務省の2016年情報通信白書によりますと、10代の若者が、平日に携帯電話で話す時間は平均2.7分にすぎませんが、LINEなどSNSを利用する時間は58.9分にも上るといいます。
ちなみにメールは20.2分、固定電話は0.3分で、この結果を見る限り、10代の若者の主たるコミュニケーションは“音声ではなく、文字と記号と映像で成り立っている”といえるでしょう。
ここで、長野県のSNS活用事例を紹介いたします。
未成年の自殺死亡率が全国で最も高い長野県では、昨年9月、中高生を対象に“LINEでのいじめ相談事業”を試行しました。
そのきっかけは、公明党長野県本部青年局の調査による「いじめ相談にSNSの活用を求める提言」でした。
提言を受け容れた県は、LINE株式会社と連携協定を締結し、LINEアカウント「ひとりで悩まないで@長野」を開設。県内の全中高生約12万人に、学校を通じて案内資料を配布したところ、約3,800人が登録。
9月10日〜23日の2週間、午後5〜9時の時間帯で相談を受け付けると1,579件のアクセスがあり、547件の相談に応じたとのこと。これは、2016年度1年間の同県の電話相談件数259件を大きく上回るものです。
そして注目すべきは、交友関係や恋愛、学業など、身近な相談が多かった点であります。
これは中高生たちにとって気軽に相談できたことを意味しており、悩みが深刻化する前の早期解消につながる可能性を示していると考えられます。
この間、文科省では、子どもの相談体制の充実に向け、小中学校へのスクールカウンセラー配置を進めてきましたが、非常勤のカウンセラーは週1回しか学校にいないケースも多く、子どもたちが常に相談できる体制として十分とはいえません。
また、いじめに悩む子どもたちの受け皿として電話相談窓口「24時間子供SOSダイヤル」を設け、本県でも2016年度1年間で292件の相談が寄せられましたが、2週間で547件となった長野県のSNS活用事例に比べますと、大きく見劣りすると言わざるを得ません。
そもそも先ほどの総務省の調査でもあります通り、若者のコミュニケーションにおける主役は、今や電話からSNSに完全に移行しているのであります。
そのことを踏まえますと、児童・生徒の様々な悩みに対して時代に見合った相談体制の見直しと再構築が急務であると私は考えるのであります。
そこで、お伺いします。
児童・生徒の悩みを汲み取り、いじめや自殺から守るためにも、私は、SNSを活用した“児童・生徒が相談しやすい体制”を、本県においても速やかに構築する必要があると考えますが、県教育委員会としての見解をお聞かせください。
また、今や若者にとって必要不可欠のSNSですが、そこには常に様々なリスクがつきまといます。
先述の神奈川県座間市の事件では、高校生3人を含む合計9人が被害に遭ったものでありますが、県警では、インターネット上において、自殺をほのめかす書き込みを認めた場合、どのような対応を行うのか。
昨年12月議会の文教警察委員会における議論は承知しておりますが、県民の関心も高いことから改めてご所見をお聞かせください。」
- 投稿者
- 木村誉
- 投稿時刻
- 18:00